7/30(月)および8/2(木)21:00よりAbemaTV「麻雀チャンネル」にて放送された、RTDリーグ2018 WHITE DIVISION 49-52回戦の様子をお届けします。
レポートは、鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)がお送りします。
WHITE 49回戦:土俵際の和久津が見せた押し切り
残すは最終節6半荘、各選手3回ずつのみ。
初戦、「絶対に」トップを取らなければならない選手が1人だけいる。
和久津だ。
最下位の和久津は、ここでトップが取れないようだと、自力6位が難しくなり、石橋の初戦次第では7位浮上すら追えなくなる可能性がある。
その和久津が、ラス目から猛追を見せた。
まずはこの2,600をオヤでテンパイの達也からアガると、次局にはをポンしているところから打でリャンシャンテン戻し。
マンズのホンイツや三元役を絡めたマンガン~ハネマンを狙う、大きな構想の手順である。
これが構想通り小三元に育ち、またもテンパイを入れていた達也から8,000。2着目に浮上する。
南入してもこの勢いは止まらず、ポンから加カンすると、リンシャンからを引いてテンパイ。
一方の達也。
すでに、絶好の単騎テンパイを入れていた達也は、掴んだを河に置いた。
仮に達也が単騎でリーチにいっていても、和久津が下記の通り達也のリーチを受けていても加カンするのであれば、達也としてはやりようがない。
和久津「達也さんがリーチでもカンします。リーチのつもりで押してたし、もも達也さんが使ってないと思ってたんで。7,700と9,600では打点も違うし、イーシャンテンなのでカンしやすいですね(テンパイとなる牌を引けることがあるため)」
そして、次局には達也のリーチ宣言牌を捉え、和久津が4局連続で達也からアガリを決めると、南2局でも猿川のリーチにダマテンで押し切ってトップを死守。
土俵際に追い込まれた和久津が、まずはトップで勝負の行方をわからなくした。
これで、なんと4位猿川~8位和久津までたったの104ポイントという接戦となっている。
ここで、解説の瀬戸熊が会場に到着。
すると、今回壮絶なラスを食ってしまった達也がスルスルと瀬戸熊に近づき、申し出る。
達也「セトさん、ライター借りていいですか?」
瀬戸熊「いいよ(笑)」
昨日BLACK DIVISION勝ち抜けを決めた瀬戸熊にあやかろうというのである。
張プロデューサーが冗談まじりに言う。「トッププロが行きつく先は、そういうところだからね(笑)」
なるほど。麻雀とは、選択と抽選と、少しの願掛けでできているのかもしれないなと思った・・・わけはないが、人間がやる以上、少しでも精神的にプラスになることは積んでおいた方が良いに決まっているのである。
WHITE 50回戦:WHITEの悪魔・鈴木たろう
トップがほしい石橋・平賀を尻目に、輝いたのは準決勝当確のたろう。
オヤでをポンしてドラ3内臓のテンパイを組んでいたたろうが、両面待ちに変化するを引いた・・・のだが、たろうはなんとこれをツモ切っていく。
これは、下位陣の心理をついた悪魔の所業。
たろう「確かにツモアガリならだけど、良い手の人いなさそうだし、みんなおれにだけは受けることになりそうじゃん。すんなりアガれずにもつれた場合、だと絶対に出ないけど、スジにかかったならふわっと出るかもしれないからね」
つまり、出アガリ率ほぼゼロの両面7枚待ちより、ツモアガリ率が落ちるものの出アガリ率が上がるシャンポン4枚待ちの方が、アガリやすいというわけだ。
この悪魔的な思考に捕まったのが平賀。
平賀はこのチートイツのイーシャンテンから、自分が切っているをいったん保留し、たろうの注文通りふわっと魅入られたようにを打ってしまう。
平賀「でたろうさんに少考があったのもわかってて、脇2人がオリてるからドラもたろうさんに2枚以上だと思ってたから、自分で打ってるを打ち切れなかった。それなのにで打ってるからダメすぎ。赤子のように打ったわ」
たろうがこの悪魔的な12,000を含む大物手をいくつか決め、最終節初戦をトップで飾った。
そうなると、焦点は2着、3着争いになる。
一歩抜けたのは平賀。
打で345の三色とピンズの好形変化に頼るかと思ったが、平賀らしく即リーチに踏み切ると、勝又から打ち取って7,700。
これで2着に浮上した。
しかし、なんとか7位脱出を果たしたい石橋も、役牌2つを含む字牌3フーロで必死に食らいつく。
しかし、ここにたろうからリーチが入ってしまった。
