2016年6月28日(火)、日本最大規模のサンマ(三人打ち麻雀)の大会「第4回 鳳凰杯」の決勝戦が行われ、大阪・枚方の「麻雀倶楽部 くまさん」が見事初参戦での優勝を果たした。
解説の加藤哲郎さんと「麻雀倶楽部 くまさん(大阪・枚方)」
日本最大級のサンマ大会、今回の決勝進出はいずれも大阪のサンマ専門店
鳳凰杯は、全自動麻雀卓「センチュリー」を製造・販売する麻雀卓メーカー・株式会社鳳凰が主催で、関西を中心とする事業者(麻雀荘)参加型の大会。第2回より三人打ちの大会としてリニューアル、第4回となる今回は過去最多の44店舗が参加して、約2か月間にわたって熱戦が繰り広げられた。
三人打ち麻雀の大会としては、規模の大きさも事業者参加型であることも、そして全対局がインターネット生配信されることも極めて珍しく、関西の「サンマ文化」を広く発信するイベントとして注目を集めている。
三人打ち麻雀は大物手が出やすい上に「鳳凰杯」・は全て通しドラというルールで、かなり派手な打撃戦になるだけでなく、上級者同士ではそれでも守備力の高さから意外なほど放銃率は低く、ネット配信のコンテンツとしてのエンターテインメント性の高さも評判。
運営を担当している雀サクッでは「ニコ生」「AbemaTV FRESH!」の同時生放送と「Youtube」でのアーカイブUPを行っており、実況に日本プロ麻雀連盟の赤木由実プロ、解説に元近鉄バファローズの加藤哲郎氏・最高位戦日本プロ麻雀協会所属の津田岳宏弁護士・麻雀解説の第一人者である梶本琢程氏・ネット麻雀「天鳳」の初代天鳳位ASAPINらを迎える豪華な布陣で配信、今大会の生配信の視聴数合計・前大会のアーカイブの視聴数合計は、共に10万の大台を記録している。
今回決勝に進出したのは大阪・千日前「ど素人 麻雀くらぶ アットホーム」、大阪・住之江「Two-in」、大阪・枚方の「麻雀倶楽部 くまさん」。
「アットホーム」は準決勝の最終局オーラスで、役満・四暗刻を成就させて100ポイント以上の絶望的な大差を逆転しての決勝卓到達。対して「Two-in」は1回戦こそ僅か4ポイント差と辛勝だったが、準決勝で前回優勝の「まかお 日本橋店」にも快勝するなど比較的危なげない勝ち上がり。
そして「くまさん」は1回戦プラス264ポイント・2回戦プラス302ポイントという、圧倒的な爆発力を見せての進出。試合運びは三者三様だったが、いずれも大阪府内のサンマ専門雀荘で、本場の専門店の強さを見せ付ける組み合わせとなった。
ダブロンアガリと、ダブロン回避が分けた明暗
決勝戦で最初の勝負の分岐点は、接戦で迎えた第1戦南1局(ドラ)
「くまさん」のの先制三面張リーチを「Two-in」が同テン三面張で追っ掛け、これに当たり牌を6枚掴んで回していた「アットホーム」がから切りの追っ掛けリーチでダブロンに放銃。
「アットホーム」としては淡泊に打っていれば1軒に飛び込むだけで済んでいたところ、粘って聴牌打牌まで引っ張ったがためにダブロンになるという不運な巡り合わせ。いわゆる"流れ"的には劣勢を印象付ける局となったが、その"流れ"そのままに、南2局親で先制聴牌を組むも倍ヅモを被って箱割れ終了となってしまった。
続いて三者の手牌がぶつかったのは、第2回戦東2局(ドラ)。「アットホーム」が嵌で先制リーチ、これに「くまさん」が ポンで追い付き、更に「Two-in」がの高め倍満の三面張で追っ掛けリーチ。
ここで「くまさん」はを掴み、を打っての聴牌維持ならばダブロンという窮地だったがトイツ落としで凌いで、次順を重ねて聴牌復帰。更に次順ツモで打で ポンとして、直後の「アットホーム」のを打ち取るという離れ業(ワザ)を演じて見せた。
1回戦で勝負に行ってダブロンを放銃した「アットホーム」、2回戦でダブロンになるところを粘って回した結果アガリをもぎ取った「くまさん」。決して麻雀の技術・巧拙だけでなく、勝負の機微・押し引きのアヤがもたらした"明暗"だったが、この結果がその後の展開を象徴するであろうことは想像に難くなかった。
逃げる技術と戦略、追い掛ける意志と根性
