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第18期雀竜位決定戦 3日目13回戦観戦記 著:藤井まひと

第18期雀竜位決定戦 3日目13回戦観戦記 著:藤井まひと

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2月16日に開催された第18期雀竜位決定戦3日目の戦い13回戦の観戦記!著者は雀竜位戦B級の藤井まひとプロ(@kagerou_toushi)です。

当観戦記は日本プロ麻雀協会公式HPにて公開されたものの転載になります。

日本プロ麻雀協会公式HP

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12回戦(矢島→大浜→坂本→千貫)

【担当記者:藤井まひと】

この牌姿を見て「あの時の…」と察しがつく方も少なくないだろう。
第18期雀王決定戦最終日、19回戦目の南3局1本場での出来事だった。

雀王戴冠がすぐそこまで来ている堀をどうにかして追い詰めたい。
この堀の親番でもう一撃決めて堀のポイントを削りたい。
トータル2位とはいえ、開始時210.9ポイントもの差をつけられて堀を追っていたその男は、大博打に打って出た。

道中のアガリを拒否し、ついに漕ぎ着けた四暗刻テンパイ。
それが冒頭の牌姿だ。

しかしこの手、片方の待ちであるは無残にも河に2枚とも横たわっている。
そして追い討ちをかけるように、渋川からリーチが飛んでくる。
あろうことかリーチ宣言牌として河に捨てられたのは、その男が引き寄せれば奇跡を起こすであろうだった。

男から「ロン」…の声は出ない。
それもそのはず、これを渋川からアガってしまうとこの半荘二着目の渋川のポイントが三着目の堀と並んでしまう。
これは堀が雀王に近付く可能性をさらに高めてしまいかねない。

が山にあと1枚埋もれているとはいえ、渋川の待ちは山に4枚。
これはさすがに厳しいか…誰もがそう思っただろう。
奇跡というものは簡単には起こらないから奇跡なんだ。

でもこの時、その奇跡は起こった___


第18期雀竜位決定戦最終日13回戦。
昨年の圧勝劇とは裏腹に、優勝候補筆頭であり連覇濃厚と目されていた矢島は初日こそポイントを稼いだものの、2日目は展開に恵まれず坂本の後塵を拝していた。
坂本とのポイント差は92.5ポイント。
残すところあと、3半荘。

結論から申し上げると、この半荘の主役は矢島ではなく大浜と千貫だった。

東1局、親の大浜のピンフドラ1の先制リーチを受けた次巡、後がなくなってもトレードマークの笑顔を崩すことのない千貫。
そんな局面でも柔らかい表情のまま追いかけリーチ。
この勝負にドラでのツモアガリという最高の形で勝ち、序盤から大きなリードを得る。

1300/2600のアガリで気持ちよく迎えた、南2局大浜の親番。
坂本の先制リーチを受けた直後にテンパイ。
当然の追いかけリーチに、なんと坂本が一発で捕まり満貫を打ち上げる結果に。

実は坂本、この日の11回戦と13回戦ではアガリはおろかテンパイ料での加点すら得られなかったのだ。
加点することが出来ていた12回戦では大浜の魂の山越し被弾や、オーラスの見事な連携により三着を引かされている。
これが追われる者の宿命なのだろう。

そして矢島はこの半荘、大きな見せ場を作ることができなかった。

___3か月前の雀王決定戦最終日、この先も語り継がれるであろう劇的な四暗刻を成就させた矢島。
19回戦開始時に210.9ポイントあった堀との差が、最終戦開始時には57.2ポイント差になっていた。
ついに堀の影が、背中が、いや、やっと肩に手が架かった。
しかし、あの時は堀の前に出ることは出来なかった。

今の矢島はきっと、坂本の後ろ姿をあの時の堀と重ね合わせているだろうか。
あの時よりも1回多い残り2半荘で、その差は53.4ポイント。
きっと、心の中でこう言っているに違いない。

「今度こそ超えてやるよ」

この記事のライター

麻雀ウォッチ編集部
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