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ネマタの手組の達人 第18回

ネマタの手組の達人 第18回

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上の手牌から何を切るかであれば、ツモでもテンパイするように打です。テンパイする受けが増えるように、メンツ候補を「2+1枚」の形で持つのがポイントです。

では今回のようにアタマがだけの手牌であればどうでしょうか。同じようにを切りそうになりますが、今度は微差とはいえ、アガリやすいのは打でしょう。メンツができる代わりにアタマが無くなるツモで差がつきます。

ツモでマンズを落とした形。残しが生きてツモでリャンメンテンパイ。良形が残る受け入れで勝ります。

ピンズを引いてカンチャンを外した形。ここでも唯一のアタマであるトイツにくっつくカンチャンを残していることで、ツモでリャンメン×2+フォロー牌。いわゆる完全1シャンテンに受けることができます。二手先の変化ですが押さえておきたいところです。

ツモアガリ確率計算機でも微差ながら打がアガリやすいという結果になりました。

しかし得点期待値を調べてみると、打が打を逆転。理由はドラがであることにあります。

ならツモで打。ドラをアタマで固定してより手広い形になります。打点を上げつつ受けが増えるので、変化の中でも特に価値が高く、期待値に与える影響が大きいです。

のメリットはツモくらいだから、あらゆるツモでより有効な手牌になる打が勝るという主張も見受けましたが、メリットにも大小があります。

期待値の比較は、言うなれば財布の中身の金額がどちらが多いかを当てるようなもの。打と打は、テンパイする枚数や待ち、お金でいうところのお札では差がつかないので、手変わりという名の硬貨の金額で比較することになりますが、ドラツモが500円玉なら、でメンツが出来た時の受け入れ差は100円玉。ピンズの二手先変化の差は10円玉というところ。どのメリットをどの程度評価するかを定量化するのは極めて難しいですが、今回については打を想定解といたします。

解答こそ打が6割を占める多数派でしたが、その中でアガリ率なら打が勝ると判断していた方はどの程度いらっしゃったでしょうか。1シャンテンでどちらのカンチャンを落とすか。それだけの問題なのにこれだけ考察する要素があるということに驚かされます。

今回の問題は実戦譜が元になっていますが、そちらはピンズが。4択にするために純チャンや789三色も一応見える牌姿にしましたが、ドラのリャンメンを外してまでカンチャン三色を狙うことはないですし、変化がかなり限定的な純チャンを狙うよりはリャンメン変化からのメンピンドラ1狙いがよいです。

「その他」の打牌として考えられるのは唯一のアタマを崩す打ですが、言うなれば財布のお金を全て費やして宝くじを買うような打牌。しかし3巡目なら得点期待値は何と打を凌いで3番手。麻雀を打ち慣れている人ほど、「有り得ない」打牌に見えるかもしれませんが、大金を当てる必要があるような点数状況であれば意識しておいた方がよいかもしれませんね。

手組の達人第19回

 ドラ

 

 

この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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