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マージャンで生きる人たち 第8回 株式会社アルバン 専務取締役 船越千幸 「奪い合うのではなく、増えるきっかけを生み出す」

マージャンで生きる人たち 第8回 株式会社アルバン 専務取締役 船越千幸 「奪い合うのではなく、増えるきっかけを生み出す」
マージャンで生きる人たち

 麻雀卓の販売と保守管理を行っているアルバン。そのアルバンが新事業として、2015年12月にデイサービス『ラスベガス板橋』をオープン。なぜデイサービス(通所介護)に進出したのか? その真意を聞いた。

 

船越千幸(ふなこし・ちゆき)プロフィール 

1966年、東京都生まれ。O型、水瓶座。株式会社アルバン専務取締役。好きな役は七対子。

 

アルバンの主な業務内容は?

宮内こずえプロ(日本プロ麻雀連盟)が登場し「和泉じゃなくて、こずえだよ」と語りかける〈手打ち折りたたみ式麻雀卓・梢〉のCM。テレビで見たことがある人も多いのではないだろうか。

「弊社は新品から中古まで、全自動卓と手積み卓の販売。そして購入後の修理や整備保守といったメンテナンス対応をさせて頂いております。販促プロモーションとして、CM放映も行っています。またMONDO TVをはじめ、ドラマや映画、イベント等、卓を使用する企画のお話を頂いた折に、随時検討しています。ただマイナスイメージを抱かせる依頼内容があるのも現状で、お断りさせて頂くこともあります」

「依頼内容を精査する基準は、業界の発展につながるのかどうか。女優・米倉涼子さん主演のドラマ《Doctor-X 外科医・大門未知子》がいい例。協力させて頂いたのは、弊社ではないんですが、マージャンが持つイメージを前向きに捉えてくれている内容であれば、臨機応変に対応しています。業界全体が好転すれば、結果として売り上げにもつながります。自社利益の追求が基準ではありません」

 

新事業の意図とは?

「弊社代表の新宮が、NHKのドキュメンタリー番組で紹介されていたデイサービスを見たことがきっかけでした。少子化で長生き。今後日本の平均年齢は上がるいっぽうです。デイサービスで行われているレクレーションは多種多様。歌、絵合せ、風船遊び、お手玉etc。好む好まざるは別として、他にもっと多くの選択肢があってもいいんじゃないか。そんなコンセプトで番組内で紹介されていたのが株式会社日本エルダリーケアサービスという会社でした。その会社ではデイケアサービスとして、マージャン、カラオケ、バカラ、パチンコ、パチスロを設置。マージャンをコミュニケーションツールとして捉えていたサービスだったのです」

すぐれたリハビリプログラムがあっても、出かける気にならなければ、何も始まらない。そして楽しいことでなければ続かない。アルバンは、日本エルダリーケアサービスとライセンス契約を交わした。

「利用者のいちばん人気はマージャンです。初対面でも溶け込めるし、教えあったり、褒めあったり。友達作りにはもってこいのツール。初心者であれば、覚えたいけどきっかけはない。まして賭けマージャンをやるはずもない。経験者であれば、打ちたいけど仲間がいない。打てても賭けたくはない。負けたら悔しい。勝ったら嬉しい。お金を賭けなくてもプライドを賭けて楽しめる仕組みを提供できればいいのかなと。だからこの出店も、業界全体が好転するきっかけのひとつなんです」

 

a20151222-DSC_0109お迎えは業務用バンではない。家を出るところから擬似空間の演出は始まっている

 

マージャンと認知症

加齢にともない、モノ覚えが悪くなることは誰にでも起こりうる。しかし認知症によるモノ忘れはそもそも成り立ちが異なる。認知症は何らかの病気が原因で、脳の神経細胞が壊れることによって起こる状態を指し、進行すると日常生活に支障が出てくる恐れがある。

「父は雀荘を経営していました。私は父が60歳の時に生まれました。家は貧乏でしたが、73歳まで雀荘を経営し、なんとか生計を立てていました。ただ私が小学校に入学する前夜に、母親が脳血栓で倒れてしまったんです。それから2年半、入院していたのですが、医療費がかさみ、店を手離さざるを得ない状況になってしまいました。私が小学校高学年になると雀荘をやめ、父は肉体労働の仕事を始めました」

「かれこれ2年ほどマージャンから離れていた父でしたが、家の近くで新規オープンの雀荘を見つけ、飛び込みでその店に入っていったんです。『店をやる者は決まっているのか?』といきなり尋ねていた父。オーナーいわく、経営者はまだ決まっていないとのこと。『じゃあ、私にやらせてくれ』。そう言って、何度も通って懇願していました。今思えば、父の目は輝いていました。そうこうしているうちに、オーナーも父の熱意に打たれ、お店を任されることになりました」

「お店を任されてから、私から見ても見違えるように若返りました。年齢すら感じさせない父でしたが、80歳で仕事を引退するとすぐに認知症が始まり、日に日に老いていきました。そしてまもなくこの世を去りました。父が他界したとき、私は高校を卒業してフラフラしていた時期でした。だから今こうして、マージャンの世界にいることを父は知りません。生涯マージャンとともに歩んだ父は、浮き沈みの激しい人生でしたが、誰よりも幸せだったと思います」

