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「反省を力に変えて引く三の矢」赤坂ドリブンズ12月17日マッチレポート

「反省を力に変えて引く三の矢」赤坂ドリブンズ12月17日マッチレポート

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村上「Mリーグ開幕以来、いっっちばん悔しい試合だった。」

12月17日の試合、2ヶ月ぶりのトップを目指して卓についた村上を襲ったのは無情の4着という結果だった。

たろう・園田とチームメイトが順調にポイントを積み重ねる中で、自分だけが足を引っ張っているのではないか。責任感が強く真面目な村上だからこそ、現状にやりきれない思いを抱えているのだろう。

村上「この感情をどこにぶつけていいか分からない。」

開局、2巡目に勝負手のリーチをかければ

前原選手の仕掛けに12,000点の放銃。

次局、回ってきた親番でも前原選手の早いリーチでマンガンの親被り。たった2局で持ち点は8,000点まで削られた。

この苦しい展開の中で村上は何を思い、何を考えて打っていたのか。

やり場のない思いを払拭するように、今回のインタビューでは2時間近くかけて対局を振り返ってくれた。

 

しかし、筆者の予想に反して村上からは、自身の麻雀の内容について否定的な話はほとんどなかった。

村上「全体を通してよく打てたと思う。読みのズレも少なかったし、打牌の選択もおおむね納得がいっている。」

東4局、終盤に多井選手のリーチに対して現物が無くなった村上。まずはこのリーチをどう読んでいたのだろうか。

村上「俺が3巡目に、前原さん4巡目がを切っていて、の場況が良さげに見えるからチートイツもあると思ってた。かといってメンツ手を否定できるわけではなかったので、メンツ手で最も当たりにくい牌を選ぶべきかなって考えた。」

多井選手のリーチ宣言牌がチートイツの場合に待ち頃の牌になることから、変則手の可能性も考慮に入れていた村上。しかし、一方でその読みを決定付ける材料があるわけではないため、メンツ手だった場合に当たりにくいが候補に挙がったという。

村上「(多井選手は)もツモ切り。スジのはチートイツの場合は待ち頃に見えるけど、これが一番メンツ手に当たる可能性が低い。」

ということで打

次巡、再び現物は無し。先ほどの論理で行くと、は1枚切れ、は生牌なのでメンツ手に当たりにくそうなを切りそうなところである。しかし、村上は打とした。

村上「ツモ番がまだ残り1回あるんだよね。つまりここでを通しても、次巡また何かを切らないといけない。ここでを通せば次もが切れる。」

これは、例えば放銃率が10%の牌を2種類切るより15%の牌を1種類切る方がマシという理論。残りツモ回数から引き出した最善の選択。偶然ではあるが、切らなかったは多井選手の当たり牌であった。

 

東4局、くっつきのイーシャンテンの選択。くっつきのイーシャンテンは場況や見えている枚数からの総合的な判断となるため、麻雀力が大きく問われる。

村上「アサピン(朝倉康心選手)がマンズの染め手に向かっててソウズは持ってなさそう。前原さんは3巡目に手出しの後に手出しで、こちらもソウズの真ん中は持ってなさそう。」

では、場況のいいソウズとドラのくっつきを残して打という選択になるのだろうか。

村上「いや、ピンズが一番アガれると思ってたからそれはないね。上家で仕掛けている多井さんがソウズのブロックを持っていると読んでいたから、枚数判断で切りにした。」

狙い通りアガリに最も近いと感じていたにくっつけてリーチ。村上の読み通り、ピンズの有効枚数が最も多かった。

山に4枚残りのを先制リーチの前原選手から討ち取ると、裏ドラも乗せて8,000点のアガリを決めた。

場況と手牌読みからを残せた村上ならではのアガリだ。

 

南1局、ダブがトイツの手牌だが、ドラのを引いたところで打としてチートイツに決めた。

村上「ドラを引く前はをポンしてのメンツ手進行も狙ってたけどね。が1枚切れてドラを引いて。こうなったら俺の中ではチートイツに決める一択だね。」

その狙い通り多井選手の親リーチに対して、ドラ単騎で追っかけ。

このドラは先制リーチの多井選手にトイツ、残りの1枚も朝倉選手が持っており、純カラ(山にアガリ牌が残っていない状態)で親リーチとめくり合うことになってしまった。しかし、村上の思考は前向きだった。

