8/6(月)21:00よりAbemaTV「麻雀チャンネル」にて放送された、RTDリーグ2018 WHITE DIVISION 53-54回戦(最終戦)の様子をお届けします。
レポートは、鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)がお送りします。
WHITE 53回戦:和久津の国士テンパイ!打つのは当然あの人!?
先日BLACK DIVISIONの最終戦が終わったと思ったら、あっという間にWHITE DIVISIONも最終戦である。いや、それを言うなら、ついこの間開幕した気がするのにという感じだ。
1278位卓の最終戦での焦点は1点のみ。
「和久津vs石橋の生き残りを賭けた戦い」である。
お互いに(ほぼ)着順が上になった方が8位の来期出場停止を免れ、7位の入れ替え戦に回る。
その上で、もしトップの場合にはこの後行われる3456位卓の結果次第で6位残留まで見えてくるという状況だ。
その大事な1戦は、流局が続く重たい展開で東4局を迎えると、石橋が1,000は1,900と供託3,000を得て、僅差のトップ目に立って南入となった。
試合前、和久津は「石橋さんは、細かい駆け引きみたいなことは自分の方が長けていると思ってるんじゃないかなと思うので・・・」と前置きした後、石橋の仕掛けに対する対応を間違えないようにしたいとコメントしている。
ところが、繊細な手順を見せたのは佐々木だった。
打牌がかなり早いこともあり、佐々木に対して手広く真っすぐ突き進むイメージを持っている方もいると思うが、実は打点バランスと捨て牌バランスも加味した繊細な打牌の多い。
ここでは、3面張を残すドラ切りとせず、打点と形のバランスで打とする。
そして、ここでも地味に繊細な1打。どちらのトイツを落とすかだが、この選択には明確な正解があるように思う。
佐々木の選択は打。
佐々木の捨て牌にが早く、は自分が切らなくても他家が切りやすい牌である。それと比べ、は自分で切らなければ他家が自分に対して切りにくい牌であると同時に、を切ると捨て牌にが浮き彫りになってしまうのである。
あまりにノータイムで打ち出されるため、放送中に意図を拾いきることが難しいと思うが、放送後に佐々木の1打1打を見返してみると、シンプルながらも繊細な意図に気づき、雀力向上の一助にすることができるだろう。
しかし、ここでアガったのは石橋。チートイツで1枚切れのよりを残すと、そのままアガリまで。佐々木の勝負手をかわしながらの価値ある局消化とする。
すると、南2局では佐々木と同じく準決勝確定のたろうにも大物手が入った。
たろうはここでダマテンを選択。
接戦の中でのこの手牌。供託1,000があるなら3,900のアガリでも十分であるし、自分の目からが3枚見えているためが使いにくく、かつ自身の捨て牌的にリーチをかけると極端に出にくくなる待ちとなっている。
準決勝に向けて点数をかき集めたく、リーチをかけたくなる立場だが、この辺りの繊細なバランス感覚を最後まで緩みなく保てるのはさすが。
これに対する石橋。
テンパイチャンスでは打だが、の切れ具合、この瞬間のの安全度、後に切り出すの危険性との安全性を総合的に判断し、打としていく。
石橋らしい、バランスのいい1打ででの放銃を回避していく。
一方、ここで不運にもオヤ番でテンパイの入ってしまった和久津。
高目リャンペーコーに手替わりしていたたろうに激痛の8,000放銃となった。
そして、この次局に和久津が開けた配牌がこれ。
石橋のオヤ番でこの絶望的な配牌とは、逆転はさすがに厳しいか。
追い打ちをかけるように、石橋のオヤリーチも飛んできた。
そんな追い込まれた和久津の手牌に目をやると・・・
なんと国士テンパイ!3枚切れだが、1枚生きている西待ちである。しかも、相手が国士(放銃)職人石橋とあらば、なぜか成就してしまいそうな気がしてくるから不思議だ。
解説の小林も丁寧に教えてくれる。
「石橋さん、まだ西ありますよ!」
そんなめくり合いの結末は・・・
石橋が国士職人返上の1,000オール!
