9/24(日)19:00よりAbemaTV「麻雀チャンネル」にて放送された、RTDリーグ準決勝最終節19、20回戦(最終戦)の様子をお届けします。
レポートは、鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)がお送りします。
開始時のポイントはこちら↓
19回戦
最終戦、まずは1、2、7、8位卓から。こちらの卓は、上位者も下位者も条件があまりないため、普段通りの麻雀が展開されると予想できる。
条件がないとはいえ、全員絶対に手を抜くことはない。
村上とたろうのトップ争いでオーラスに突入すると、たろうがトップを目指して構想通りのドラ単騎リーチをかけた。
これに対し、をポンしてテンパイを入れていた村上がを掴む。
何を打っても準決勝敗退という結果には変わらないが、長考に入る。
こういうときこそ、まだ見ぬ明日の勝ちにつながる打牌をしなければならない。
通りそうなを抜くこともできるし、が狙い目だけにドラツモ切りもあるが、村上はギリギリを攻める打を選択し、見事な放銃回避でテンパイを維持した。
すると、小林がにチーをかける。
テンパイ料での逆転首位通過を目指した。
全員が最後の1打までベストパフォーマンスを見せる。
その結果、たろう・村上の2人テンパイで静かに流局し、佐々木・小林の決勝進出が決定した。
20回戦
ついに本当に最終戦がやってきた。
こちらの3~6位卓は、ほぼ勝又と平賀の着順勝負に焦点が絞られる。
勝又「着順勝負は、自分の中では得意とするところなので自分らしくがんばります」
平賀「着順勝負になったら勝又さんのほうが上だと思います。どれだけ突き抜けられるかが自分の麻雀だと思ってるんで、自分の麻雀を打ち切るだけです」
2人とも同見解で別戦略を採ろうとしているところが実に興味深い。
平賀の言葉通り、繊細な点数状況の勝負になった場合には、勝又の勝率が高くなるだろう。
麻雀IQ220という異名を持つ人知の頂点・勝又に勝負を挑もうというのだ。
直進の鋭さと重さで勝ってきた平賀が勝つには、確かに細かい着順勝負が不要なほどに圧勝するしかないということなのだろう。
さらに、対局場に向かう直前、平賀は笑って言った。
「プロ連盟で一番頭が良い選手と、最高位戦で一番頭が悪い選手の対決になったね」
相変わらず面白いことを言う。
勝又が人知の最高峰なら、平賀は異星からやってきた規格外の狂獣といったところだろうか。
麻雀IQ220 vs 人外の獣。
最終ラウンドが幕を開ける。
すると、東2局に早くも2人の衝突が起きた。
中をポンした勝又に対し、平賀がリーチをかけていく。
平賀のリーチに対して真っ向から向かっていった勝又もテンパイ。
しかし、2人だけの勝負にあらず。
大トップ条件の猿川もドラ単騎のチートイツで追いかけた。
猿川のリーチ一発目、勝又が2人に無スジのを掴む。
普通、1300の手牌では押せないだが、勝又は事も無げにツモ切った。
そして、見事に2軒リーチをかわすツモアガリ。
しかしながら、このアガリの良悪判断は難しいなと感じた。
勇気を持った前進とも捉えられるし、無謀とも捉えられる。
そんなことを考えていたら、対局後に多井がこう語ったので興味深く聞いた。
「ぼくはこのカン、アガれないほうがいいかもしれないと思うんだよね。2軒リーチに無スジのとか、普通は絶対に押さないでしょ。こういう(一見やりすぎとも思える)斬り込みが、勝又の勝因にも敗因にもなり得るところだと思うんだよね。少なくとも、ぼくにはアガれないからすごいと思うけど、ぼくには真似できないし、真似しない」
なるほどなと思った。要は、各プレイヤーのトータルバランスの話で、多井はこのカンで押すと全体としてバランスが取り切れないということなのだろう。逆に、勝又はこれを押してバランスを取り切る自信があるということだ。
特に今局の場合には、着順勝負という条件に対してどう向き合うかという話も入ってくる。
勝又は「相手とぶつかってでも決め手を決めさせない」ことを大きく捉えており、多井は「普通に打っている中で少し相手を意識する」程度のファクターとして着順勝負を捉えているのではないかと推測できる。
