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卓上でヨシ!麻雀暗記ノート 第73回 供託があるときの構え

卓上でヨシ!麻雀暗記ノート 第73回 供託があるときの構え

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リーチをするときは、千点棒を出します。
その後アガリがなく流局すれば、リーチ棒は誰のものにもならず、次局の親が手元に置きます。
このリーチ棒のことを、「供託」と呼びます。
いったん、公共の場所に預けているイメージですね。

供託された千点棒は、次にアガった人が得ます。
流局が続くと、供託が何本もたまることがあり、さらに本場が増えることで加算もあるので、ボーナスが目の前に置かれている状況になります。

たとえば、4本場で供託が3本あったとすると、次局、子のピンフのみで1000点でアガッても、供託3000点、さらに4本場で300×4=1200点が加わり、1000+3000+1200=5200点ももらえます。この差は大きいですね。

そのため、供託が多いときは、4人とも早いアガリを目指すことが多くなります。



第16回「アガリに向かう2つの考え方」で紹介したように、手作りには、「早くアガる」道と「(遅くなってもよいので)点数の高い手でアガる」道がありますが、供託があると、多くの人が前者に寄るんですね。
あまり鳴かない人が役牌を一鳴きしたり、食いタンのみで仕掛けたりします。その結果、安い決着になることも多くみられます。

ただ、気をつけたいのは、供託はあくまで臨時収入だということです。気をとられすぎるとバランスを崩します。



Mリーグでも活躍する堀慎吾選手の初の著書「麻雀 だから君は負けるんです」(竹書房)では、最初に出てくるのが、供託の話題です。
「供託のリーチ棒があるときは、鳴いて早アガリを目指す」という考え方が、「アホ知識」として否定されています。

紹介されている例は、メンゼンで進めれば満貫や跳満になりやすい手を、鳴いて2000点の手にし、しかも鳴いてもそれほどスピードが速くならないケースです。

目先の1000点や2000点の供託を得るために、大きな可能性を捨てるのは、本末転倒ですね。
また、序盤では、供託を少し得たからといって、大幅に勝率が上がるわけではありません。

堀選手は、「天才知識」として「供託は誰もが欲しいもの。しかし供託が欲しい理由は勝率を上げるためです。勝率を下げてまで供託を取りに行くのは間違いです」と説いています。

また、よくあるのは、供託目当てに慌ててしまい、結果として放銃してしまうケースです。
供託があってもなくても、その局にアガれるのは1人だけで、自分のアガリ率が上がるわけではありません。
自分の手がアガリに遠そうなら、無理は禁物です。

むしろ、供託目当ての他家が、高く育ちそうな手を崩して安くアガッてくれればラッキー、ぐらいに冷静に考えた方がよいときもあるでしょう。

一方、南3局や南4局(オーラス)の終盤になると、供託の有無が最終順位に直結することがあります。


終盤、どうすれば逆転できるかという表を、「第10回 オーラスで逆転できるか知るシンプルな法則」で紹介しましたが、供託があると、逆転条件が変わってきます。

例えば、いま自分が2着目で28000点、トップ目が32500点で、2人とも子だとします。
差は4500点なので、1000/2000点をツモるか、2600点を直撃すれば逆転できますね。

では、1本場で供託が1本あるとどうでしょう。
ツモれば、供託の1000点を得られ、かつ1本場なので自分は300点加算、相手は100点を失います。
つまり、点差が1000+300+100=1400点縮まり、4500-1400=3100点差を逆転すればOKになります。
であれば、700/1300点のツモでもトップになれます。

また、直撃する場合は、自分は300点加算、トップ目は300点を失います。
点差が1000+300+300=1600点縮まり、4500ー1600=2900点差を逆転すればOKです。
であれば、2000点(タンヤオピンフなど)や1600点(チートイツなど)でもトップになれます。

僅差の終盤では、供託が1本でもあると、逆転条件が緩くなるんですね。

さらに、この場面で、逆転を期すラス目からリーチがかかったとしましょう。
ラス目が出すリーチ棒も、供託と同じですから、逆転へのハードルはさらに下がります。

自分がアガればこの1000点もらえるので、ツモなら2100点差、直撃なら1900点差を逆転すればOKになります。
500/1000点のツモか、1000点の直撃でトップ目をまくれます。
これなら、他に役がなくても、リーチをかけてツモれば500/1000点なので、かなり現実味がありますね。

初心者の方にとっては、逆転条件はただでさえ難しいところ、供託が加わるとさらに複雑になるので、敬遠したくなるかもしれません。

ただ、多くのルールで、順位点が非常に大きい(Mリーグルールだと1着と2着の差は40000相当、2着と3着、3着と4着の差は20000点相当あります)ので、勝率をあげるには、避けては通れません。

おすすめの方法は、インターネット麻雀であれば、手元に逆転条件表を置いて、終盤には点差や供託の有無を確認することです。
また、リアルな麻雀でも、普段打つ方の理解を得られれば、オーラス前にいったん止めて逆転条件を確認するのもいいと思います。
プロの対局でも、最後の順位変動によって、予選から本選に進める条件が複雑に変わるときなどは、いったん進行をとめて4人で条件を確認しあう場面があります。

この作業を何度も繰り返していると、徐々に、逆転条件の感覚が身についていくと思います。

なお余談ですが、南4局が流局して半荘が終わったとき、供託をどうするかは、ルールによって差があります。
Mリーグではトップ者に加算されます。
競技規定の第4章「競技の詳細」第8条5)
いわゆる「トップ取り」と呼ばれる方法で、トップ者へのご褒美のようなイメージですね。

一方で、主要なプロ競技団体の公式ルールでは、トップ取りにせず、供託のままにしていることが多いです。大会で「何点以上のトップをとれば予選が通過できる」などの条件があるときは、供託の有無も大事になるので、ルールを確認しておきましょう。

次回は「何もしないという選択肢」について解説します。

この記事のライター

藤田 明人
最高位戦日本プロ麻雀協会第43期後期(2018年入会)
兵庫県出身。東京大学法学部卒業後、新聞社に入社。
記者を経て、教育事業部門で勤務。
麻雀が、幅広い世代の学びにつながることを研究しています。

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