オーラスも石橋が仕掛けて500・1,000をアガり切り、和久津との着順争いを制した。
控室に戻ると、和久津の国士テンパイ打牌にはさすがにしびれたようで、石橋も複雑な表情で一言。
一方、「石橋さんなら掴めるよ~」と笑顔で冗談を飛ばす和久津。
8位が確定した和久津の状況で、この対応ができる者がどれほどいるだろうか。死ぬほど悔しいに決まっているのに。
女流最強・和久津晶。
人間としての強さも見せつつ、唯一の女流戦士がRTDリーグを去ることとなった。
WHITE 54回戦:狂気の侍・平賀らしい幕引き
こちらの卓は、準決勝進出も7位の入れ替え戦落ちもある戦いとなる。
そんな中、走ったのは唯一準決勝が確定している勝又。
4,000オール、6,000オールと決め、いきなりダントツとなる。
これでうれしいのは猿川。達也と平賀にトップを取られなければ準決勝進出となるため、歓迎する展開だ。
一方の達也と平賀はラスだと7位転落となるため、ここからはラス回避に比重が置かれる。
例えば、達也のこのダマテンでの1,300。
勝又のリーチに対して競り合うことにはあまり得がないため、ダマテンに構えてで1,300をアガる。
達也「かっちゃんがトイツだと思ってたし、トップはもう決まってたからめくり合いしたくなかったんだよね。でもあれはリーチだった」
このように、リーチの方がよさそうだと思っても声が出ない。
そういう状況なのである。
その心理を利用して、勝又は攻め続ける。
この3フーロ目のポン出しがでこの手牌。
衝撃のノーテンなのだが、これに対して他家はソウズも字牌も絶対に切れない。
絶対に切れないはずなのに、、と平然とツモ切るトイメンの男は何だ?勝又のプランが大幅に狂う。
平賀「最後のオヤが落ちるまではトップ目指そうと思ってたんだよ。ラス引いちゃダメなのはわかってるのに、あんまラス引かないと思ってるのがこわいよね(笑)最後に帳尻合わせればいいやと思っちゃってたのがこわいよね(笑)」
この狂気の攻めが勝又の打牌を捉えた。
そして、平賀が言っていた自身最後のオヤ番。
ここでドラアンコが入るのだから、この男は本当に持っている。の切れ具合などから、のくっつきが弱いこともあり、タンヤオ含みの打としていった。
その直後、達也にこのテンパイ。
平賀、なんとを1巡間に合わせるファインプレー。
ここまでかみ合うと見てみたくなってくる。昨年に続く平賀の大逆転を。
そして、テンパイを果たす平賀。もうトップしか見ていない。
その結末は・・・
平賀が再度を掴んで達也への5,200。
狂気の侍が、入れ替え戦に回ることとなった。
しかし、そんな中でも平賀の狂気は止まらない。
平賀「まあ、(入れ替え戦で)あと3半荘多く打てると思ったらいいからね。ポジティブに考えよう(笑)」
と、控室でもそんな様子。
平賀らしく攻め、平賀らしく負けた。このいつも通りの狂気の負け方には、平賀を責めるファンは皆無だろう。
一方、望外の6位浮上となった石橋。
石橋「今日の最初に2ラス引いたときは半べそだった」
なんとも人間らしい感覚に思え、微笑ましくさえ見えた。
これで準決勝進出者が出揃った。
WHITE DIVISIONからは、たろう、勝又、佐々木、猿川が準決勝進出。
このポイントを半分にし、準決勝を戦う。
注目の準決勝は、9/1開幕!生放送をお見逃しなく!
■次回9/1(土)、準決勝1日目をAbemaTV 麻雀チャンネルにて生放送予定
藤田晋invitational RTDリーグとは
2014年に麻雀最強位を獲得した藤田晋が、団体の垣根を超え、今最も強いと言われている麻雀プロを招いて開催される長期リーグ戦。
予選ではBLACK DIVISION・WHITE DIVISIONそれぞれ8名ずつの選手が出場し、各ブロック予選全54回戦をすべて放送する。
前代未聞のスケールで開催される今大会は、名実共に最強の雀士を決める戦いと言っても過言ではない。
毎週月曜日・木曜日の午後21時から最新対局を放送!!
(日曜日のお昼に、その週の最新対局をまとめて放送)
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