実際、第2戦終了時でトップに立った「くまさん」と2番手「Two-in」との77ポイント差がその後縮まることはなく、むしろ差を拡げていく展開に。
第3戦「アットホーム」が倍満ツモでトップ目に立つも、東2局「くまさん」が リーチツモでリーチツモメンホンドラ(5は通しドラ)花花裏裏裏()の三倍満で一発逆転。第4戦の東2局でも「トイトイ三暗刻西ドラ6花」の三倍満をツモって9万点オーバーの押し切り。
決勝6戦のうち4戦を終了した時点で、「くまさん」はプラス254ポイントでぶっちぎり、「アットホーム」マイナス83ポイント・「Two-in」マイナス171ポイントと大きく引き離すワンサイドゲームとなった。
それでも第5戦東1局、起家の「Two-in」が9巡目に待ちの国士無双を黙聴する意地を見せるが、ここで「アットホーム」のリーチに危険牌を押す「Two-in」を見て、「くまさん」が半ば差し込み気味にリーチに振り込むという老獪さで事なきを得る。まさに「役満さえ打たなければほぼ大丈夫」な場面で、役満を避けるために最善手を打つという技術を見せ付けた。
最終第6戦開始時点、「くまさん」は210ポイントで、2番手の「アットホーム」に212ポイント差。ここで東1局(ドラ5s)「くまさん」の先制リーチを、起家の「アットホーム」がで追っ掛けリーチ、一発でを打ち取って「リーチ一発中ドラ6花」の24,000直撃。
これで一気に可能性は膨らんだが、このまま「くまさん」が飛んで終了だとまだ足りない(仮にこの後18,000の1本場直撃で点差が8万8千点だと88ポイント、オカ25ポイント・沈みウマ上下20ポイント・飛ばし料上下20ポイント・チップ1枚上下10ポイントなので、40ポイントほど足りない、試合後のインタビューでは「24,000でなく36,000ならば自分が飛んで優勝なので、裏乗れ!と祈っていた」と冷静に語った)。
「アットホーム」としては、ここから更に「くまさん」から役満直撃、或いはむしろ「くまさん」の点棒を守りつつ「Two-in」の点棒を削って、最終的に大物手をツモって2人を同時に飛ばすという奇跡のようなミッションが課される…という状況で、東3局(ドラ)実際10巡目に国士無双・待ちの聴牌が入るという劇的な展開。しかし「くまさん」が七対子を「アットホーム」から出アガリという無情な結果となった。
さらに南1局(ドラ)、「アットホーム」がピンズをと序盤からバラ切りしての親マンを黙聴、これに対して「Two-in」がからツモで、高目で大車輪(メンチン七対子=役満扱い)・安目でもチンイツピンフイーペーコウドラ4で三倍満という手替わりの打が捕まる。
この時点で「アットホーム」は役満ツモか倍ヅモの2枚オール以上という条件ができたが、次局は「くまさん」がアガって優勝へのカウントダウンはまさに大詰めに。
それでも南2局に一発跳満ツモでチップも上乗せした「アットホーム」は役満条件が残って粘るが、オーラス1本場「くまさん」がの黙聴を4巡目という高速で入れて、すぐさま出アガリ終了。盤石の押し切りを見せた。
しのぎを削る激しい戦いの結果、優勝は「くまさん」
序盤の粘りを幸運に変え、中盤にはあらゆる技を駆使して、終盤まで油断なく捌いた「くまさん」が、心技体揃った素晴らしい圧勝。中盤以降は消化試合になるかと思われた対局だが、それでも最後までできることをやり切って戦った「アットホーム」「Two-in」の両店もその技術と根性を見せ、最終局まで逆転の可能性を残して、記憶に残る対局を作り上げた。
優勝した「くまさん」のみならず、準優勝「アットホーム」・第3位「Two-in」にも、惜しみない万雷の拍手を送りたい。
左から準優勝「アットホーム」、優勝「くまさん」、第3位「Two-in」、株式会社鳳凰水野修社長
【番組公式HP】
http://jan39.com/phoenixcup/
【アーカイブ視聴】
Youtube「雀サクッ」チャンネルに今後順次UP、上記公式HP内「リプレイ動画」フレーム内にて再生リスト視聴可能
記事提供:雀サクッ事務局