村上「結果的に純カラでヒヤヒヤの局になったけど、この局に関しても特に反省はないかな。むしろベストな1局だったと思う。こういうリーチを増やせればたまにアガれて、大きなトップが取れるはず。」

そう、これは村上のみならずドリブンズ全体で共有されている麻雀へのアプローチ。

 

“結果ではなく、過程を反省すること”

 

反省すべき点はもちろん反省する。ただし、反省の対象は結果ではなく過程であるべきだ。

それを体現するかのように、村上はこの対局で唯一反省しているという局について語りだした。

ラス目で迎えた南2局の親番、ドラドラの手牌だが多井選手から早いリーチを受ける。

村上は通っているではなく打とした。

村上「上家の多井さんからのリーチ、自分はラス目のドラドラで勝負手。上家のリーチは全ての牌がチーできるから、タンヤオで仕掛けることを目指す方がアガリに近い。この選択は普通かな。」

通っていないを切るに十分値する状況という判断。

ところが、手が進んだところで、今度は通っている切りとした。

村上「これが中途半端でよくなかった。一手前でを切る選択もあったけど、さすがにここでを切らなきゃいけなかった。」

ドラを2枚使い切る前提ならは残す必要のない牌。を引いた時にターツを選択できる余地を残すためにも、強くを押すべきだったという。

結局はどう打ったところで、多井選手に5枚残りのをツモられてしまうのだが、それはあくまで結果。

自分が正しいと思う過程を積み重ねなければ、次のチャンスで結果を掴むことはできない。

「ドリブンズ大反省会!反省箇所も切れ味がある園田」1分でわかるドリブンズの思考 第9回の記事からも分かるようにドリブンズはそういうチームなのだ。

オーラス、1300・2600以上のツモで着順UP。

最も鳴かれたくない多井選手の連風牌のから切り出す。すると、このを多井選手がポン。

対する村上は5巡目にこの手牌。

はドラ受けのために必要で、不要なをツモ切りたいところだが、村上の選択は切り。

村上「多井さんはマンズのホンイツが濃厚な河で、そこに対して親のアサピンがと切り出してる。アガる気がないのに切るような牌ではないから、アサピンもかなりテンパイに近い位置にいると思った。それなら自分がアガるよりもアサピンの方が早いと思っては絞った。」

もちろんを切ってもチートイツの目は残るので完全にアガリを諦めたわけではない。しかし、他家の状況も汲み取ったうえで、これが最も着順UPに近い選択だと村上は考えた。

 

すると、村上の思惑通り、親の朝倉選手からすぐにリーチがかかり

そこに多井選手が12,000点の放銃。瞬間的にではあるが、自分の着順が1つUP。狙い通りの結果となった。

しかし、朝倉選手の連荘で迎えたオーラス1本場。多井選手にマンガンツモ条件を満たされてしまい、村上は結局ラスで対局を終えることとなった。

麻雀は採点競技ではない。だから、良い選択の先に必ず勝利が待っているわけではない。ましてやこれだけのトッププロが集まっている対局ならなおさらだ。この世界で長く生きてきた村上は、そのことを重々承知している。

村上「もうグチグチ言うのは終わり!切り替えて次に行くよ!」

ひとしきり語り終えると、自身の感情に線を引いた。

どうか安心してほしい。

村上は反省すべきを反省し、次に向かうエネルギーに変えている。▲155.6ptという負債を背負っているが、決して崩れていない。

いや、むしろ期待していて欲しい。

年明けに、ドリブンズ3本目の矢が飛んでくることを。

この記事のライター

阿部 柊太朗
最高位戦日本プロ麻雀協会所属。
関西を中心に活動している95年生まれのゆとり世代。
Mリーグでは赤坂ドリブンズの記者として活動中。
目指すは未来のMリーガー!

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