2月1日に開催された第18期雀竜位決定戦の戦いの5回戦の観戦記!著者は雀王戦A1リーグ所属の小川裕之プロ(@inosisi0421)です。
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— 日本プロ麻雀協会 (@ClubNPM) February 7, 2020
第18期雀竜位決定戦1日目 5回戦目の観戦記をアップ。https://t.co/ZJpoG6TDRG
(文:小川 裕之)
当観戦記は日本プロ麻雀協会公式HPにて公開されたものの転載になります。
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5回戦(吉田→矢島→坂本→千貫)抜:大浜
今期の雀竜位決定戦は初の5人打ちで行われている。
そして10回戦終了時、つまり2日目が終了した時点でトータルポイント最下位の1名は敗退となってしまう。
その2日目の抜け番順は、この5回戦終了時のトータル上位から選択権が与えられる。
10回戦目の抜け番はポイントを合わされてしまうので、トータル最下位になる可能が高い千貫・吉田はそこを意識して打つだろう。
大事な5回戦、先手を取ったのは千貫。
吉田の親リーチと千貫の仕掛けに挟まれた矢島から3900のアガリ。
しかしトータルトップの坂本が矢島から8000、吉田から12000と連続のアガリ。
その坂本とは対照的に吉田の点箱からは無情にも点棒が零れ落ちる展開が続く。
南場に入り迎えた親番でのリーチも2連続で不発に終わる。
しかし南2局ではこの配牌からなんと一人テンパイをものにし粘りを見せる。
迎えた南3局1本場、ラス目の吉田と三着目の矢島とは3500点差。
そしてトップ目は千貫であることを考えると、2日目の最終戦抜け番になることは逃れられない。
ならば雀竜位になる確率だけを見据え、トータル上位の坂本・矢島にトップを取られるよりはいい。
自分に今出来る最善の選択であろう【自分が3着で千貫のトップ】を目指す。
そんな思惑とは裏腹に、吉田をさらなる悲劇が襲う…
8巡目に先制のリーチを打つも、親の坂本が仕掛けて押し返しテンパイを入れる。
そこに吉田が持ってきた牌は無情にも…
放銃した吉田だけでなく、千貫・矢島・抜け番の大浜の心にも響く「18000は18300」の発声。
オーラス親番の千貫が一度は再逆転に成功するも、1本場に坂本が電光石火のアガリを決めて再々逆転。
前述の2局だけを取り上げると坂本にツキがあっただけでは?と受け取られてしまい兼ねないので、1つ妙手を紹介したい。
東3局1本場、坂本の親番。
を切ってのリーチがマジョリティになりそうである。
しかし坂本の選択は打のテンパイ取らず。
チャンタ・イーペーコー・三暗刻やその先にあるトイトイ・四暗刻まで睨んだ、打点を意識した選択である。
妙手の使い手と言えばこの決定戦では矢島抜きでは語れない。
坂本がトップ目になっている南3局2本場、ホンイツ模様で仕掛けている千貫にハイテイを回すためだけのチー。
優勝することだけを考えれば、ここでは千貫がツモって坂本を逆転してくれる方が望ましい。
実際には千貫はテンパイしておらず結果に表れることはなかったが、こういった技は決勝経験値の高い矢島だからこそ成せる技。
こういった普段の麻雀では滅多に見られない手順や仕掛けを見れるのも、決定戦ならでは。
残り2日となった雀竜位決定戦。
ポイント差は少し開いてしまったが、今後も見逃せないと思わせてくれる決定戦である。
(文:小川 裕之)