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ネマタの戦術本レビュー第338回「麻雀 定石「何切る」301選  著:G・ウザク・福地誠 その11」

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 Q91〜93

 Q91は特定の牌()を引いた時の打点よりはツモのテンパイを優先します。鳴いて3900(ならカンチャン)テンパイよりはメンゼンで3翻以上のテンパイの方が強いのでメンゼンの受け入れを優先します。Q92は迷いますが、先にを引いた場合でも、打点と待ちの強さの比較でシャボがそこまで悪くないので、ツモの高打点になる受け入れとよりよい変化を重視して打でしょうか。Q93はポンテンの取りやすさより、引きテンパイ時の待ちの強さ(片アガリが残らない)優先が原則。高めの受け入れを増やさない安め拒否は不要ですが、アガれない受け入れは拒否するに越したことはありません。形だけで覚えていると見落としやすいのでこれも注意が必要です。

…見事な死亡フラグが立ちました(笑)

 Q94〜96

 Q94はテンパイ枚数が多いのは打ですが良形テンパイになりやすいのは打。ドラが出ていく受け入れがありますが、ツモはタンピン確定かつ高め三色になるので実は打点でも損しません。これもQ78同様、ウイング8枚形の一種です。

 Q95はテンパイしやすいのは打だけどウイング8枚形があるからリャンメン固定の打と考えると、第3の選択肢である雀頭固定の打を見落としてしまいます。単純な形を覚えるより、一手先をよりよい手にすることを意識すると正着を選びやすいです。
 Q96は単純な受け入れならに続いて5位タイなのはかなり意外でした。タンヤオチートイツ赤テンパイや、ピンフ赤高めイーペーコーリャンメンテンパイよりは、ピンフ赤の3メンチャンテンパイがよりよい手であることが意識できていればを選ぶことは難しくないです。

 コインを投げて表が続くと、次こそ裏が出ると思ってしまうのは「ギャンブラーの誤謬」。では次も表が出ると思ってしまうのは何と言うのか気になって調べてみたところ、「熱い手の誤謬」と言うようです。ついでに、本当は表が出やすいコインなのに、それでも表も裏も出やすさは変わらないと思ってしまうのは何かも調べてみましたが、これは特に言葉が無く、調べたところでは仮に「ギャンブラーの誤謬の誤謬」と呼んでいました。
 昨今の麻雀戦術本で勉強されている方は「ギャンブラーの誤謬」に陥る方はあまりいらっしゃらないと思いますが、他のタイプの誤謬に陥る方は結構見受けられます。頭ではオカルトを否定できても、意識のうえではなかなか否定できないのが人の有り様であることは自覚しておきたいですね。

 Q97〜99

 Q97は再びウイング8枚形を残してリャンメン固定を選ぶ手。アガリ率でも打点でも勝るので今回は選びやすかったと思います。

 Q98はヘッドレス1シャンテン。2メンツ形の感覚だと唯一の浮き牌である。くっつきの感覚だと端寄りのに手がかかってしまうかもしれません。手牌構成を分類することの重要性が分かります。
 Q99は雀頭が振り変わることで手役がつく変化があるケース(現麻第16回)。メンツやメンツ候補が手変わりするケースに比べるとどうしても見落としやすいので注意が必要です。

 今の自分の状態がついているかどうかを自覚しておくことは大切です。不運までも自分の実力と思い込んでしまうのは、自分の実力なら負けが続いて当然と考えてしまうことになるので、「ギャンブラーの誤謬の逆」(「熱い手の誤謬」は、勝ちが続けば次も勝つというニュアンスなのでここではこう表現します)に陥ることになります。

 逆に、何らかの理由で自分の実力が低下していることまで不運で片付けてしまうのは、「ギャンブラーの誤謬の誤謬」になります。
「運も実力のうち」という言葉がありますが、負け勝負を運勝負にまで持ち込むのは実力というのは確かですが、運は実力たり得ませんし、実力で無いものこそが運です。明確に区別するようにしましょう。

 

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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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