前回、リーチしていなければテンパイ宣言は義務ではなく権利なので、(他家から見て100%テンパイの手牌であっても)ノーテンにすることが可能であることを取り上げました。各プロ団体のルールでも、テンパイ宣言は権利扱いとされているようです。
ところが、テンパイしているのにノーテンと宣言するのは、言わば虚偽の申告。これがアガった時の点数計算であれば、虚偽の申告はルール違反。その点から、テンパイ宣言は正しく行われるべきであり、疑義が申し立てられた場合は、手牌を公開して確認するべきであるという意見もあります。
しかしそうなれば、流局時にノーテンの他家に毎回手牌を開けることを要求することも可能になります。これは明確にゲームの円滑な進行を意図的に妨害する行為。ルールとして認めるのは望ましくありません。アガリ牌が切られた時やツモった時ではなく、アガリを宣言した時に初めてアガリが成立するように、テンパイもテンパイを宣言して初めてテンパイが成立するとみなすべきでしょう。もし、「テンパイ宣言は正しく行われるべき」とするなら、そもそも最初からノーテンであっても手牌公開を義務とするルールに明記されてしかるべきと考えます。テンパイ宣言を任意とするか強制とするかについては、こちらでも議論がなされていました。
テンパイ宣言に関するもう一つの問題点として、テンパイを宣言する順番を明記しないと、誰かの宣言を聞いてからテンパイかノーテンを選べた人が有利になってしまうというのがあります。こうした不公平を避けるために、東家→南家→西家→北家の順でテンパイ宣言することが各プロ団体ではルールに明記されていますが、これをアマチュアのセット卓で徹底させるのは難しいものがあります。重要になる局面がさほど多くない割に、ゲームの円滑な進行が妨げられる要因にもなるためです。
そうなると、「テンパイ料無し」「ノーテンでも手牌公開を義務にする」ことも考えられます。しかし、前者は一部の競技団体が採用しているに留まり、後者に至っては採用例さえ聞きません。
前者に関しては、「テンパイ料を狙うのも技術の一つで、当たり牌をうまく止めてテンパイに取れると嬉しい」。後者に関しては、「何のメリットも無いのに他家に自分の手の内を見られるのは嫌」と感じる人が多いというのが理由でしょうか。私自身もどちらかといえばそう感じる方です。裏を返せば、現在一般的に普及しているリーチ麻雀のルールが、合理的と言えない面が多々あるにも関わらず受け入れられているのも、「一度受け入れてしまえば、その方が楽しい」これが一番大きな理由かもしれませんね。