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猿川、転落から見事な生還劇!割のいいギャンブラーたろう! RTDリーグ2018セミファイナル2日目レポート

猿川、転落から見事な生還劇!割のいいギャンブラーたろう! RTDリーグ2018セミファイナル2日目レポート

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9/23(日) 15:00よりAbemaTV「麻雀チャンネル」にて放送された、RTDリーグ2018セミファイナル2日目の様子をお届けします。

レポートは、鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)がお送りします。

1回戦:ポイント上位小林とたろうの攻防!猿川が一歩抜け出すが・・・

準決勝2日目、ポイント上位のたろう・小林の足取りが軽い。

まずは小林がオヤでこのカンチー。

言われてみれば確かにチーしてもよさそうだが、1日の開始早々とあっては、なかなか声が出ないものである。

すると、佐々木のリーチをかわしてあっという間に2,000オール。

小林らしい軽快な立ち上がりである。

ところが、意外だったのは、南1局の対応。

下家たろうがドラのをポン、をチーしている局面で、小林はイーシャンテンからをツモ切った。

たろうはホンイツ模様で、仮ににアクションがなくてもさらにを切らなければならない小林の手牌では、ラス目のたろうにマンズを打ち出していかない方がいいようにも思える。

このにたろうがチーテン。

マンズのホンイツなのだが、チー出しがであるため、と何かのシャンポンやカンといった待ちも匂う切り出しである。

とはいえ、小林のこの打はどうなのだろうか。最終手出しがなのだが、やはり本線はホンイツだろう。

小林「ホンイツじゃない可能性もそこそこあると思ったんだよね」

たろう「いや、はゴーくんに受けたんだよね。もうテンパイしてると思ってたから」

そう、ドラポンのたろうに対する小林の異様な押し。たろう側からこれを見ると、小林にダマテンが入っていると思っても何の不思議もない。

この残しによるホンイツのぼかしは、小林の押しが生んだといえるのかもしれない。

この12,000放銃で一気にラス目まで転落した小林だが、次局にはすぐに4,000オールで取り返す。

ずるいぞ、ずるいぞコバゴー!

あんな12,000打ったら大体ラスでしょ。なんなんだよこの人は。

すると、たろうにも意外な選択が出る。

接戦のトップ争いとあらば、リーチで少しでも打点を上げておきたいところだが、たろうの選択はダマテン。

たろう「ああいうのはけっこうリーチしないんだよね。ピンフのみはリーチしてもけっこうアガれるけど、死ぬことも多いから。ドラと振り替わったらリーチするよ」

仕掛けている猿川の現物待ちをあっさりツモり、400・700とした。

やはり、トータル上位2名が自由に打ち、局面を先導することが増えていく。

そんな中、南3局に佐々木がダブ南をポンしてチャンタのテンパイを入れた。

全員が切りそうな絶好の待ちだ。

ここにたろうもポンでトイトイのイーシャンテンに受ける。

そのたろうが、を掴んだ。小林もをポンしている局面である(加カン)。

打ってしまっても全くおかしくないが、たろうはこのを止め、打で迂回した。見事な放銃回避である。

たろう「トイトイ系を警戒してたから、生牌が打てなくなっちゃったんだよね。だから、まずはが打てなくて、そこに生牌の引いちゃったからついでにやめた感覚なんだよね」

局面としてトイトイ系に意識が向いているのが面白いし、鋭い。確かに、自分の手も中張牌のアンコやトイツが多く、例えばが4枚見えるなど、シュンツを作ろうと思ったときに分断される場になっており、通常よりもトイトイになりやすいのかもしれないなと思った。

猿川も同様に、生牌のを止めてカンドラのを先打ちしていく。

そして、ポンでようやくを打ち出すと、すぐにツモって2,000・4,000。このを佐々木がポンしてマンガンテンパイに組み替えているため、我慢してを引っ張らなければたどり着いていない見事なアガリ。

と同時に、たろうが言うようにトイトイでの決着となったことに震えた。

このアガリによって猿川がトップ目でオーラスを迎えるのだが、佐々木の早いオヤリーチに猿川が飛び込み、ウラ2の12,000。

さらに、再逆転を目指す1本場ではたろうのリーチに飛び込んで5,200。

猿川がオーラスでトップからラスまで転落して本日1戦目を終えた。

 

2回戦:勝又に一発ツモが多い理由!?

