世界初の試み
文・高橋常行麻雀界編集長
2015年10月23日~28日、中国の海南島において、『ワールド・マージャン・スポーツ・ゲームス』が開催された。
この大会は、今年5月に設立会議が開催され発足が決まった国際麻雀連盟(MIL)が主催、中国のIT企業『連州』がスポンサーとなって開催されたもので、この連盟では初の世界大会となる。MILの目的は、単に麻雀の国際組織を作ろうというのでなく、その先の目標としてマージャンをオリンピック承認種目にすることを掲げている。
そして、このオリンピック承認種目の条件としては、5月の設立会議で、前IMSA(国際マインドスポーツ協会)会長のジョセ・ダミアニ氏が、クリアすべき問題として競技人口と地域、マージャンの競技性について挙げ、とりわけマージャンの競技性についてはブリッジの方法である「デュプリケート方式」を採用することを解決策として提案している。
そこで今回の大会は、オリンピック承認種目の第一歩として、ブリッジの方式を取り入れた新しいシステムのマージャン「デュプリケートマージャン」の世界大会となった。
MIL役員写真(中央が代表のフランク氏、右隣がダミアニ氏
中国のハワイ「海南島」
この新しいシステムで行う初の世界大会、会場となったのは中国でも有数のリゾート地、海南島にあるホテルである。海南島は、中国の最南端に位置する島で、地図上ではベトナムとフィリピンに挟まれている感じだ。気候は熱帯で、一年中常夏、国際的なリゾートホテルがいくつもあり、美しいビーチが並ぶ、まさに中国を代表するリゾート地であり「中国のハワイ」なのである。
大会は、この海南島の南の地区・三亜市でもっともきれいなビーチがある亜龍湾地区にある「シェラトンサンヤリゾート」で行われた。
美しい景色の三亜リゾート
マージャンの一大祭典
今回の大会は、6日間の日程で行われ、23日にルール説明会と複式マージャン練習会があり、24日~26日が個人戦、27日~28日が団体戦という日程。大会は、朝8時スタートで、22時終了という日があり、個人団体両方出場する選手は、体力的な面も相当ハードだが、盛大なレセプションパーティーや表彰式もあり、ある意味、本当にマージャンと交流を堪能できる濃密なスケジュールとなっている。
また、正式種目の他にも、交流オープンイベントとして、四川マージャン大会、リーチマージャン大会、ネットマージャン体験コーナーなどさまざまな企画がなされていた。
5月の設立会議、そしてこの大会と、MILは各国の主要なマージャン組織とコンタクトをとり、各国の支部の設立と選手招聘に尽力し、今回の大会には、14の国や地域の代表が集まった。
国別対抗戦となった団体戦には、その14ヵ国、中国・香港・台湾・日本・シンガポール・イタリア・スイス・デンマーク・スペイン・レユニオン(フランス)・ロシア・アメリカ・カナダ・オーストラリアが出場した。
世界のメンバーと
大会の骨子「デュプリケートマージャン」
さて、いよいよメインの大会であるが、複式マージャンは16の倍数の人数でしか開催できないので、個人戦はベスト64から、団体戦は先ほど紹介した14チームから、日本と中国がもう1チームづつエントリーし、16チームでの戦いに。
ここで、もう一度デュプリケートマージャンについて説明すると「プレイヤー全員が同じ配牌・ツモ山で勝負し、アガッた手の大きさ、あるいは振り込みなど、各プレイヤーの結果にポイントをつけて勝負する。」という仕組みである。具体的には、まず対局開始前、4卓1ブロックとなり、各卓、4局分の山と配牌を作ることからスタートする。国際公式ルールは、1荘戦16局と決まっているので、これで1荘分の山が出来上がるのだ。
後は、これを各卓順番に打っていくだけである。ただし、同じ山配牌でも最初のほうでやるか、後のほうでやるか影響がないように、卓内の選手と着順は競わない。競い合うのは、同じ4卓で同じ位置に座っているプレイヤーなのである(4卓だから、自分が東の位置に座っていれば、他の卓の東の位置に座っている選手との競争になる)。
牌山の作成
型にはめて、隣の卓に回す
大会の行方
こうして、初の試みであるデュプリケートマージャンで大会が行われたが、山づくりに時間がかかる、他の卓が終わるまで待っていなければならない、など対局時間がどんどん遅れ、朝8時に始まった試合は、23時を回っても終わらないケースもあり、プレイヤーにとっては心身ともに疲れたことであろう。他にも座る位置の間違いや、やるべきセットが違っていたなど、やり直し局も発生し、初回ならではの問題点も浮き彫りになった。
しかし、上記のような問題はあったものの、全体を通してみれば、これほど大規模ながら順調に進行した。それも、この大会には40名以上の学生ボランティアがスタッフとして手伝い、配牌の作成、山の移動、会場案内、通訳と様々な業務を行っていたことが、大会をスムーズに進行させてくれた。
大会をサポートしてくれた学生スタッフも表彰
さて、気になる団体戦の結果であるが、
優勝 中国Bチーム
準優勝 香港チーム
第3位 中国Aチーム
第4位 スイスチーム
となった。日本は、日本Aチームが9位で終わり、日本Bチームが準決勝最終戦前今では2位に位置していたが、最終戦で捲られ、6位となった。
盛大に行われた表彰式
団体戦表彰
今後の展開と課題
今回、国際組織の確立と、オリンピック承認種目へむけての第一歩として開かれた大会であったが、世界から主要プレイヤーが集まり交流を深めたこと、デュプリケート形式で大規模な大会を行えたことは、マージャンが国際競技として確立するのに大変意義のある会だったに違いない。
ただ浮き彫りになったデュプリケートマージャンの煩わしさ、競技進行の難しさをどうクリアするのか、また各国における支部設置がどこまで順調に行われるかなど問題点も多い。
今回の大会をきっかけとして、各国でもマージャンのオリンピック承認種目へという目標を掲げ、それぞれの国内で麻雀機運を高め、MILがそれをバックアップし、連携を強化していく事がマージャンの発展、MILの発展につながるのではないだろうか?
是非とも第2回大会は、より一層多くの国から代表が集まり、更なる規模で開催することを期待したい。
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