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ネマタの戦術本レビュー第267回「迷わず強くなる麻雀 著:鈴木たろう 編集: 鈴木聡一郎 その14」

ネマタの戦術本レビュー第267回「迷わず強くなる麻雀 著:鈴木たろう 編集: 鈴木聡一郎 その14」

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レッスン25

 テンパイを知らせることはメリットにもデメリットにもなりますが、要は自分のアガリ率も下がるが、他家のアガリ率も下がるということです。自分が先制テンパイである以上、どちらかと言えばアガリ率が下がるデメリットの方が大きいのですが、それ以上に打点上昇のメリットが大きいため、結局はほとんどのケースで即リーチ有利という結論になります。

 素点が結果に反映されるルールならアガリトップでも一応打点を上乗せするメリットはあり、流局テンパイでもトップ終了ならリーチで他家のアガリ率を落とす効果もあるので、アガリトップ役アリでもリーチ有利になるケースも有り得ますが、このあたりは明確な基準が現状出来ていないので、機会があれば考察してみたいと考えております。

レッスン26

 悪形テンパイでも基本リーチが浸透したのはここ10年くらいの話です。逆に言えばそれまでは、リーチするならなるべく良形という考えが主流でした。確率に関しては人間の感覚はあまりあてにならないというのを象徴する出来事です。ですから、リーチ判断のバランス感覚を実戦経験で積むという考え方には賛同できません。

 では、リーチはなるべく良形で打つという価値観を持つ、当時の水準では強者だった打ち手が今の麻雀界では強者たり得ないかと言われると、そうではないでしょう。以前からすればだいぶ少数派であるとはいえ、この手のタイプで確かに結果を残している打ち手も存在します。

 理由としては、本書の表現を用いれば、「局情報をインプットする」精度の高さ、現麻本の表現なら、「判断」は正解とは言い難いが、「認知」能力に優れているからと私は考えます。本書では高い手と安い手の悪形待ちはダマとしていますが、私はむしろどちらも高い頻度でリーチを選びます。(「高い手」についてはダマ40符3翻程度なら安い手の悪形と同程度にリーチ、満貫程度はダマにすることも多い、跳満は流石にほぼダマ)

 ただし、このあたりになるとダマでも大差なく、むしろはっきりリーチしない方がよいケースも出てきます。局情報が正しくインプットされてないと、明らかにリーチしない方がよいケースでリーチをしてしまうミスが起きがちです。

 麻雀初級者のうちはこの手の、「局情報を正しくインプットできてない」が故のミスを頻発します。実戦経験を積んで打ち慣れていくうちにこの手のミスは減りますが、今度は局情報を正しくインプットしているが故に、「打牌選択が出来なくなる」というリーチのデメリットを過大評価しがちになります。

 私自身、「基本はリーチ」という言葉に忠実にひたすらリーチをしていた時期は、見落としで明らかにリーチしない方がよいところでもリーチをしてしまうミスをよくやりました。今ではその手のミスは減りましたが、今度は以前なら迷わずリーチしていたものを迷ってダマにして、考え過ぎだったと後悔することが増えました。

 得なリーチと損なリーチが必ずあるのは確かです。しかしそれは経験から感覚を身につけるものではなく、あくまでその時点の局情報を基に判断するものです。繰り返しになりますが、打荘数を積むのは、バランス感覚を身につけるためではなく、局情報を素早く、正しくインプットするためです。

本記事に関するご紹介

本書では、たろうプロとはなさんの会話形式で構成し、3つの章にわけて、48のレッスンを展開することにより、読む人のレベルに合わせた上達が見込めます。大人気の鈴木たろうプロの麻雀、勝負に対する思考、スタンス、駆け引きに関してここまで公開したのは本書が初となります。
 
鈴木たろう (著)
鈴木聡一郎 (編集)

発売日:2017年3月29日
定価:本体1,404円
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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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