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卓上でヨシ!麻雀暗記ノート 第10回 オーラスで逆転できるか知るシンプルな法則

卓上でヨシ!麻雀暗記ノート 第10回 オーラスで逆転できるか知るシンプルな法則

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放送対局を見ていると、「さてオーラス、○○選手は満貫ツモで逆転ですね」「2本場なので、700/1300でトップになれます」などとよく聞きます。瞬時に計算できて凄いな、と感じますが、実況や解説の方は、その都度計算しているわけではありません。どうツモれば何点縮まるのか、もともと知っているのです。

「麻雀の匠」で、第45期最高位の醍醐大プロがオーラスに臨むところを見てみましょう。

33900点持ちの2着目で、トップ目は40900点。7000点差です。十分逆転圏内で、ぜひトップを目指したいですね。醍醐さんは「8000点か、2000/4000をアガれば逆転できる。イチサンニーロク(1300/2600)だとちょっと足りない」と話しています。

7000点差なので、満貫(8000点)をアガれば文句なく逆転できるのは、分かりやすいと思います。

では、1300/2600をツモった時(典型的には、リーチ・ツモ・ピンフ・ドラ1など)はどうでしょう。
自分は、親から2600点、2人の子から1300点ずつもらうので、5200点増えます。

一方、トップ目(子)は1300点減ります。あわせて、6500点縮まります。こんなイメージです。
うーん、惜しい!7000点差を埋めるには、500点足りないですね。
ただ、誰かがリーチしてくれれば、アガるとリーチ棒(1000点)も得られるので、きっちり逆転できます。

子でツモった時に、どうなるかを細かく見てみましょう。

アガる点数 子と縮む点差 親と縮む点差 アガリ方の例
300/500 1400 1600 ツモのみ(30符)
400/700 1900 2200 ツモ・ピンフ/ツモのみ(40符)
500/1000 2500 3000 リーチ・ツモ/ツモ・ドラ1(いずれも30符)
700/1300 3400 4000 リーチ・ツモ・ピンフ/リーチ・ツモ(40符)
800/1600 4000 4800 ツモ・チートイツ
1000/2000 5000 6000 リーチ・ツモ・タンヤオ(30符)
1300/2600 6500 7800 リーチ・ツモ・タンヤオ・ピンフ
1600/3200 8000 9600 リーチ・ツモ・チートイツ
2000/4000(満貫) 10000 12000  
3000/6000(跳満) 15000 18000  
4000/8000(倍満) 20000 24000  
6000/12000(三倍満) 30000 36000  
8000/16000(役満) 40000 48000  

うわ、こんなに覚えられないぞ…、と思うかもしれませんが、実は、法則を2つ知っておけば大丈夫です。
ます、基本は「子と縮む点差は、子からもらう点数の5倍。親と縮む点差は6倍」です。上の表で黒字の列です。

1300/2600であれば、子と縮む点差は1300×5=6500点、親と縮む点差は1300×6=7800点です。
満貫ツモだと、子と縮む点差は2000×5=10000点。親とは2000×6=12000点縮みます。

赤字の列は、親からもらう点数が、子からもらう点数の倍ではないため、少しずれます。
「子と縮む点差は、子からもらう点数の5倍マイナス100点。親と縮む点差は6倍マイナス200点」です。

700/1300であれば、子と縮む点差は700×5-100=3400点、親と縮む点差は700×6-200=4000点になります。
赤字は3列だけなので、そのまま「300/500は1400と1600縮む」などと覚えてもよいと思います。

実戦では、供託や本場の影響も加えます。
供託として出ているリーチ棒は、アガれば自分のものなので、足し算します。
本場は、例えば2本場なら「自分は600点プラスで、相手は200点失うから、さらに800点縮まる」と考えます。本場が1つ増えるごとに、400点ずつ縮む計算です。

ここまではツモアガリの話ですが、ロンのときはどうでしょう。

ます、狙ったターゲットから直撃できるときは、点差の半分より多い点ならOKです。
上記の7000点差なら、7000の半分は3500。3900点以上を直撃できれば逆転できます。

ターゲット以外の他家から当たる場合は、シンプルに、点差より多い打点が必要です。
7000点差であれば、他家から8000点以上でアガれば良いわけです。これは分かりやすいですね。

オーラスでの点差計算は、順位に直結してとても重要なので、プロ団体の試験でもよく出題されます。
最高位戦日本プロ麻雀協会の過去問は、ウェブサイトで公開されていますので、第46期前期の東京会場の筆記問題(PDFファイル)をご覧ください。

問題8の1で、「南 4 局 2 本場・供託 1   東家 37600 南家 36500 西家 28200 北家 16700」から、「北家がツモで単独 3 位になる最低点数」が問われています。

3着の西家との点差は、28200-16700=11500点。アガれば供託のリーチ棒を1本得られるので、10500点を縮めればよいですね。
さらに2本場なので、800点加わります。縮めたい点差は、10500-800=9700点となります。
上の表を見ればわかりますが、9700点差をまくる最低点数は、2000/4000 が正解となります。

このような計算に慣れれば、オーラスでどの役を作れば良いのか、リーチをかけるべきかなど、方針を立てやすくなります。どうしても目指す打点にならなければ、リーチをかけて、裏ドラに期待することもあります。

また、オーラスの前、南3局でどの程度の位置につけておくべきか、見通しをつけられます。

オーラスを2着以下で迎える時の、トップ目との点差は、満貫ツモでまくれる1万点以内(相手が親なら12000点以内)がひとつの目安です。
もっとも、そう都合よく満貫はできないので、できれば  1000/2000  か 1300/2600  でまくれる射程に入れておきたいですね。

逆に、自分がトップ目であれば、南3局に少しでも加点し、オーラスでまくられにくい点差を作ることが、勝率を上げるコツになります。オーラスはもちろんですが、南3局の戦い方もとても重要です。

次回は、できれば避けたい「チョンボ」や「アガリ放棄」について考えます。

この記事のライター

藤田 明人
最高位戦日本プロ麻雀協会第43期後期(2018年入会)
兵庫県出身。東京大学法学部卒業後、新聞社に入社。
記者を経て、教育事業部門で勤務。
麻雀が、幅広い世代の学びにつながることを研究しています。

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