真夏が近づいている。
シンデレラファイトの卓上も、熱を帯びる。
GroupD #2の出場選手は、今年がラストイヤーの大園綾乃、「はちゃ」の愛称で親しまれている西園遥、昨年のシーズン2準優勝の木下遥、雀魂予選から勝ち上がってきた鈴木桃子。
シンデレラファイト本戦は初の3人と、昨年準優勝の木下という組み合わせだ。
純白の衣装を身に纏い、可憐に登場する4人。
GroupD #2は以下の座順でスタート。
東:大園綾乃
南:西園遥
西:木下遥
北:鈴木桃子
中盤まで全員が「来てほしいのこっちの牌じゃないんだけどなあ…」となる悩ましい局面が続いた。
選手の選択を取り上げたい場面が多かったが、ここでは厳選して南2局から振り返っていきたい。
木下は、南1局までアガリがなく、南2局開始時点でラス目の17000点。
中張牌の対子が4組あり、対子手か順子手か、悩ましい。
9巡目にが重なり、七対子でのアガリに向けて覚悟を決める。
33200点持ちの1着目の大園は、を切りターツを払い、一通ドラ1は逃さないがどこからリーチを受けても詰まない手組みで進行する。
2着目の西園もを引き入れ、123の三色にこだわった1段目の選択が活きてくる。
各々の手役へのこだわりが実りつつある。
12巡目、木下がを重ね、七対子を聴牌。
待ちは、地獄単騎のかかの選択があったが、迷わずタンヤオがつく待ちでリーチ。
3巡後、木下は渾身のリーチ・ツモ・七対子・タンヤオ・赤の3000・6000をツモる。
昨年のシーズン2で、1次予選からFinalまで一気に勝ち上がり準優勝を決めた勢いを彷彿とさせる。
シンデレラファイトはその名の通り、ここが攻め時と感じたときはファイトをしなければならない。
木下は事前アンケートで自身のスタイルを「攻撃型、門前型、ポジティブ」と答えており、まさにその通りのアガリとなった。
そして、南4局開始時点での点数状況は、以下。
東家・鈴木桃子18800
南家・大園綾乃31500
西家・西園遥22000
北家・木下遥27700
全員がトップを目指せる熱いオーラスだ。
ラスは即脱落となるが、トップはこの後の#3をスキップしBest16への進出が確定する。トップを目指す意味も大きい。
現状トップ目の大園は、ドラのを一打目に放つ。
残さず切るなら、今しかない。
そのドラをすぐさま西園がポン。
西園は既に満貫が確定なので、大園以外からの出アガリで2着、ツモか大園からの直撃でトップ。
混一色までつけて跳満なら、誰からアガってもトップ。
西園はを切って混一色を目指す。
木下は満貫までなら放銃しても3着になり、ラスは回避できる。
果敢にトップを目指して、大園との3800点差をまくりにいく。
木下は、西園から出たをチーして、聴牌をとれる手ではあった。
しかし、チーをするとタンヤオ・赤の2000点となり、ツモや大園以外からの出アガリでは2着、大園からの直撃のみトップとなる。
門前のタンヤオ・赤なら、ツモor大園からの直撃でトップ、脇からの出アガリは2着となる。
カンから入ってピンフもつけば、誰からアガってもトップだ。
木下はをチーせず、門前でツモでもトップになる道を選んだ。
2巡後、西園はを引き入れ、狙い通りどこから出てもトップが確定する跳満を聴牌。
待ちはと。
西園から出たを親の鈴木がポン。
ラス目の親の鈴木は、ドラをポンされていようが何だろうが、攻めるしかない。
鈴木の手はあまりにも苦しいが、聴牌を目指すしかないのだ。
各者の決意と願いが、卓上で交差する。
緊張感が漂うなか、舞踏会は唐突に終わりを告げる。
トップを目指していた木下から出たに、西園のロンの声。
満貫なら耐え。そう思っていた木下の目に飛び込んだ西園の手は、中・混一色・ドラドラドラの12000。
跳満をアガった西園が逆転のトップとなり、Best16への切符を手にした。
2着の大園、3着の鈴木はこの後の#3を戦う。
ラスの木下は、ここで敗退となった。
シンデレラファイトシーズン3では、最後のインタビュー内で解説の綱川プロが一場面を取り上げて、敗退となった選手と議論する。
南4局のをチーするかどうかについて、2人の考えが聞ける。
ぜひ最後のインタビューまで楽しんでいただきたい。
「この巡目で両面から鳴いて、直撃条件にするのは私の麻雀ではない」
「オリる気は全くなかった」
真っ直ぐな力強い麻雀で魅了させてくれた木下。
「去年の忘れ物は来年に持ち越しですね」
そう語る姿は、最後まで凛として美しい。
Day4結果レポート
#1,#3観戦記
その涙の名前【GroupD ♯1 担当記者・坪川義昭】
ラストイヤーの綾乃とあやの【シンデレラファイト シーズン3 GroupD #3 担当記者・中島由矩】