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ネマタの天鳳日記 第121回

ネマタの天鳳日記 第121回

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 リーチに対して北家が切り。流局に近い終盤で無筋が切ってきたとなると、その他家が合理的に押し引きをしているのであればテンパイと見るべきでしょう。

 どのような基準でリーチ判断をしているかにもよりますが、リーチはしてこないとなると西家の現物待ち。安手良形ならリーチされることも多いので、ダマに放銃すると高打点の可能性が高いと言えます。

 今回はリーチ者がラス目で、北家はトップともラスとも離れた2着目と点数状況には結構降り寄りの局面なので、現物待ち高打点の可能性はなおのこと高いと言えます。

 そうすると、4枚見え、3枚見えで単騎にしか当たらず、その単騎も手順上考えにくいはともかく、については北家にはむしろ相当危険であると言えます。

 テンパイ率100%では無いとはいえ、打点も待ちも絞り切れない通常のリーチに無筋を勝負するよりずっとリスクが高いと言えるのではないでしょうか。

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 しかし実戦ではを切ってしまい満貫放銃。北家がリーチに通ってない牌を切ってきたからダマテンの可能性があることまでは意識していましたがうっかり切ってしまいました。

 ミスをしてしまった理由でもありますが、実はは無スジとはいえ大体通る牌です。

 がリーチに当たるとすれば(4枚見えなのでカンチャンはなく、字牌も全部見えているのでと何かのシャボも考えにくい)ですが、を切ってまでの形は残さない(567三色狙いもを早々と切られているので考えにくい)ためです。いわゆる「宣言牌の裏スジは通る」理論です。

 この理論自体は、と持たれている場合には当たるので、比較的通りやすいとは言えても通るとまでは言えないのですが、今回は4枚見えにつき、を除いてメンツ+3枚からなるメンツ候補のパターンもありません。西家が合理的に打っているのであれば、は通りやすいということ自体は言えるのではないでしょうか。

 しかし、仮に同様の読みで北家も「は通る」と判断したとしても、「北家が終盤ノーテンで、できれば降りたいラス目西家のリーチに、時間をかけずに一見無スジに見える牌を切る」ということが果たして有り得るでしょうか。

 いくら読みの精度が高くても手牌が透けて見えるわけではない以上、万一を考えて現物を切るか、を切るにしても一旦時間を置いて考えるのが人間の心理というものです。

 読みが正しいとしてもそれを打牌判断に反映させるべきかどうかは別問題。打牌判断に影響しやすいものについてのみ集中を入れて読むようにしなければ、読みが正しくても判断の時点で間違う恐れがあるので注意しましょう。

この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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