今さらですが、この連載のタイトルは「暗記ノート」です。
きっと、著者は暗記大好きに違いない。だから、読者にも暗記をすすめるのだな。
と、多くの方が思っていることでしょう。。。
が、現実はまったく逆でして、私は暗記は苦手です。
どのぐらい苦手かといいますと。
自宅の郵便番号や住所をはっきり覚えておらず、ホテルなどで住所を書くときに、スマホを取り出して確認し、フロントの方に不審がられるレベルです。相当まずいですね。
これは、実のところ、世の中の多くのことは、無理して覚える必要はないと思っているからです。だいたい何とかなるかと。
例えば「4×6=24」は、普通は「しろくにじゅうし」と覚えますが、もしそれを知らなくても「4+4+4+4+4+4=24」と計算すれば良いですよね。
では、なぜ暗記するのか。大きな理由は「その方が後々速くて便利だから」でしょう。毎回、4を6回足すのは、時間がかかりすぎます。
麻雀も同じで、実戦では速い判断が求められます。「この形はあれだな!」と覚えていれば有利なことが圧倒的に多い。「これは何と何待ちだっけ…?」と考えているうちに、他家から当たり牌が出て、「ロン」と言えなかったりすると、泣くに泣けません。
ということで、私も、九九のようなものだと割り切って、基本的なことは覚えていくようにしています。
もっとも、すごく難しいことをする必要はありません。ポイントは「繰り返し触れる」ことです。
例えば、少し麻雀に慣れた方なら、を見れば、一目で待ちだとわかると思います。
おそらく、毎回「 と見れば待ちで、 と見れば待ち。あわせると待ちだな」などと理屈で考えていないですよね。これは、形を丸暗記できているからです。三面張は頻繁に見かける形なので、自然に覚えているわけです。
これと同じで、ぜひ形で丸暗記して、ぱっと見ただけで分かるようになりたいのは、以下の7枚形の多面待ちです。
一つ一つはそれほど頻繁に出てこないので、普通に打つだけでは身につきにくく、どこかで一気にたたき込んだ方がよいです。一度覚えてしまえば、相当楽になると思います。
7枚とは別の6枚で、すでに2メンツが完成しているテンパイだと想定して、ご覧ください。待ちの枚数が多い順にご紹介します。
1) → 待ち(5種17枚)
7枚形の王様のような存在です。カンチャン待ちやペンチャン待ち(1種4枚)の4倍以上も当たり牌があります。
2) → 待ち(4種14枚)
強力な3面待ちに加え、のタンキ待ちもあります。
3) → 待ち(4種13枚)
リャンメン待ちが2つあるような形です。
4) → 待ち(5種13枚)
サンドイッチ形と呼ばれる有名な形です。サンドイッチをつくる3つの牌すべてと、その両隣が待ちになります。
5) → 待ち(3種11枚)
サンドイッチの隙間があいたイメージです。隙間と具がすべて待ちになります。
6) → 待ち(3種10枚)
ノベタン待ちに加え、のカンチャン待ちがあります。
このカンチャン待ちは、打ち慣れた方でも、意外と気付きにくいです。
暗刻と、その近くの牌があると、多面待ちになりやすいので、暗刻がある時は注目してみましょう。
7) → 待ち(3種10枚)
亜リャンメン待ちに加え、のカンチャン待ちがあります。
8) → 待ち(3種9枚)
タンキ待ちが3種類ある形です。
9) → 待ち(3種9枚)
リャンメン待ちに加え、中ぶくれののタンキ待ちもあります、
10) → 待ち(3種9枚)
階段の途中で踊り場があるようなイメージ。とてもよく出現する形です。
11) → 待ち(4種9枚)
暗刻が並んだところに、隣の牌が1つくっついた形です。
12) → 待ち(4種9枚)
シャンポン待ちは分かりやすいですが、のリャンメン待ちもあります。
ここから下の形は、枚数が、普通のリャンメン待ち(2種8枚)より少なく、枚数で有利なわけではありませんが、まあまあ出くわす形です。
13) → 待ち(3種7枚)
シャンポン待ちとリャンメン待ちがあわさったような形です。
14) → 待ち(2種7枚)
タンキ待ちは分かりやすいのですが、カンチャンの待ちは見落としやすいです。
15) → 待ち(3種5枚)
サンドイッチの具が厚いイメージです。具が厚いのは嬉しいのですが、待ちが5枚だけなのは少し残念です。
この15種類を完璧にしたうえで、実戦で使えるようになるのが目標です。
例えば、
でテンパイしているとします。待ち(2種7枚)ですね。
ここで、をツモるとどうでしょうか。
テンパイしているのだからと、ツモ切りしそうですが、よく見ると、を切れば待ちを増やすことができます。上の 6)の形です。
待ちの3種10枚にパワーアップしていますね。
これは、形を丸暗記して、前もって想定していないと、なかなか判断しにくい例です。
同様に、
を考えましょう。待ち(2種7枚)のテンパイで、でイーぺーコーですね。
ここでをツモった時に、を切る手があります。
上の ’7)の形で、 待ち(3種10枚)にパワーアップします。イーぺーコーの可能性はなくなりますが、待ちが3枚増えるのは大きいですね。
ただ、イーぺーコー含みでテンパイしている時に、それを崩すような選択は、相当気付きにくい。私も実戦で100%できているかと言われれば、怪しいと思います。たぶん、頭の中で「イーぺーコー♪ それイーぺーコー♪」と、イーぺーコー音頭が流れている状態ですからね。
やはり、何度も繰り返して身体に染みこませるしかないのでしょう。
なおこのページでは、ピンズで描きましたが、当然ながらマンズやソーズでも同じです。
また、左右対称でないものは、逆パターンもあります。
例えば 1)は、左右反転して
だと、待ちになります。
また、上の例は中張牌でつくりましたが、端によると待ち牌が減ります。
例えば、11) が端によって
であれば、待ち(3種5枚)になります。もし「10ピン」があれば待ちになりますが、存在しないので、11)より待ちがだいぶ減ってしまいます。
理想をいえば、上の15種類を、牌の種類を変えたり、左右反転したり、端に寄せたり、あらゆるパターンを作って何度も見ることをお勧めします。実際に、単語帳に様々な牌姿を書いて、訓練している人もいます。
いつかこのコラムでも、多くのパターンの牌姿を示して、印刷すれば練習シートになるような回を設けられればと思います。
一方、そうはいってもすぐには覚えにくいかもしれません。覚えていなければ、その場で考えることになりますが、効果的なコツがあります。それは「3枚ある牌を、まず3枚とも抜く。次に、うち2枚を抜いてみる」という方法です。
上の15パターンのうち、13パターンは、ある牌が3枚ありますね。それを3枚か2枚抜くわけです。
例えば 9)の
は、を3枚抜けば、なので、のタンキ待ち。
を2枚抜けば、
となり、のリャンメン待ちになります。
一応、覚えていなくても、時間をかければ、正解はわかります。なので、「完璧にしなければ!」と思いすぎないで、気楽に取りくんでみてください。
この方法は、複雑なホンイツやチンイツの待ちを把握するときにも有効です。
例えば
であれば、が3枚あるので、
A)を3枚とも抜いてみる
→待ち
B)を2枚抜いてみる
→待ち
となり、あわせて待ちだと導くことができます。困ったら、3枚抜くか2枚抜くかを試してみてください。
次回は、テンパイの一つ手前、イーシャンテンについて考えます。