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ネマタの戦術本レビュー第922回「『初代Mリーガー松本のベストバランス麻雀』著:松本吉弘 その25」

ネマタの戦術本レビュー第922回「『初代Mリーガー松本のベストバランス麻雀』著:松本吉弘 その25」

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ネマタの戦術本レビューとは
  • 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
  • ご意見・ご感想がありましたら、お問い合わせフォームから送信してください。
  • 第1回から読みたい方は、目次からご覧ください!

第三章

25

相手の速度が遅そうであれば自分の手牌の都合だけで打牌選択を決めればよいので、重要なのは河から相手の速度が早いと読める情報が出ている場合です(19字牌しか切っていなかった他家からリーチがかかることも珍しくないので、「遅そう」という読みは外れやすいというのも重要度が低い理由)。

序盤に19字牌を切っている割合が多い、いわゆる「手なり」の河の中では、役牌切りの早さに着目します。重なれば鳴いてアガリを目指すこともできる役牌の切り出しが早い他家は、それだけメンゼンでテンパイしやすく手牌が豊潤である可能性が高いとみます。そのような他家が3〜7牌を2枚以上切っているとなれば、メンツ候補が揃っているのは確実。アガリに近い手牌である可能性が高いとみてよいでしょう。

一方、役牌の切り出しが遅い、あるいは切られていない河であれば、序盤は手なり進行であっても、3〜7牌の切り出しが早いのは安牌を抱えつつ手を進めていてアガリまで遠いケースであることも十分有り得ます。浮いた数牌の切り出しは個人差が出やすいのもあり、読みの精度はどうしても落ちます。

やはり読みとして重要度が高いのは、次に取り上げられているターツ落とし。場に強いターツ落としは特に警戒すべきなので、そうでもないターツ、トイツ落としに関しては相対的にそれほど速くないとしていますが、少なくともメンツ候補が揃っているか、メンツ候補を落としてでも残したい強い浮き牌が揃っているということになるので、「速いケースも十分にある」とみた方がよいでしょう。むしろ単に3〜7牌が2枚並べられたケースよりも速い可能性は多いとみます。

個人的には役牌のトイツ落としに関しては、3〜7のトイツやリャンメン落とし以上に速く、良形、高打点のケースも多いので警戒すべきと考えます。何故ならメンツ候補オーバーの2〜3シャンテン(1アタマ1メンツなら2シャンテン、1アタマ0メンツなら3シャンテン)である場合、3〜7のトイツやリャンメン落としが選ばれることはありますが、アガリやすさと打点、トイツで残すことによる守備力の高さを考えれば役牌のトイツが選ばれることは考えにくいためです。

すなわちリャンメン落としが入っても、実はそれほど速くないケースも考えられますが、役牌のトイツ落としに関しては、リャンメンか手役絡みのターツが揃った1シャンテンになっている可能性が高いと判断します。

ただ、天鳳とMリーグではフーロ率の差が歴然としているように、これも同卓している他家の打ち筋によるところが大きいかもしれません。2〜3シャンテンの段階でもなるべくタンピン系の高打点を目指して役牌のトイツに手がかかる打ち手が少なくないのであれば、警戒する基準を切り替える必要も出てきそうです。

初代Mリーガー松本のベストバランス麻雀

新鋭Mリーガーによる待望の戦術書!

現在麻雀界はMリーグの開幕で活況を呈しています。トッププレイヤーによる真剣勝負をリアルタイムで観戦できるのは麻雀ファンとしても興味の尽きないところです。 そんなMリーグに最年少で参加しているのが日本プロ麻雀協会所属の松本吉弘プロ。第9回 TwinCup優勝、第25期 發王戦優勝などの勢いを買われ、サイバーエージェントがオーナーを務める「渋谷ABEMAS」に大抜擢されました。 元高校球児で強面。その容貌から「卓上のヒットマン」の愛称でファンに知られている松本プロですが、麻雀の腕も一級品。 その場の状況に応じて様々なスタイルを使い分ける「ベストバランス麻雀」を身上としてMリーグでも活躍しています。 本書は手順、読み、大局観、ゲーム回し、押し引きといった麻雀で勝つための重要事項をテーマに、松本プロが自身の戦術を初披露した、ファン注目の一冊です。

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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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