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もっと勝つための現代麻雀技術論 第173回 「実戦での押し引き判断」

もっと勝つための現代麻雀技術論 第173回 「実戦での押し引き判断」

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 前回、リーチが入っている時の基本的な押し引き判断について取り上げました。テンパイなら多くのケースで押し有利になっていたことに、違和感を覚えた人も多かったかもしれません。

 第3回の先制リーチ判断でも申し上げたように、「人は珍しいことほど印象に残りやすいので、高確率で起こることを実際より低く、低確率で起こることは実際より高いと感じてしまう」というのも違和感の理由として挙げられます。押し引き判断も、統計やシミュレーターによって、従来正しいとされてきたセオリーが誤りであると判明し、人間の体感とはズレがあることが証明された例と言えます。

 しかしだからといって、どんな局面でも押し引き判断表をそのまま実戦で適用すればというものでもありません。押し引き判断表の例はあくまで一定の条件下を仮定した場合の話です。実戦で条件が変わってくれば、判断が変わってくる場合もあります。

 むしろ、他家と差がつくのは、セオリーを押さえたうえで、「実戦ではいつセオリーが覆るのか」を探すことにあります。確かに、「テンパイさえしていれば大体押して悪くない」というのは事実です。でもだからこそ、実戦で注意すべきなのは、押し有利になる要素より、降り有利になる要素にあります。元々押し有利なら、更に押し有利になるような要素を考える必要はないですからね。

 では、実戦ではどのような要素があるのか、現麻本で取り上げたものも含めて改めておさらいしてみます。

一発がつく

 現麻本講座29でも掲載しましたが、一発がつく場合のロンアガリ平均打点は、一発でないリーチと比べて、子の場合2000点強、親の場合約3000強増えています。リーチに切る牌の放銃率が10%とすると、子なら200点強、親なら300点ほど収支が下がります。

 押し引き表で、「押し有利(赤色)」になっているところは、押した場合の収支期待値が、降りた場合の収支期待値に比べて500点以上上回った場合です。つまり一発がついただけであれば、元々明確に押し有利な場合は判断を変えるほどではない。微妙な時は降り有利になる可能性があるというところでしょうか。

切る牌がドラ

 もちろん放銃時の打点が上がる分危険になります。ドラが無スジ2378牌なら、非ドラの両無スジ456相当、ドラがスジ2378牌だとしても、非ドラの無スジ2378牌以上(両無スジ456よりは低い)に危険度が高くなります。

 押し引き表でも示されておりますが、切る牌の放銃率がスジ牌程度か、無スジ牌程度か、両無筋によって判断が変わることは結構あるので注意が必要です。

 カンが入っている

 カン裏の恩恵を受けられない鳴き手の場合は特にリーチに対して引き気味になります。リーチ者がカンしている場合はなおさらです。カンが入ってなくても、捨て牌や点数状況から、このリーチは高打点の可能性が高いと読めるケースもあります。

 逆に、このリーチは高打点の可能性が低いと言えるのは、ドラが多く見えている場合くらいなので、実戦ではあまり多くありません。この点からも、降り側が有利になるような要素の方が実戦では多いと言えます。

 更に、ここまで取り上げた降り有利になるような要素は、「一発かつ切る牌がドラ、しかもカンが入っている」のように複数重なることもあります。一つでは判断を覆すほどではなくても、複数となると判断を変えるべきケースも増えるのではないでしょうか。

 長くなったので、他の要素については次回以降取り上げることにします。

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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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