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ネマタの戦術本レビュー第702回「麻雀 だから君は負けるんです 著:堀 慎吾 その11」

ネマタの戦術本レビュー第702回「麻雀 だから君は負けるんです 著:堀 慎吾 その11」

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ネマタの戦術本レビューとは
  • 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
  • ご意見・ご感想がありましたら、お問い合わせフォームから送信してください。
  • 第1回から読みたい方は、目次からご覧ください!

テーマ 22

 基本的に役有りテンパイであれば、リーチよりダマにした方がアガリやすいです。リーチすることでアガリ率は下がりますが、他家のアガリ率も下がり、結果的に流局率が上がります。よって、「打点を上げる」目的でも、「他家を降ろす」目的でも、安手ほどリーチのメリットが大きく、高い手ほどメリットが小さいと言えます。「高い手のときこそ他家に降りてほしい」というのは明確に誤った考え方です。


 この考え方は、「追いかけリーチされて放銃したくないから安手でリーチしたくない」の裏返しからくるものと思われます。こちらは先制リーチの優位性が普及したので以前ほど言われなくなりましたが、リーチの優位性が強調されるあまり、今度は「他家を降ろす」効果が過大評価され、「他家を降ろしたいからリーチ」は未だによく言われているというところでしょうか。本書で指摘されている通り、「相手に自由に打たせる」ことは、自分が高い手をテンパイしているなら基本的にメリットです。
 

「高い手であっても他家に降りてほしい」と言えるのは、既にテンパイ濃厚な他家がいて、こちらのアガリ牌がその他家に対しても危険で、なおかつその他家の待ち候補がこちらの安全牌でないケースです。悪形テンパイでテンパイしている他家一人とめくり合いするのと、悪形テンパイで他家全員が降りるのとではアガリ率があまり変わらないので、放銃リスクが無い分、リーチしても打点がアガリにくいとしても後者有利と言えます。こういった場合は「他家を降ろすリーチ」が有力です。


 ただし、出現頻度はかなり低いですし、判断ミスでアガリ逃した時の損失も大きいので、基本はやはり、「アガリたい手だからこそ強気のダマ」をお勧めします。

テーマ 23

 そもそもダマで満貫確定であっても、リャンメンテンパイならリーチが悪くないケースが少なくないものです。安めをツモるケースもある以上、高めでダマ満貫の手はなおのことリーチした方が有利であるケースが多いです。
 高め安めの差が特に大きい場合や、ダマなら高めが特に出やすいと判断できるケースならダマにすることも考えられます。167ページの手牌については既にシミュレートによる結果が出ています。

局収支上は、「ダマで安めが出てもアガる」以外の選択はほぼ互角ですが、跳満から倍満以上を狙う順位的メリットは薄いので、「ダマで安めが出たら見逃し。安めツモでアガるかフリテンリーチをかけるか、フリテンリーチをかけた後の安めツモをアガるかどうかは他家の動向次第」という選択が無難そうです。

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堀 慎吾
単行本:1,620円
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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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