講座2「即リーが原則!」補足(P16~19)
「先制テンパイは悪形でも基本即リーチ」。「科学する麻雀」が出てから10年以上経った今となってはすっかり定着した感がありますが、本が出た当初はなかなか浸透しませんでした。私自身、「科学する麻雀」の記述に半信半疑だったものです。
先制リーチ判断に限らず、従来正しいとされてきたセオリーが誤りであると判明した例は数多くあります。では何故、誤ったセオリーが長い間正しいと信じられてきたのか、私はその理由の一つに、「人は珍しいことほど印象に残りやすいので、高確率で起こることを実際より低く、低確率で起こることは実際より高いと感じてしまう」ことにあるのではないかと考えます。
・リーチして(ダマより高打点で、あるいは役がついて)あがることができる 高確率
・リーチして(ダマならあがれたのに)あがり逃す 低確率
・リーチして手変わりを逃しあがり逃す(あるいは高打点のチャンスを逃す)低確率
・リーチして他家に追いつかれて放銃する 低確率
このように、リーチのメリットとデメリットを併記するとデメリットの方が多く見えますが、実際はリーチをした方が、しなかった場合より「よい手」になることが多いのです。しかし、「人は高確率で起こることを実際より低く、低確率で起こることは実際より高いと感じてしまう」ので、体感的に即リーチが不利と判断していたのではないでしょうか。
「即リーが原則」こそ今では浸透しましたが、「確率と体感の違い」から最善でない選択が未だに主流になっている例が結構見受けられます。それについてはまた後に触れたいと思います。
「即リーが原則」だからこそ、実戦では「いつ即リーしないか」を考える
統計やシミュレートを用いた麻雀研究によって、「一般的にどうすべきか」については正解を出せるようになりました。しかし、一般論としては正しくても、個々の状況においても正しいと言えるとは限りません(逆に言えば、一般的には正しくなくても特定の状況下なら成り立つ場合もあり、「誤り」とされた従来の理論にはその手のものも多いです)。ですから実戦では、基本的な打牌は一般的なセオリーに基づいて打ちつつ、「いつセオリーを覆すか」を考えることも大事であり、それこそ他の打ち手と差をつけられる部分でもあるのです。現代麻雀のセオリーを当たり前のように受け入れてきた人は、個々の状況にもっと目を向けるようにした方がいいかもしれませんね。
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