今回から、講座20~講座26。鳴きの技術の補足に入ります。
従来の麻雀界では、鳴きが多い打ち手は実力に劣るという風潮が根強くありました。確かに、鳴きがやたら多いタイプに成績で劣る打ち手が目立つというのも事実ですし、アーケード麻雀MJの、MJ4時代のデータでは、成績下位者ほど平均副露率が高い傾向がありました。
しかし、天鳳においては、高段位ほど平均副露率が高くなる傾向があります。副露率の高さだけでは打ち手の雀力を測ることはできませんが、従来は鳴きに関する技術が発達していなかった為、鳴きを上手く使える打ち手が少なく、結果的に鳴きが少ない打ち手に成績上位者が多かったのが、ネットの普及によって戦術が洗練され、正しい鳴きの技術が広まったことがデータからうかがえるのではないでしょうか。
従来鳴きに関する技術が未発達であったのは、鳴きに対する先入観が強く、鳴くか鳴かないかを比較することに不慣れな打ち手が多かったことにも原因があるように思われます。現在でも何切る問題において、自分の選んだ打牌のメリットだけ、あるいは選ばなかった打牌のデメリットを述べるだけに終始している解説を結構見受けますが、それでは、他の打牌より自分が選んだ打牌が優れていることの説明になりません。打牌選択で必要なのは、どちらがより「よい手」であるかを比較することと、どのような手牌が、より「よい手」であるかを正しく評価するための知識です。
現麻本でも取り上げましたが、順子×2+リャンメン×2の1シャンテンで、鳴くとタンヤオのみのテンパイになる場合、比較するのは、「鳴いてタンヤオのみのテンパイ」と、「スルーしてメンタンピンになる受け入れが4種ある1シャンテン」です。しかし無意識のうちに、「タンヤオのみとメンタンピンの比較」と考えてしまう打ち手は結構います。このように考えてしまうとどうしても、「鳴いてタンヤオのみではもったいない」と判断して必要以上に鳴きを控えがちになります。あくまで、鳴いた場合と鳴かなかった場合、どちらの方がより「よい手」かを比較すべきであると意識するようにしましょう。
鳴きが難しいとされる理由は、鳴き判断の際に比較しなければならない要素が複数あるためです。どのような要素があるかについては次回以降押さえていくことにします。
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