対局後、瀬戸熊と勝又が談笑していた。

瀬戸熊「一発ツモ多くない?」

勝又が一発ツモで2,000・4,000。

さらに次局にも一発ツモで3,000・6,000。

2局連続の一発ツモでトップをもぎ取った。

瀬戸熊のコメントはこれに起因している。

すると、勝又「いい待ちでリーチしてるから一発ツモが多いんですよ。1枚も残ってない待ちだと一発でツモれないんですから(笑)」

冗談交じりのコメントだが、場に合わせてアガれるところを探っていく勝又らしい言いぶりだなと妙に納得してしまった。

 

3回戦:踏みとどまった猿川

マイナスが100を超え、もうほぼトップ縛りのような状況になっていた猿川が、内川とのリーチ合戦を制して決め手となる4,000オール。

大きなトップでなんとか決勝進出争いに踏みとどまった。

 

4回戦:逆境白鳥の粘り!割のいいギャンブラーたろう

白鳥のリーチに内川が追いかけ、一発ウラで18,000を白鳥から打ち取る。

今年の準決勝、こういった厳しい展開が続く白鳥だが、鋭い選択でなんとか粘っているといったところだ。

オヤで何切る?

連荘必須の点数状況とあらば、鳴いてテンパイを入れることができないチートイツ1本に決めることはしたくないため、それならばもうここでドラのを打つことさえ視野に入りそうだ。

長考に沈む白鳥。

そして、長考後に白鳥が向かった先は、そのチートイツだった。打でチートイツ1本に絞ったのである。

点数状況的に連荘したいのは当然だが、ちょっとぐらいの連荘では追いつけない点差になっている。それならば、この局を勝負局として大きく打つこととした。

思考はわかるが、なかなかできない選択に見える。

そして、渾身のドラ単騎リーチまでたどり着いた。チートイツでなければテンパイすらしていないのだから、会心のリーチである。このドラがヤマに3枚丸々残っているとあらば、ここまできたらご褒美として引いてほしい気持ちにさえなってしまう。

ところが、きっちり白鳥の現物で待っていた小林が内川から1,300でかわす。

「これが連荘すらできないのか」白鳥の心の声が聞こえてきそうだ。

 

一方のトップ争いはというと、内川が南3局までトップ目を守ってきたのだが、ここでたろうに6,000オールが飛び出す。

さらに、内川から2連続2,000直撃で大差を築いた。

たろうは普段からよく言っている。

「麻雀では、割のいいギャンブルをいっぱいすることが勝ちに近づく方法だと思ってる」

例えばこのチートイツ。白鳥のリーチには現物なのだが、ではなく無スジのを切って待ちにするのがたろう流。

たろう「あれは単騎に受ける人だから。そういう風に本*にも書いたし(笑)」

*『最強プロ鈴木たろうの迷わず強くなる麻雀』(講談社)

ここで安全に現物のを切る選択ももちろんあるが、たろうが言うには、「マンガンだし、この手はすごくアガリたいでしょ?だったら一番アガれる方法を考えるべきだよね。切る牌の危険度とかそういうのは二の次だよ。『通るかな?』じゃなくて、『通す』んだよ」。

ここで安全にを打って単騎に受けたとしても、脇から出ることはほぼないだろう。ただ、なら脇から出ることがあるかもしれないため、1枚少ないがよりアガれるのではないかというのである。

