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卓上でヨシ!麻雀暗記ノート 第71回 麻雀を楽しくする形式テンパイ

卓上でヨシ!麻雀暗記ノート 第71回 麻雀を楽しくする形式テンパイ

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麻雀の漫画やYoutubeを見て、ほのかに感じることはないでしょうか。
なんで良い手ばっかり出てくるんだ?こんな手、自分にはさっぱい来ないぞ、と。

漫画には劇的な展開が必要ですし、Youtubeも好プレーを切り抜くので、当然ではありますが、実際に打っていると、良い手はバシバシは来ないですよね。

むしろ、「6巡目でメンツが1つもない」「中盤なのに愚形含みの3シャンテン」のように、地味な手と向きあうことの方がはるかに多い。冬のどんよりした曇り空の下、じっと耐えるイメージです。

そこに、かすかに光を差し込んでくれるのが形式テンパイ(形テン)の存在です。
形式テンパイとは、「確定した役はないが、形の上ではテンパイの状態」をいいます。
例えば、こんな形です。

[三][三][①][②][③][7][9]  チー[3][2][4] ポン[九][九][九]  

[8]のカンチャン待ちでテンパイ形ですが、[8]をツモったり、他家が出したりしても、偶然ハイテイなどの役がつかない限り、役がないのでアガれません。

ただ、このまま流局すると、テンパイが認められ、1人テンパイなら3000点、2人テンパイなら1500点、3人テンパイなら1000点のテンパイ料をもらえます(4人テンパイなら0点ですが、あまり起こりません)。

麻雀は、自分がアガれる局は限られているので、アガらずに加点できる機会は貴重です。
「半荘で一度もアガりはなかったが、何度か形テンをとってぎりぎり2着になれた」というようなケースもあります。

また、自分が親のときは、形テンをとれば、親を維持できるメリットもあります。
劣勢で迎えた南場の親では、ありがたい手段ですね。形テンでしのいで親をキープしつつ、大物手が入るのを待つのは有効な戦術になります。

そして、大事なことは「どんなに悪い配牌とツモでも、だいたいの場合、形テンは目指せる」ということです。

つまり、形テンをきちんと意識すると、良くない状態でも「形テンを目指そう」と、前向きに考えられます。何とかやりくりして、1000点でもプラスできた時は、達成感があります。

そうすれば、配牌やツモが良いときはもちろん楽しいですし、良くないときも形テンを考えるので、対局中のほとんどの時間帯を前向きに過ごせます。精神的なメリットは測りしれません。

ただし形テンは、流局して初めて意味があるので、先制攻撃を受けると状況は変わります。
放銃しないことが大前提なので、形テンを目指すために、リーチに対し危険牌を押すのは割に合いません。

既に1人がリーチしているので、もし自分が形テンをとっても、1人テンパイで3000点をもらえる可能性はゼロです。
加点できるのは1000点か1500点だけですよね。
そのために、何度かに1回、8000点や12000点を放銃すると、トータルではマイナスになってしまいます。
南場の親を絶対に守りたい時などはのぞいて、無理は禁物です。

ただしリーチを受けても、形テンへの道を完全に捨てないこともコツです。

[二][三][四][①][②][③][⑦][⑨][⑨][4][6][6][8]  ツモ[9]

例えば、こんな形でリーチを受けました。
[二][②]が安全牌だとします。

[②]を切ると、[①][②][③]のメンツを壊してしまい、復活は厳しそうですね。
一方、[二]を切れば、今後[五]をツモれば[三][四][五]としてメンツが復活します。

そのうちに安全牌が増えて、ぐるぐる回しているうちに、ぎりぎり最終盤で形テンをとれた時は、とてもうれしいものです。

形テンに対する考えは、実力者の間でもわかれており、「テンパイ料で勝負は決まらない」としてそれほど重視しない方もいますし、アガリとほぼ同じ価値と重く評価する方もいます。正解はないと思いますが、繰り返し形テンに挑戦してみて、時には痛い目にあいつつ、自分なりのバランスを築していくのがお勧めです。

なお、終盤に形テンをとったときに使えるテクニックとして、「ツモ番キャンセル」という技があります。
既にテンパイ形ではあるので、少しでも余計なツモはしたくない状態ですよね。
もし危険牌やドラを持ってくると、それを切るリスクが生じてしまうからです。

例えば、上記の形

[三][三][①][②][③][7][9]  チー[3][2][4] ポン[九][九][九] 

で、あと1巡で流局というときに、上家から[8]が出たとしましょう。
[①]は、誰に対しても安全牌だとします。

であれば、[8]をチーして、[①]を切ることができます。
自分のツモを飛ばし、ノーリスクで形テンを維持できるわけです。

[三][三][②][③]  チー [8][7][9] チー[3][2][4] ポン[九][九][九] 

[①]を切るとフリテンになりますが、形テンはもとよりアガリをほとんど期待していないので、問題はありません。
それより、最後のツモで危険牌を持ってくる方がよほど困るといえます。

ツモ番キャンセルは、様々なパターンがあります。

[三][三][①][②][③][北][北]  チー[3][2][4] ポン[九][九][九] 

のような形では、[北]が安全牌のとき、[三]をポンして[北]を切ってもツモ番を飛ばせます。

[①][②][③][北]  ポン [三][三][三] チー[3][2][4] ポン[九][九][九] 

こうなれば、次に危険牌をツモっても、[北]を切れば形式テンパイを維持できるので、粘りがきく形になります。


最後に補足ですが、形テンでもアガれる時がまれにあります。偶然役があるからです。

[三][三][①][②][③][7][9]  チー[3][2][4] ポン[九][九][九] 

の形からアガれるのは、以下のケースです。

・自分がハイテイで[8]をツモ(ハイテイの役がつきます)
・他家がホーテイで[8]を切る(ホーテイの役がつきます。ただ、フリテンだとアガれません)
・自分が[九]をツモって加カンし、嶺上牌で[8]をツモ(嶺上開花の役がつきます)
[8]をポンしている他家が、[8]を加カンする(チャンカンの役がつきます)

特に多いのが、ハイテイやホーテイですね。
通常、形式テンパイの他家は警戒しなくてよいのですが、ホーテイで当たり牌を切ると「ロン」と言われてしまうので、ホーテイの時は注意してください。

次回は、攻撃にも守備にも使える字牌について考えます。

この記事のライター

藤田 明人
最高位戦日本プロ麻雀協会第43期後期(2018年入会)
兵庫県出身。東京大学法学部卒業後、新聞社に入社。
記者を経て、教育事業部門で勤務。
麻雀が、幅広い世代の学びにつながることを研究しています。

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