そして、脚本があるかのように一発で掴む石橋。
ドラのも3枚見えているし、これは打ってしまっても全く不思議ではない牌である。
しかし、石橋は、冷静に現物のを抜いた。
字一色の可能性が残った石橋の仕掛けに対してリーチにくる以上、好形は当然で、さらにアガれる公算が高い待ちになっているだろう。であれば、ドラのが3枚見えたこのは絶好の狙い目になっている。
だが、石橋の粘りも虚しく、追いついた勝又がリーチにいき、3着目の石橋をまくるアガリを決めた。
別卓では和久津がトップを取っているだけに、石橋にとっては激痛のラスとなった。
WHITE 51回戦:続・心を操る鈴木たろうの悪魔性
石橋・和久津は、この半荘でトップを取ると、有利な3456位卓で最終戦を打てる可能性が出るため、ほぼトップ縛りのような状況になる。
そんな中、東2局で石橋と和久津の手がまとまりを見せた。
お互いに浮き牌がというタイミングで、猿川からポンのカンテンパイが入ってしまう。
このポンは相当ヤバい。直前にを打っており、明確にからを打ったとわかるからだ。つまり、好形ターツが足りている可能性が高く、テンパイしていることも多い仕掛けと読める。
しかも、十分形なのに門前を放棄してポンしているということは、ポンしても打点があることが十分考えられる。
まとめると、「高い手の好形テンパイが十分あり得る」ということが読みに入るのだ。
とはいえ、ポン出しということを考えれば、最も多そうなのはのようにマンズが2度受けの形で、が当たる形はあまり想像できなさそうである。
石橋、和久津、どちらが打ってもおかしくなかったが、放銃は石橋。
やはり石橋も「マンガンに放銃する覚悟はあった」と話したが、この手牌この巡目では止めようのないであったろう。
さて、ここでも悪魔的な強さを見せたのはたろう。
基本手順はマンズ外しだが、たろうは場に高いソウズの両面を払っていく。
そして、構想通り4,000オールを引くと、またもや悪魔の所業が出た。
でテンパイを外すかと思いきや、たろうはリーチに踏み切る。
たろう「けっこう怖かったんだけど、おれのリーチにだけはみんな押せないはずだからさ。普段リーチしないんだけどね」
たろうの言う通りで、トータルで3者から見て直接の相手ではないたろうのリーチには、押す価値が低くなっている。
このリーチにより、石橋がを抜いてアガリ逃し。和久津もアガリ逃しがあり、たろうが上々の流局テンパイとするなど、有利なポジションをフル活用して2連勝を決めた。
WHITE 52回戦:WHITEの魔王・佐々木、魔性の白ビタ止め
首位こそたろうに奪われたが、悪魔じみた成績でいつしか魔王と呼ばれる佐々木。
ここでもラス目からマンガンツモで上位戦線に復帰すると、あっという間にトップまで突き抜けたのだが、トップ浮上後の対応が見事だった。
オヤの達也がをポンしているところに対し、前巡生牌のを切った佐々木は、なんと次巡にを止めてを打っていった。
一見すると意味がわからないが、その裏側では達也がを重ねていたのだから驚きだ。
佐々木「誰もを併せなかったし、オヤに手替わりがあったから」
佐々木の理屈はいつもシンプルだ。
しかし、人間が打っている以上、そのシンプルな理屈をなかなかシンプルに行動に移せるものではない。
そして、フリテンの単騎という人間界には存在しない概念を持ち込み、魔王がトップをさらっていった。
準決勝進出争いは猿川~平賀までが現実的なラインだろうか。
和久津と石橋は、まずは着順勝負。加えて、可能ならトップを取って6位まで狙うといった方針になりそうだ。
大接戦の最終戦を見逃すな!
■次回8/6(月)21:00からWHITE DIVISION 53-54回戦(最終戦)をAbemaTV 麻雀チャンネルにて放送予定
藤田晋invitational RTDリーグとは
2014年に麻雀最強位を獲得した藤田晋が、団体の垣根を超え、今最も強いと言われている麻雀プロを招いて開催される長期リーグ戦。
予選ではBLACK DIVISION・WHITE DIVISIONそれぞれ8名ずつの選手が出場し、各ブロック予選全54回戦をすべて放送する。
前代未聞のスケールで開催される今大会は、名実共に最強の雀士を決める戦いと言っても過言ではない。
毎週月曜日・木曜日の午後21時から最新対局を放送!!
(日曜日のお昼に、その週の最新対局をまとめて放送)
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