また、仮にを切って単騎に受けたとして、次に危険牌を引いたらまた危険度の比較で安全な方を選択していくことになる。そういった後ろ向きなギャンブルをだらだらと続けるぐらいなら、ここで1度危険を冒して割のいいギャンブルをしましょう、というのだ。

思わず頭をポリポリ。

結果的にはでの6,000オールを逃す形になったが、たろうらしい割のいいギャンブラー精神が見えた1局となった。

一方、リーチの白鳥もタンヤオテンパイから三色変化を待ってリーチまでこぎつけたが流局。逆境が続く。

しかし、小林がたろうへの放銃で持ち点を減らした直後に、白鳥がリーチの小林から5,200は7,000直撃で3着逆転。

白鳥が粘りに粘り、逆境の半荘を見事に3着で乗り切った。

ここで、対局を終えた内川がスタッフや選手に挨拶している。

内川「明日リーグ戦なんでお先に失礼します。(今日は決勝進出争いですが、)明日は残留争いなんですよ、瀬戸熊さんと(笑)」

前日には悲願の初タイトルとなる十段位を獲得。RTDリーグ準決勝を経て、翌日には所属するプロ連盟のA1リーグ。

大忙しの1週間となった内川、その戦いは当然ながら終わることがない。

 

5回戦:連勝を決めた猿川の生還

佐々木が飛び出す。

リーチのみの手牌だったが、アンカンしてからツモると、ウラが4枚乗って6,000オール。

さらに、リーチに押し切り、2枚切れのをツモって2,000・4,000。

この佐々木らしい攻撃に、これは佐々木の半荘になるな、と感じる。

そして、テンパイからをアンカンしてリーチに踏み切った。ドラ表示牌待ちだが、構わずリーチ。佐々木らしい図々しいリーチだったが、追いかけリーチの猿川にホウテイで放銃となってしまう。

ウラ2で12,000。佐々木にとっては痛恨、猿川にとっては会心の1局だ。

これでトップ目に立った猿川の次局がすごかった。

勝又のリーチを受けてどうするか。ドラ周りを引くと待ちと打点が伴うため、いったんを切ってダマテンのままにしてもよさそうだが、猿川はリーチといった。

独特の感覚でアガリを拾っていく猿川は、「調子が良くなってきたんで素直にリーチしました」と語っていたが、この決断が大正解で一発ツモの2,000・4,000。

これでトップを決めた猿川が連勝でトータルをプラスに戻す生還劇を演じた。

上位2名は抜けているものの、決勝進出争いの行方は全くわからない。

 

■次回10/6(土)15時から、準決勝3日目をAbemaTV 麻雀チャンネルにて生放送予定

藤田晋invitational RTDリーグとは

2014年に麻雀最強位を獲得した藤田晋が、団体の垣根を超え、今最も強いと言われている麻雀プロを招いて開催される長期リーグ戦。
予選ではBLACK DIVISION・WHITE DIVISIONそれぞれ8名ずつの選手が出場し、各ブロック予選全54回戦をすべて放送する。
前代未聞のスケールで開催される今大会は、名実共に最強の雀士を決める戦いと言っても過言ではない。

毎週月曜日・木曜日の午後21時から最新対局を放送!!
(日曜日のお昼に、その週の最新対局をまとめて放送)

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この記事のライター

鈴木 聡一郎
1983年生、千葉県出身
早稲田大学在学中の2004年、最高位戦日本プロ麻雀協会に入会。
以後10数年に渡り、観戦記者として活動中。
最高位戦以外にも、モンドTV、麻雀スリアロチャンネル、RMUなどの観戦記を執筆。
近年では、AbemaTV麻雀チャンネルの公式ライターとして、RTDリーグなどの観戦記者を務める。
観戦記以外には、書籍『麻雀偏差値70へのメソッド』(石井一馬著)、『最強プロ鈴木たろうの迷わず強くなる麻雀』(鈴木たろう著)、『多井熱』(多井隆晴著)などに協力。

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