6/4(月)、6/7(木)21:00よりAbemaTV「麻雀チャンネル」にて放送された、RTDリーグ2018 WHITE DIVISION 37-40回戦の様子をお届けします。
レポートは、鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)がお送りします。
前回までの成績はこちら↓
40回戦:もう2度と見られない達也の裸単騎!ついに出たたろうの見逃し!
なかなか大きく先制できず、苦しい展開の続いた今シーズンの達也だったが、ここではいきなり6,000オールで大きく先制した。
こうなると、余裕から様々な選択肢を持てるのが麻雀である。
RTDリーグをご覧のみなさまには、達也が高打点のリーチをメインにした堅実な打ち手に映っているかもしれないが、達也という打ち手は元来様々な手順で観客を沸かせるファンタジスタである。
とすれば、ここからがファンタジスタのフィールドだ。
1本場、達也がダブポンから3フーロしたとあらば、5,800以上のテンパイであることが多いように見えるのだが・・・
実際には、なんとドラが浮いたノーテン。
一瞬たろうかと見間違える仕掛けを入れていく。
数巡後にを引いてようやくテンパイを果たすのだが、これがフリテン。
すると、をチーしてさらにフリテンの裸単騎にしていく。
残り数巡とはいえ、自分で選べる単騎の方が、アガリがあるというわけだ。
結局この手はアガれなかったが、他家をけん制しながらオヤ番をつなぎ、2本場でいつも通り高打点のポンテンをあっさりツモ。
先ほどの裸単騎が意識に刻まれていれば、この仕掛けの真贋も疑わしく思えてくるところで、誰がを放銃してもおかしくないように見えた。
さらに、南場に入ってもやりたい放題。
たろうのオヤリーチに対し、ノーテンからノーチャンスながら生牌のを押し、さらにをポンして生牌のを押すと、フリテンのをツモって1,000・2,000。
フリテンでオヤリーチに押し返すという衝撃の応手で、ファンタジスタ達也が圧勝劇を締めくくった。
ちなみに、このフリテンができた第1打はこう。
手順的にはを打つところだが、この段階ではトイツ手がメインであり、将来的にを切った単騎なども見据えた達也らしい打であった。
さて、達也圧勝劇の裏側で、オーラスに面白いアガリが出る。
2着目猿川を追う3着目たろうが、達也からを見逃してをツモアガった。
猿川からの直撃かツモ条件を満たし、たろうが見事2着浮上を決めたのだが、気になるのは戦前のコメントである。
今シーズンが始まる前、昨シーズンの伝説のペンを反省し、「もう見逃しはしません」と言っていたたろう。
実に懲りない男である。
しかし・・・みんな待ってましたよ、たろうさん!
37回戦:勝又、繊細なジャブからのストレート一閃
「下を決めてから上を見る」とよく言っている勝又は、ジャブを放って下位者との差を徐々に広げながら、最後にトップになるアガリを決めるのが勝ちパターンになっている。
東4局のオヤ番で和久津からカンリーチを受け、シャンポンテンパイで押していたのだが、流局間際にを引くと、ノータイムで無スジの打として放銃を回避する。
この打について、勝又は対局後に「全体の感じからマンズの上が待ちになっていそうだったから」と答えたが、ではとの比較に関してはどのように判断したのだろうか。
おそらくこれもまた感覚なのだろうが、その感覚を私なりにひも解くと、自分から3枚、2枚が見えており、よりが埋まっていないケースの方が多いのではないかというイメージが湧く。
次に、論理的にもカンチャン待ちの比較で、カンよりカンの方がリーチをかけやすいため、総合的によりの危険度が低いという判断になったと思われる。
また、を打つ価値があるのかという点については、現在ラス目であり、オヤ番継続の価値が高く、であれば打つに見合うという判断であろう。
そうして生まれた見事な流局オヤ権維持というジャブで獲得した連荘で順位を上げ、オーラスを2着目で迎えた。
そして、トップ目の和久津から12,000直撃でトップを逆転していく。
ここまで多く入れてきた軽い仕掛けのイメージが、強烈なストレートが決まる基盤を作ったか。
最後の大きなアガリに目がいってしまいがちだが、それまでに勝又の打ち続けたジャブが、勝負を決めたように映った。
38回戦:たろうの好形意識と出アガリするための手出し
とにかく真っすぐ目一杯に打つなら打だが、たろうは打とし、唯一好形のターツだけは先に決める手順を踏む。
すると、が残ってリーチとなった。
注目すべきは、この間の手出し。
打の時点ではが埋まっていなかったため、将来的にカンになる可能性を考慮してはツモ切りとなったが、が埋まってイーシャンテンとなった後のは2枚とも空切りし、このもわざわざ空切りとしていた。
この空切りには様々な要素があるが、ここで特に重要となったのは「後の手出し回数を増やす」ということだ。
たろうのリーチを受け、先にテンパイを果たしていた石橋がを掴む。
テンパイを維持するなら現実的な候補はを除いたか。
このとき、早い巡目にが打たれていることと、そこからの手出しが多いことが河にを吸い寄せる。
手出し回数が多いほど、の形を早く決めるイメージが薄れるからだ。
石橋が吸い込まれるように打ったでたろうが5,800をアガってトップ目に立つと、その後に加点してトップを奪取した。
このトップで、勝又・佐々木もポイントを伸ばす中、たろうががっちり首位キープとしている。
39回戦:意外と真似できない佐々木のシンプルな踏み込み
オヤ番でイーペーコーリーチに踏み切った佐々木がツモウラ1の4,000オールで先制すると、その後は下位同士の打ち合いという願ってもない展開で進むが、南3局に2着目の和久津からリーチが入ってしまう。
対する佐々木もテンパイ。
2着率を上げるなら、和久津に任せてオリやダマテンなどで引き気味に構えることも十分あり得るが、佐々木は何のためらいもなくリーチといく。
佐々木の思考はシンプルだ。
・これをアガればほぼトップ確定
・両面待ちで勝算あり
以上である。
このシンプルな思考を理解するのは簡単だが、実際にやろうとすると、案外と難しい。
例えばここで和久津にマンガンを放銃してしまうと、3着やラスへの転落まで見えてくるという恐怖心が生まれるからだ。
つまり、その恐怖心に打ち勝ち続けているからこそ、佐々木はこういった判断を続けることができるのである。
結果、なんと一発ツモウラ2という、いつもながら暴力的なマンガンで、トップを決めていった。
上位3名の順位は変わらないが、縦横無尽にフィールドを駆けまわった達也が大きなトップで4位まで順位を上げている。
■次回は、6/11(月)21:00からWHITE DIVISION 41、42回戦をAbemaTV 麻雀チャンネルにて放送予定
藤田晋invitational RTDリーグとは
2014年に麻雀最強位を獲得した藤田晋が、団体の垣根を超え、今最も強いと言われている麻雀プロを招いて開催される長期リーグ戦。
予選ではBLACK DIVISION・WHITE DIVISIONそれぞれ8名ずつの選手が出場し、各ブロック予選全54回戦をすべて放送する。
前代未聞のスケールで開催される今大会は、名実共に最強の雀士を決める戦いと言っても過言ではない。
毎週月曜日・木曜日の午後21時から最新対局を放送!!
(日曜日のお昼に、その週の最新対局をまとめて放送)
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