結果として、勝又のこのバランス感覚が、後にドラマを生むことになる。
リーチをかわされた平賀だったが、東3局では高目をツモって2000・4000。
いったん勝又を逆転するが、勝又も負けじと南入後にマンガンをツモり返して肉薄する。
そして、局面は平賀のオヤ番に移った。
平賀は2巡目テンパイを即リーチといく。
これに対し、うまく回って形を整えた勝又がタンヤオで仕掛け始め、テンパイ。
そこに、を掴んでしまう。
ここだ。
ここが、冒頭のカンとの兼ね合いになってくる1打。
さきほどのカンで押すなら、おそらくここも押しになる。
勝又はを切って平賀に放銃となった。
結果、2000点の失点で済むのだが、勝又はもし負けたらこの局が敗因になると思っていたようだ。
「白鳥さんが差し込めるように、安く見せる努力をもっとすべきだった」と語ったが、ドラが猿川に固まっている以上、私には精一杯安く見える河を作ったように見えた。勝又の追求心には恐れ入る。
この勝又の嫌な予感通り、気持ちよくオヤを続けた平賀は、1本場で4000オール。
そして、3本場でもリーチ。
このリーチに勝又が少し手を止める。
さきほどからの押し引きバランス面と手牌面、どちらから見ても、おそらく打牌はになる。ほんの少しの間は、覚悟の時間だったのだろう。
勝又が一発で飛び込み、12000。
これで勝負あり。
その後、2600オールをアガって5本場を迎えた平賀のオヤ番に終止符を打つべく、勝又がリーチをかけていく。
これに対する平賀の応手がすごかった。
ドラが雀頭でジュンチャンが見えるとはいえ、全く手になっていないため、一発目こそ現物のを抜くのだが、すぐにカンをチーしてさえも切らずにを放ったのだ。
勝又への2000点放銃である。
愚形しか残っていないリャンシャンテンから着順勝負相手にド無スジで放銃など、規格外にもほどがあるが、これが平賀聡彦。
平賀「むしろ、を切ってジュンチャンにしなかっただけ大人しく打ったほうだと思ってるよ」
これにはただただ呆れるしかなかった。
この放銃ができるのは、日本、いや、宇宙の中でも平賀だけだろう。
平賀が、規格外の攻撃力をもって、総合2位で準決勝進出を決めた。
対局後、村上がつぶやく。
「RTDリーグには魔物が棲んでますね」
それに応えた張プロデューサーの一言が秀逸だった。
「いや、魔物は平賀さんですよ」
なるほど。平賀の正体は魔物だったか。
確かに、異星人というよりしっくりくる。
平賀が背中を追いかけた故・飯田正人永世最高位の異名「大魔神」に近づけるのか、はたまた超えられるのか。
魔の道、その入り口に立ったRTDリーグ2017の魔物・平賀が、決勝戦でも攻めまくる。
これで決勝進出メンバー4名が決定。
この4名で1日4回戦×2日の計8回戦を戦い、優勝者を決める。
注目はやはり、2年連続決勝出場の佐々木寿人だろう。
これだけのメンバーの中で2年連続決勝進出は、お見事の一言。
その佐々木の攻撃に対し、先陣を切ってかわしにいくのが小林、しっかり準備して反撃をかけるのが白鳥。
そんな戦場に、どこからでも押してくる規格外の魔物・平賀が斬り込み、混沌とする。
注目の決勝戦初日は、10/26(木)17:00から生放送。
混沌を治める王者を目撃せよ。
■次回10/26(木)17:00から決勝戦1日目をAbemaTV 麻雀チャンネルにて生放送予定
藤田晋invitational RTDリーグとは
2014年に麻雀最強位を獲得した藤田晋が、団体の垣根を超え、今最も強いと言われている麻雀プロを招いて開催される長期リーグ戦。
予選ではBLACK DIVISION・WHITE DIVISIONそれぞれ8名ずつの選手が出場し、各ブロック予選全54回戦をすべて放送する。
前代未聞のスケールで開催される今大会は、名実共に最強の雀士を決める戦いと言っても過言ではない。
今期のRTDリーグは、毎週月曜日・木曜日の午後21時から最新対局を放送!!
(日曜日のお昼に、その週の最新対局をまとめて放送)
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