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卓上でヨシ!麻雀暗記ノート 第65回 裏ドラを少しでものりやすくしよう

卓上でヨシ!麻雀暗記ノート 第65回 裏ドラを少しでものりやすくしよう

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5月30日、文化放送の「おとなりさん」というラジオ番組に、小林剛プロが出演されていました。
パーソナリティの平子祐希さんは、麻雀未経験。その平子さんが、達人に初歩から教えてもらおう!というコーナーです。

小林プロは、子どもから年配の方まで、あらゆる世代が楽しめる麻雀の魅力を強調されていたのですが、会話のなかで、平子さんが「僕ら全く知らないものとしては、麻雀は『運のゲーム』、結局は(牌の)並びの運じゃないか?と思っちゃうんですけど」と聞く場面がありました。

小林プロは「(確かに)運の要素は大きくて、それを楽しむゲームではあります。どんな偶然が起こるかわからない。ただ、『いい偶然』が起こりやすいよう、自分の実力で手をつくることが技術なんですよ。(対局を)繰り返していけば、上手な組み方をする人の方が成績がよくなります」と答えていて、平子さんも納得された様子でした。

今日のテーマ「裏ドラ」も、偶然つくもので、オマケのような存在だと見られがちですが、全くの運任せというわけでもありません。打ち手の技術で、裏ドラをのせやすくすることができます。裏ドラが1つのるかのらないかで、半荘全体の結果が変わることもあり、ないがしろにはできません。

例えば、下記のようなケース。

[中][中][南][西][西][①][⑨][⑨][1][2][2][7][7]  ツモ[南]

チートイツをテンパイし、[①][1]を切ってリーチしよう、という場面です。
河などの情報からは、両者の差がないとすれば、[①]を切って[1]待ちにした方が有利です。裏ドラになる確率が違うからです。

[①]が裏ドラになるのは、裏ドラ表示牌が[⑨]の時ですが、[⑨]は自分で2枚使っているので、残り枚数が少ないですね。一方、[9]はまだ山にある可能性が高く、[1]でアガれた時に、[1]が裏ドラになりやすいのです。

下記のようなケースはどうでしょう。

[二][二][二][三][四][五][六][赤⑤][⑥][7][8][北][北]  ツモ[④]

[三][六]を切ってリーチしよう、という時、一見どちらも同じにみえますが、自分で[二]を3枚使っているので、[三]は裏ドラになりにくいですね。であれば、[三]を切った方が良さそうです。

麻雀牌は34種類あるので、裏ドラが特定の牌になる確率は34分の1、約3%にすぎません。
そのため、裏ドラののりやすさを工夫しても、実際に得られるメリットは微差かもしれません。
ただ、ほんの少しであっても、「いい偶然」への工夫を常に怠らないことが、長期的にはかなりの差になるのです。

なお裏ドラは、のりやすい手と、のりにくい手があります。
のりやすい手の代表例はピンフです。牌の種類が多いからです。

[一][二][三][五][六][七][②][③][④][⑨][⑨][7][8] ツモ[9]

牌の種類が13種類ありますね。裏ドラがのる確率は、単純計算で13/34、約38%です。

厳密には、河に出ている牌の状況などによって変動しますが、3割8分といえば、野球なら超一流打者の打率ですから、相当期待できますね。

また、同じピンフでも、上のように、なるべく牌の重なりがない形を目指すのがコツです。

例えば、オーラスで自分は2着目、トップ目の親とは7500点差としましょう。
ツモなら1300・2600点でまくれる計算です。
(オーラスの逆転条件の計算は、第10回「オーラスで逆転できるか知るシンプルな法則」をご参照ください)



リーチ・ツモ・ピンフなら700・1300点で届きませんが、裏ドラが1つのれば、1300・2600点で逆転できます。
Mリーグルールのように、1着と2着の順位点が40000点差あれば、裏ドラが1つのるかどうかは、子の役満(32000点)以上の価値を持ちます。なんとしても裏ドラをのせたい。

[二][三][七][八][九][①][①][①][②][③][3][5][7] ツモ[④]

ここで、上ような状況であれば、[①]を切って[④]を残します。
その方が牌の種類が増えて、裏ドラをつかまえやすくなるからです。

冒頭紹介したように、「麻雀は運のゲームじゃないか?」という認識は、わりと世の中に根強いと感じます。
「麻雀 運ゲー」の2語で検索してみると、多くのページが出てきます。

私見ですが、私の会社の仕事との関係でいうと、新聞やテレビが麻雀の対局を一般ニュースとしてとりあげにくいのは、この認識が一因だと感じています。

スポーツの分野では、大会の勝者がどんな練習をしてきたか、頻繁にニュースになっていますね。
これは、「スポーツの結果は実力で決まる」という社会の共通認識があるからです。
それゆえに、多くの人が選手やチームの努力に興味を持ち、報道する価値を見いだしやすい。

一方、運だけで何かをゲットした人、例えば、「たまたま宝くじを買ったら1等があたったAさん」のストーリーは、別に興味はないですよね。「そりゃ棚ぼたで良かったねえ」というだけで、Aさんが何か努力をしたわけではないからです。

そして、麻雀の本質を、スポーツより宝くじに近いと思っている方が多いとすれば、自然と、麻雀のニュース価値は下がってしまいます。取材をする側も「最終的に運で決まるものを、真剣にとりあげても仕方ない」と考えてしまいかねません。

ただ、麻雀を少し学んでみると、長期的には実力に比例して結果が出るものだとすぐに分かります。
実力者と初心者が対局すると、1半荘や2半荘であれば、初心者が運の力で金星をあげるかもしれませんが、何回か繰り返すと、必ず実力者が勝ちます。

今回の話も、「あの人はいつも裏ドラがのるなあ」と思われている人がいるとすれば、それは天運ではなくて、少しでものりやすいように工夫している可能性が高いのです。

天和や地和、ダブルリーチなど、幸運な人に高い得点が与えられるルールがあるように、偶然性は麻雀の大きな魅力の一つではありますが、だからといって全体が「運ゲー」ではないーー。
そういう見方を、麻雀をしない方にも広く知って頂くよう尽力することも、私の長期的なテーマだと考えています。

次回は、守備の話に戻り、「見えない壁の推測」についてご紹介します。

この記事のライター

藤田 明人
最高位戦日本プロ麻雀協会第43期後期(2018年入会)
兵庫県出身。東京大学法学部卒業後、新聞社に入社。
記者を経て、教育事業部門で勤務。
麻雀が、幅広い世代の学びにつながることを研究しています。

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