講座1「手作りの大前提を押さえよう」補足(P14~15)
「現麻本」には牌姿が数多く登場します。熱心に勉強されている方には、牌姿と何を切るかを覚えようとしている方もいらっしゃいますが、数学ができるようになるために必要なのは、問題の答えを覚えることではなく、答えを導くための考え方を学ぶことや、公式を身につけることです。手作りの「考え方」にあたるのが講座1の内容です。考え方や公式が一度身につければ、牌姿を覚えていなくても切るべき牌をおのずと切れるようになれます。
手作りの5法則について
「手作りの5法則」と題して聞きなれない言葉ばかり出てきて戸惑ってしまった方も多いと思いますが、難しく考える必要はありません。手作りの基本、それは、より「よい手」を目指すことです。「よい手」とはどんな手であるか。「よい手」を目指すためのにどのような方針で打てばよいか。これについて大まかに示したのが、「手作りの5法則」(と、講座3の「手変わりの5法則」)です。
法則1 「よい手」と言うと、色々な手役の可能性がある手を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、麻雀は自分があがってしまえば失点することもありません。極端な話毎局あがれば必ず勝てます。アガリに近くなるほど、「可能性」は無くなりますが、アガリに近い手ほど「よい手」なのです。
法則2 あがれば失点することはないのですから、あがりやすい手をあがりにくくしてまで安牌を抱えることはないですね。ここまでは最近の戦術講座で勉強された方には言うまでもないことかもしれません。
法則3 カンチャンテンパイとリャンメンテンパイ、受け入れ枚数の差は4枚ですが、アガリ率では結構差がつきます。一方、アガリまで遠い手牌で、受け入れ枚数に4枚差があっても、アガリ率はほとんど変わらないですね。アガリに近づけば近づくほど、受け入れ枚数は減ります。ですから受け入れが狭くなっても、アガリに近い段階で受け入れが広くなるならその方がいいのです。
従来、「なるべく良形テンパイを目指す」と言うと、カンチャンでテンパイしてもテンパイを外してまでリャンメンを狙う打ち方を指すことが多かったですが、これは法則1に反する打ち方です。法則1ばかりが強調されて、「目先の受け入れを増やしてひたすらテンパイを目指して打つ」のが有利といった誤解がされることもありますが、受け入れ枚数を数える必要はありません。アガリまでの手数が同じなら、良形テンパイになる受け入れが多い方が、「よい手」なのです。
法則4 アガリまでの手数が同じなら、高打点になる受け入れが多い方が「よい手」です。従来の「手役重視」打法は、何手も先の手変わりを重視されることが多かったですが、これも法則1に反するのが問題だったのであり、「手役は無視してアガリを目指す」のがいいというわけではありません。手役を狙うかどうかは別として、手役が見えることは重要です。
法則5 法則3、4の例外事項です。「よい手」を目指すと言っても限度があります。多メンチャンや、手役やドラがついて跳満、倍満となるとカッコいいですが、効率は悪いですね。麻雀に芸術点はないのです。
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