 

マージャンを始めたきっかけ

「幼少期からサイコロや牌で遊んでいたので、ピンフ以外の役は、3歳のときには全部覚えていました。またマージャンもずっと見ていたので、数字だけは強かった。頭は悪いんですが(笑)。父の雀荘は港区の西麻布にあったので、芸能人やテレビ局のスタッフがよくお店に来ていました。なかでも当時人気のテレビ番組《11PM》のスタッフが〝3歳でマージャンを覚えた天才児〟という企画に私を出そうと動いていたらしいんです。ただ放映時間帯が深夜だったためNGとなり、立ち消えになったことは、後で知りました。中学生になって、父が雀荘を手離したとき、私も一旦マージャンから離れましたが、父が雀荘を再開したときに、高校生だった私もその店を手伝うようになりました。本当はいけないんですけど(笑)。でもその店で、その後一緒に会社を立ち上げることになる新宮学(現・アルバン代表取締役社長)も遊びに来ていたんです。マージャンが結んだ運命的な出会いでした」

 

お客様から教えてもらったこと

1990年、新宮さんと船越さんは仲間4人でアルバンを立ち上げる。

「後発の販売会社だったので、同じことをやっていてはダメだと思い、様々なことを試しました。遅くまで営業したり、とにかく1円でも安く売ったり、当初はお客様を獲得するためにがむしゃらにやっていました。でもお客様に求められていたことはそういった目に見えたことではありませんでした。一番求められていたのは、営業時間でもなく値段でもなく、トラブルに対する迅速な対応でした」

「当時はセット店が多く、セットのお客様は17時以降から始めるので、トラブル対処もそれ以降に起こっていました。お客様は打ちたくてウズウズしているのに卓トラブル。お店は満卓だから、修理を待つしかない。お客様は待ち切れない。お店の人は気が気じゃない。そんなところに駆けつけるだけで、神様でも来たような歓待を受けたんです。待ってました!みたいな。手際よく直し、次のトラブル現場に向かう。お客様には本当に喜ばれました。年末の多い時は30件ぐらいまわりました。トラブル卓を持ち帰り、深夜までオーバーホールなんてこともよくありました」

「いちばん大切なことは何なのか。この経験を通して、お客様によって気づかせてもらいました。それは、お客様を奪い合うのではなく、お客様が増えるきっかけを生み出すことなんだと」

 

a20151222-DSC_0119楽しんでこその継続。それが〈デイサービスラスベガス板橋〉のコンセプト

 

仕事で意識していることとは?

「どんな仕事でも、意識していないと生活のリズムは保てません。雀荘の店長も数年やりましたが、本当にハードワークでした。仕事の後に遊びに行ったりすると、いくら寝ても疲れが取れませんでした。それ以来、規則正しい生活を心がけ、健康に留意するようになりました。今ではタバコもやめ、毎週土曜日に草野球をやっています。チームでスコア管理もしているので、ヒットかどうか微妙なときはチームメイトからヤジられながら楽くやっています」

 

この業界で働きたい人へ

「コミュニケーション能力がある人は、マージャン業界に限らず、求められると思います。学力じゃありません。それはすべてにつながっていきます。コミュニケーション能力がないと、お客様の立場で物事が考えられません。業界のことを考えられるのも、業界の立場に立って考えることができる証。マージャンが好きな人だったら尚よいかもしれません」

 

好きな言葉は?

「念ずれば花開く。一生懸命努力すれば結果が出る。ずっと頭に思いがあると、前に進めるし、思いがないと一歩も前に進めない。思いが強ければ強いほど前に進むことができる。夢でも希望でも念じていれば、普段の行動にも反映されると思っています」

 

船越さんにとってマージャンとは?

「生まれたのは雀荘。にもかかわらず、正直子供の頃は、父が雀荘を経営していたことがイヤでした。西麻布に住んでいたので、官庁勤めや社長を父に持つ同級生が多くいました。でもまわりには父が雀荘をやっていることを恥ずかしくて言えなかったんです。そんなコンプレックスを持ちながら、困ったら自分にはマージャンがあるとも思っていました。10代、20代、30代、40代。ずっとマージャンに悩まされ、苦しめられ、助けられ。マージャンから何度も離れてはまた吸い寄せられて。これから先も何があるかはわからない。だからこそマージャンが認められる世の中にしたいなって願っています。父とは別な角度からの関わり方ですが、生涯マージャンとともに歩んでいく宿命のようなものを感じています」

 

インタビューを終えて

「制作」と「販売」は両輪の関係。人の心が動くきっかけがなければ、どんなに優れた製品であっても購入には至らない。アルバンのデイサービス事業への進出はまさにその象徴。卓を通して、マージャンが持つ豊かなゲーム性を広く伝える。船越さんの熱意の原点は、マージャンを遺してくれた父への〝恩返し〟。その気持ちはお客様、そしてマージャン業界、さらにニッポンの未来をも熱くする。

文責:福山純生(雀聖アワー) 写真:河下太郎(麻雀王国)

 

◎株式会社アルバン
https://www.alban.co.jp/shop/

◎デイサービス ラスベガス
http://www.elderly.jp/lasvegas/index.html

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