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卓上でヨシ!麻雀暗記ノート 第37回 あえてテンパイにとらない場面

卓上でヨシ!麻雀暗記ノート 第37回 あえてテンパイにとらない場面

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前回まで、さまざまな牌効率をご紹介してきました。
牌効率に沿って、早くテンパイしてリーチを打てば、ひとまず戦うことができ、初心者脱出といえるでしょう。

しかし、牌効率だけで勝てるかというと、そう甘くないのが難しいところです。

主な理由は、
1   速さだけ優先すると、打点が安い愚形テンパイになりがちで、アガリにくい。アガれても決定打になりにくい。
2     中途半端にテンパイに近づくと、安全牌がない状態で他家の攻撃を受け、振り込みやすくなる。
の2点です。

牌効率の知識が重要なのは間違いないのですが、それだけで戦うと負けやすくもなるのですね。

場合によって、一見牌効率に反する考え方をした方が良いこともあるのです。その代表例として「テンパイをとれるのにとらないケース」を紹介しましょう。このことを「テンパイとらず」と呼ぶこともあります。

例1)

[二][三][四][八][九][③][④][⑤][⑥][6][7][発][発]  ツモ[8]

[③][⑥]を切ればテンパイです。が、役なしで[七]のペンチャン待ちになり、苦しい形ですね。

先制攻撃に価値があるときや、[七]が山にありそうな時は、[七]待ちでリーチしても良いのですが、テンパイをとらずに[八]を切る手があります。

[二][三][四][九][③][④][⑤][⑥][6][7][8][発][発] 

ここからテンパイする牌は、以下の8種類です。

[②][⑦]をツモる→[九]を切るとサンメンチャン待ちでテンパイ
[④][⑤]をツモる→[九]を切るとリャンメン待ちでテンパイ
[発][③][⑥]をツモる→[九]を切るとノベタン待ちでテンパイ。[発]の場合は役もつく
[九]をツモる→[③][⑥]を切るとシャンポン待ちでテンパイ。[発]でアガれば役もつく

待ちは良くないですが、[①][⑧]をツモって[九]を切れば、カンチャン待ちで一応テンパイをとれます。

また、赤牌のドラがあるルールだとは、[赤五][赤⑤][赤5]をツモることによる打点上昇の楽しみもありますね。
[赤5]を引いて[九]を切ると最高で、

[二][三][四][③][④][⑤][⑥][赤5][6][7][8][発][発] 

となります。第20回で登場した強い形「4連形」が2つある、素晴らしいイーシャンテンです。

この状態からテンパイする牌は、

[①]から[⑧]の8種類、[3]から[9]の7種類と[発]で、あわせて16種類もあります。やはり4連形があると手が伸びやすいですね。

これだけ発展の可能性があるなら、早まってテンパイをとらない方が良さそうです。果実が青いうちに収穫するのではなく、もっと熟しておいしくなってから食べよう、というわけです。

例2)

[一][二][三][九][九][①][②][③][⑤][⑦][1][7][9]  
ツモ[8]

[1]を切ればテンパイですが、役なしで[⑥]のカンチャン待ちになります。

よくみると、[⑤]以外はすべて1~3か7~9の牌、つまり純チャンを作れる牌ですね。
純チャンはメンゼンで3ハン、鳴いても2ハンあるので、狙う価値があります。

であれば、テンパイをとらずに[⑤]を切るのはどうでしょう。

[一][二][三][九][九][①][②][③][⑦][1][7][8][9]

こうすると、次に[九][⑧][⑨][2][3]のいずれかを引けば、純チャンをテンパイしますね。
特に[2][3]を引けば、さらに123の三色も狙えます。一気に大物手のチャンスです。

このように、大幅に打点が上昇する可能性があるときは、やはりテンパイをとらないことが有力な選択肢になります。

今期のMリーグでは、開幕した2021年10月4日に、テンパイとらずの印象的な場面がありました。
第2試合の南4局1本場、2着目で迎えた親の日向藍子選手(渋谷ABEMAS)は、4巡めで次のような状態になります。

[1][2][3][赤5][6][7][7][④][⑥][四][四][九][九] ツモ[⑤]

[7]を切れば[四][九]のシャンポン待ちテンパイになりますが、役はなく、待ちの形も強いとはいえません。

日向選手の選択は、[四]切りのテンパイとらずでした。

[1][2][3][赤5][6][7][7][④][⑤][⑥][四][九][九] 

この形は、[7][四]のくっつきテンパイですね。第28回で触れたように、くっつきテンパイは、イーシャンテンの中で最も受け入れが多い形です。

上記の形であれば、[5]から[9]の5種、[二]から[六]の5種と[九]の11種でテンパイできます。まだ巡目が早いこともあり、日向選手は将来性にかけたわけです。

狙い通り、この後[五]をツモってリーチ。[六]ツモで、リーチ・ツモ・ピンフ・赤に裏ドラを乗せて4000オールのマンガンに仕上げ、実況の日吉辰哉プロ、解説の土田浩翔プロから、見事な判断だとたたえられていました。

テンパイできるのにあえてとらないのは、最初は勇気がいると思います。テンパイとらずをした結果、他家にあっさりアガられたり、放銃したりして、悔しい思いをすることも多くあるでしょう。

ただそれでも、トータルでみれば、テンパイをとらない方が得な場面はありますので、経験をつんで、ご自身なりの基準をつくってみてください。

テンパイとらずと同様、イーシャンテンとらずなど、途中の段階でも、牌効率に逆らう場面は数多くあります。もっとさかのぼれば、配牌時から、牌効率通り打たないこともしばしばあります。

これは、序盤の構想力の話につながっていきます。次回にご紹介しましょう。

この記事のライター

藤田 明人
最高位戦日本プロ麻雀協会第43期後期(2018年入会)
兵庫県出身。東京大学法学部卒業後、新聞社に入社。
記者を経て、教育事業部門で勤務。
麻雀が、幅広い世代の学びにつながることを研究しています。

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