
今まであまり団体のことは書いてきていなかったが、この試合は4人とも日本プロ麻雀協会のシンデレラたちが激突することになった。

入会期順で最も先輩に当たるのが、19期前期入会の羽月。それもそのはずで、今大会がプロ7年目のラストイヤーとなる。シンデレラファイトはシーズン1からフル出場。シーズン3では初のSemiFinalも経験し、「シンデレラ=羽月」という印象を多くのファンに残すべく、今年も舞台へと上がった。毎年選びに選び抜いた新しい衣装で登場するシーンも、しっかり目に焼きつけておきたいところだ。


羽月の1年後輩に当たるのが、20期後期入会の桃瀬古都。羽月と同じくこのシンデレラファイトは毎回エントリーしているものの、本戦はシーズン2以来2度目の登場だ。


残りの2人は、21期後期入会のいわゆる同期という関係にある。しかし、関東と関西に分かれており、直接的な接点はあまりないのかもしれない。
日本プロ麻雀協会関西本部所属・平城六花。日本プロ麻雀協会の公式タイトル戦である第18回オータムチャンピオンシップ決勝卓を経験している実力派で、「腕で勝ってやるでしかし!」という意味の入場ポーズをしてきた。試合はもちろんのこと、麻雀の勉強会でも東京と自宅を往復する情熱があり、自信がみなぎっている。
シンデレラファイトは、シーズン2の予選finalまで進み、オーラスに条件を満たすテンパイを入れ、テンパイtoテンパイの待ち変えを正解して本戦まであと一歩に迫ったものの、最後の1牌に巡り合うことはできなかった。平城にとっては苦い思い出かもしれないが、1枚だけ載せておく。


平城と同期で東京の本部に所属しているのが、玉木璃子。来月グラビアDVDが発売になるとのことで、そういう意味でも平城とのコントラストが面白い。ここまでの3人はシンデレラファイトシーズン2の映像が筆者の手元にあったが、玉木についてはこの試合が初見となる。事前アンケートを見てみると、「やる気!元気!玉木!」「引きの強さを見てください!」とのことだった。よく分からないけど、パッションがすごい。
東1局0本場、自動配牌を起こして、試合を見ていた全員が度肝を抜かれた。親の玉木がドラの
を暗刻にした配牌を手にしている。これは玉木の標榜する「引きの強さ」にカウントしてもいいものだろうか。

しかしここは、羽月のリーチが玉木のテンパイ打牌をとらえた。2600のロンアガリで、今宵の舞踏会は静かな幕開けとなる。

具体的な闘牌ではないのだが、興味深いシーンがあったので、1つ紹介しよう。

東2局0本場、玉木がリーチ宣言をしてから、点箱に手をやって笑っている。ドラドラ・赤赤なので、嬉しくてたまらなかったのかなと思っていたが、試合後のインタビューを聞いてみると、千点棒ではなく間違えて百点棒を出してしまったのだとか。
画像からは、桃瀬の表情のみ読めないが、羽月と平城は間違いなく笑っていた。
日本プロ麻雀協会の偉い人たちは、どうか怒らないであげてください。

玉木はリーチすることを諦めた…のかどうかは定かでないが、東4局1本場、仕掛けて桃瀬からロンアガリ。
・ホンイツにチャンタもついて8000は8300。リードを盤石なものにした。

南2局2本場は、それまで幾度となくリーチを空振りしてきたラス目の桃瀬が、ついに報われる。リーチ・一発・ツモ・タンヤオの2000・4000は2200・4200で大復活を遂げた。3着目の羽月は、ラス回避争いのライバルである桃瀬のツモアガリで親被りをさせられ、ラス目に転落。ここから苦しい時間帯に。
これは先週GroupCで南ていかがやられたパターンじゃないか。羽月、ピンチ。
【南4局0本場】
東家・平城六花 22300
南家・玉木璃子 33000
西家・羽月 17400
北家・桃瀬古都 27300
親の平城が5巡目に先制リーチを放つと、一発でツモアガリ。2600オールでラス回避をほぼ確定させ、トップ目の玉木まで300点差に迫る。
【南4局1本場】
東家・平城六花 30100
南家・玉木璃子 30400
西家・羽月 14800
北家・桃瀬古都 24700

2着目で親の平城の配牌がいい。2巡目に自風の
を重ね、仕掛けて5800〜12000コースを見る。

トップ目の玉木も黙ってはいない、1巡目からタンヤオを目指す打
とすると、ネックのカン
を引き入れてピンズを三面張に。

羽月のラス回避条件は、満貫ツモアガリもしくは、5200は5500の直撃となる。ドラも赤もない手で、三色同順をねらうなら678か、はたまた789か。

をトイツ落としし、タンヤオに向かう平城。

玉木は先制リーチを放つ。玉木は後のインタビューでその理由を、「親からリーチが来た時、逃げないように。」と語った。

急所のカン
を引き入れ、通っていないドラ表示牌の
を勝負する平城。

2着目親の平城が押しているのを見て、羽月以外になら8000まで放銃できる桃瀬も一工夫入れる。玉木が![]()
待ちだった時安めとなる
を打って、親リーチが来る前に決着をつけようと試みた。

![]()
待ちの玉木は当然スルー。しかし、イーシャンテンの平城はチーテンを取った。![]()
待ちだが
では役がないためアガることができない、いわゆる片アガリと呼ばれる形だが、背に腹は変えられない。この手を決めて、トップで通過したい。

玉木の決意、桃瀬の技術、平城の執念、そして羽月の祈り。
四者の熱い想いが、卓上を交錯する。決して「1番強く願った者が勝った」とは言わないが、

を力強く引きつけたのは玉木だった。2000・4000は2100・4100のツモアガリで、トップ通過を手中に収める。

GroupD♯1で、トップを獲得したのは玉木璃子。実績で上回る関西の3人を向こうに回し、殊勲の金星を挙げてみせた。
2着の平城六花と3着の桃瀬古都は、ともに♯3へと進む。次は2着まで通過できるルールなので、打ち方を変えて臨むことになるだろう。その引き出しを、持っている2人だ。
4着の羽月は、おそらく1番強かったであろう今舞台への気持ちを後輩たちに託し、ちょうどこの日解説として復帰したばかりの綱川隆晃さんから声をかけてもらって、初めて涙をこぼした。ずっと張っていた気持ちが、ふっと緩んだのだろう。

実力だけではどうにもならないところが、頑張っただけでは報われない部分が、想いの強さが勝負に反映されない無機質さが、麻雀にはある。
羽月はラストイヤーだし、本当はめっちゃ悔しかったんだぞ、という気持ちが、どうか綱川さんとの反省会を通して、テーブルに置きっ放しのアイスのように、溶けていきますように。

つい1ヶ月前は32人いたシンデレラも、今日が終わればあとたったの16人だ。毎週火曜日の夜に、136枚の牌の並びに一喜一憂する日々が、いよいよ折り返し地点を迎えている。
Day4結果レポート
#2,#3観戦記
小西雅の最終舞踏会【シンデレラファイト シーズン5 GroupD #2 担当記者・坪川義昭】
抗えぬ運命、その一打【シンデレラファイト シーズン5 GroupD #3 担当記者・中野るい】































