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ネマタの天鳳日記 第163回

ネマタの天鳳日記 第163回

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01

 他家が3人とも中張牌をバラ切りしている特異な場ですが、「どんな手役を狙っているか」「どの程度アガリに近づいているか」はそれぞれ異なります。1人ずつ考察してみましょう。

下家 マンズとピンズ切ってから手出しで字牌、ソーズは1枚も切っていないとなるとほぼソーズ一色手。アガリにまでかなり遠い段階であれば、手を進めるうえでも安牌要因のうえでも1枚切れの字牌はまだ残されることが多いので、既にアガリが近い可能性も珍しくないとみます。こちらの手がアガリに近いならともかくまだ2シャンテンなので、生牌の東をわざわざ切るのはリターンに対してリスクが大きいとみます。

対面 全色の中張牌を落としている上うえにメンツまで落としています。メンツ手は考えにくく、一度切った牌が後からまだ手出しで切られているのでチートイツも考えにくいので国士無双狙い。ヤオチュウ牌がまだ切られておらず、国士狙い一本ならアガリにかなり遠いとしても同じように切るので、テンパイしている可能性は相当レアケースとみます。
 ただし、唯一の4枚見えのヤオチュウ牌を切るときだけはリスクに見合うだけのリターンがあるかに注意します。何故なら国士無双テンパイならその4枚見えのヤオチュウ牌が100%当たり牌である為、極めて低確率でしかテンパイしていないとしても結構なリスクを負うことになるためです。

上家 最初は字牌から切っていますが後から全色の456牌を落としているとなるとチャンタ系の手役がありそうです。を切っているにもかかわらずを抱えていたことを確認できているならなおのことチャンタ、純チャン濃厚と言えます。まだ1メンツも出来ていない可能性も否定できないので、アガリに近いかどうかは何とも言えません。

02

 ソーズホンイツの南家が打。手牌にソーズ以外の数牌や字牌の浮き牌が既に無いのであれば、ダマテンもそこまでレアケースとは言えません。こうなると少なくともここからを打つのはリスクに見合うだけのリターンがありません。
 このような場合、テンパイしてそうでなおかつ高そうな他家にばかり意識がいきがちです。しかし、自分の加点のチャンスがかなり薄いのですから、この段階でなすべきことは「別の他家がテンパイしていたとしても当たらない牌を切る」ことです。この時は南家にばかり気を取られていた為に…

03

 1フーロの北家に純チャン三色ドラ1の7700を放銃。ここまで手が入っているケース自体はそれほど多くないですが、南家もメンホンを待ちでダマテン。少なくともノーテンから押すに見合わない東を抱えている以上このも止めるべきでした。

 押し引き判断のミスと聞くとどうしても、リスクが極めて高い牌を切ってしまうというイメージが付き物ですが、ある程度麻雀に慣れた段階であればその手のミスは大幅に減ります。大半のミスは、「リスクは高いが、見合うだけのリターンがあるにもかかわらず降りてしまう」または、「さほどリスクは高くないが、見合うだけのリターンがないのに押してしまう」のどちらかです。ちゃんと降りているつもりなのに勝てない人は前者、攻めるべきところで攻めているつもりなのに勝てない人は後者のミスを重ねていないか確認されることをお勧めします。当日記をご覧の方にはお分かりいただけると思いますが、私は圧倒的に後者のミスが多いです。今後は安易に打たずに意識を改めていきたいものです。

この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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