インターネット麻雀とリアルな麻雀の間には、多くの違いがありますが、チンイツやホンイツの多面待ちもその一つです。
ネット麻雀は、ややこしい待ちでも、アガれるときは「ロン」や「ツモ」と表示してくれるので安心です。
が、リアル麻雀だと、頼れるのは自分だけ。チンイツやホンイツができるのは嬉しいはずなのに、「これは何待ちだ?間違えてチョンボしたらまずいな…」と冷や汗をかくこともしばしばです。
実際は、チンイツやホンイツの複雑な待ちになる確率は、それほど多くはありません。1日打っていて、一度もならないこともあります。ただ、アガれると打点が高く、一撃で半荘の勝利を決めうる役でもあるので、重要性は高いですね。また何より、高い手ができるたびにヒヤヒヤすると、麻雀自体が楽しくないですよね。基本をおさえて、思い切ってチンイツやホンイツに向かえるようにしましょう。
また、もし将来プロ試験に興味がある方は、どの団体でも筆記試験で多面待ちが出題されるので、練習が必須になります。「麻雀は正解のないゲーム」と言われますが、何待ちかは必ず正解があります。そのため、試験に出しやすい面があるのですね。
多面待ちの把握は、人によっていろいろな方法がありますが、私は次のようにしました。
1 基本の7枚形を暗記する。7枚形は、この連載の第26回をご覧ください。
2 アンコがあれば、その3枚を抜いてみる。あるいは、3枚のうちの2枚を抜いてみる。
3 端からシュンツを抜いてみる。
4 スジが待ちになった場合は、横に伸びることが多いので確認する(2と5が待ちなら、8も待ちのことが多い、など)
繰り返しになりますが、基本の7枚形は超超超大事です。これをマスターすれば、成績はかなり変わります。漢字や英単語のように何千個も覚える必要はないので、気合で飲み込みましょう。
では、具体的にみてみましょう。最高位戦の筆記試験問題は、ウェブサイトに公開されていますので、その中から、最新の第46期後期の問題(PDF)をみてみます。
例えば問題6の5は、
アンコのとを抜きます。
シンプルになりましたね。のリャンメン待ちだとわかります。(A)
次に、さきほどはアンコで抜いたとを、もし2枚抜いたらどうなるかを考えます。
これは、残念ながらどちらも待ちができないですね。
次に、端からシュンツを抜く作戦です。
上の方のを抜くとどうでしょう。
のカンチャン待ちができました。(B)
下の方はどうか。のイーぺーコーが目立つので、一気に抜いてみます。
のタンキ待ちが浮かび上がってきました。(C)
(A)(B)(C) をあわせて考えると、待ちが正解、となります。
が待ちの時は、スジのも待ちになりがちなので、念の為確認して、は違うことがわかればより確実です。
もう1問、問題6の9。
ぱっと目につくのは、の7枚形ですね。
これは、基本7枚形の1つ(第26回で紹介したパターン12)で、待ちです。(A)
暗記しておくと、考えることなく一瞬で待ちがわかるので有利ですね。
また、端っこからシュンツを抜いてみて、のイーぺーコーを抜くと、
になります。
この形も、基本7枚形の1つ(第26回で紹介したパターン14)で、待ちです。(B)
(A)と(B)をあわせて、待ちとなります。
これは、基本形を覚えておけば、考えることなく反射的に待ちがわかるケースでした。
このように、さっと分かるケースもあるのですが、とはいえ、対局していると、頭を悩ませる場面が数多くあります。プロ入りして長い実力者の先輩でも、毎日多面待ちの反復練習をされている方が多いですが、「それでも時々、一見分からない問題があるよね」というので、初心者の方が戸惑われるのは無理はありません。
問題を解いていると、「おお、この形でこれも待ちになるのか!」と感動することも多いので、苦行をするというよりは、パズルを楽しむような感覚で練習していただければ幸いです。なにより、形に強くなると、強くなりますし、麻雀自体がより面白くなると思います。
動画では、麻雀ウオッチの
【するしないメンバーが教える!】麻雀プロ試験対策講座 多面待ち編 がとても勉強になりますので、ぜひご覧ください。
最後に、最近あった不思議な?出来事をご紹介します。
先日打っていたときの出来事です。南場でトップ目の親で、他家からリーチを受けました。無理せずオリていると、ピンズばかりツモってくるんですね。
あっという間に、このようになりました。
待ちで、でアガると九蓮宝燈です。
そして、リーチしていた方からが出て、生涯初めて、憧れの役満をアガれました。
配牌から鼻息荒く狙ったのではなく、回っているうちに自然に成就したので、達成感というよりは驚きの方が大きかったですが、麻雀には奇跡的な瞬間があると実感しました。
このような時に、アガリ逃しをすると泣くに泣けないので、その意味でも、多面待ちの訓練はおすすめします!
次回は、あえてテンパイに向かわないケースについて考えます。