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ネマタの戦術本レビュー第197回「進化するデジタル麻雀 著:石橋伸洋 その4」

ネマタの戦術本レビュー第197回「進化するデジタル麻雀 著:石橋伸洋 その4」

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例題7

 打としても手変わりはツモだけなので、例題3ほどはっきりテンパイ外しとは言えない手牌ですが、手代わりした場合は1翻手が3〜4翻、あるいは3メンチャンかつ高め平和テンパイとどれも手変わりがかなり強力です。「もっと勝つための現代麻雀技術論」第4回では、中盤では良形変化や打点2倍の手変わり8種を目安としましたが、今回はいずれの手変わりも2種相当とみなせるほど強い手変わりで、なおかつ序盤であると考えるとテンパイ外しが有力そうです。打と打の比較については、くっつき>ヘッドレスと押さえていれば打が有利であることは容易に判断できます。

 ソーズ変化はいずれも打南とありますが、巡目に余裕があれば、ツモに関しては残しに分がありそうです。を切った後でもツモならを切るので、それからを引いて高め一通になった場合は空切りしていた方が高めが出やすくなることを考慮すると、一応空切りの方がよいでしょうか。

 「親だから牽制の意味合いも込めてのみ手悪形でもリーチ」というのは、手変わりが少なく、かといって即リーチするのは追いかけられて放銃するリスクもあるので子であればリーチを打つかどうか微妙な場合の話。今回のように高打点への手変わりがそれなりにある場合は、「もっと勝つための現代麻雀技術論」第96回の内容に通じますが、(判断が変わるほどではないですが)むしろ親の方が手変わり待ち優位と言えます。親は打点よりスピード重視ではなく、守備よりスピード重視。打点については高打点が十分狙えるなら親であっても子の場合と同じように狙うようにします。

例題8

 序盤でリャンメンを鳴いて単騎テンパイ。テンパイしてからも手変わりは多いですが、スルーした場合によりよい1シャンテンになる手変わりも多いので、即リーチにいけるツモは少ないとはいえ、マンズがの場合と鳴き判断が大きく変わるとは考えにくいので基本はスルーするところ。西家が役牌を鳴いてドラを切っていますが、例題6でも申しましたように、安手の可能性が高い以上平場であれば判断を変える程ではないとみます。

 しかし今回はラス前で、点数状況的にトップ目の南家は西家へアシストするのが正着になる局面。西家が正しい判断をするのであれば、このをスルーしたうえであがれる可能性はかなり低いと言えます。安手で連荘したところで次局以降手が入るとは限りませんが、残り1局か2局以上あるかでトップを逆転できる可能性は大きく差がつく以上、この局面ではテンパイ取りも致し方なしというところでしょうか。

 一般論としては、親だからスピード重視、連荘重視というのは必ずしも正しいとは言えませんが、親だからという理由で判断が変わる局面自体はそれなりに出現します。個別のケースでのみ成り立つ内容を一般化しようとして誤ったセオリーになってしまうことは従来の戦術論ではよくあったことですが、単に誤りと切り捨てるのではなく、どのようなケースなら成立するかを意識することも、一歩進んだ技術を身につけるうえでは必要なことと言えそうです。

本記事に関するご紹介

前著「黒いデジタル麻雀」で概念的に説明された戦術論を具体的な局面に落とし込んで解説しています。41の例題が収録されていますが、それらは決して単なる何切る問題ではなく、何を切り、何を考えておくべきかを問うています。ハイレベルになった現代麻雀において勝ち続けるにはここまで深く考えなければいけないのかと驚かされます。
 
石橋 伸洋 (著)
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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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