10/26(木)17:00よりAbemaTV「麻雀チャンネル」にて放送された、RTDリーグ決勝3、4回戦の様子をお届けします。
レポートは、鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)がお送りします。
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東1局、小林のダブトン仕掛けに対し、佐々木が三色確定のドラ単騎でリーチをかけていった。
結果、平賀の追いかけリーチも振り切り、佐々木がドラをツモって3000・6000をものにする。
この手牌、リーチをかけずともマンガンあるため、ダマテンにしてしまいそうなものだが、こういうところを抜け目なくリーチし、相手に制約を与えつつツモアガリに賭けられるのが佐々木の強さ。
これはイメージなのだが、佐々木がドラ単騎の場合にリーチする割合はかなり高いと思われる。リーチが多い佐々木の中でも、特にドラ単騎リーチが多いのは、強烈な個性に映る。
先制した佐々木がトップのまま南入すると、両面を2つチーしてこのタンヤオテンパイ。
逃げ切りを図る佐々木とは対照的に、この半荘でも置いていかれた白鳥だったが、3フーロのホンイツで追いつく。
西をポンしてテンパイしたところなのだが、特に状況がなければドラでのマンガンを見てを打つところ。
しかし、白鳥はを打って、今通ったばかりの中単騎に受けた。
白鳥は「純粋にアガリを取りにいきました。寿人さんがドラ2枚以上持ってると思ってたし、アガるだけなら単騎は拾えると思ったんで」
結果、小林がをツモ切って白鳥の3900となるのだが、この状況で「純粋にアガリを拾いにいく」ということがどれほど難しいか。
ビハインドを負っているため、どうしてもでのマンガンを見て、を切ってしまうものである。
このアガリには、白鳥の意志のようなものを感じた。
「いかなる逆境に立たされようとも、絶対に崩されないよ」
それが、強烈な3つの個性と戦うために、対応型の白鳥が保たなければならないものである。
しかし、アガれども、テンパイすれども、牌が今一つついてきてくれない白鳥。
南2局のオヤ番でも3フーロで追いつくが、テンパイ打牌がポンの佐々木に捕まり、万事休す。
佐々木が決勝初トップで原点まで回復した一方、白鳥はマイナスを3桁に乗せてしまった。
白鳥は控室に帰ってくると、つぶやいた。
「きっついなあ」
そして、無心でチョコを食べ始める。
白鳥「むしゃむしゃ、むしゃむしゃ」
むしろチョコに食べられているんじゃないかと思うほど、無心でチョコに没頭する白鳥。
そんなとき、解説席で村上が言う。「白鳥くんは焦ってないと思いますよ」
白鳥「モグモグモグモグ」
焦ってはいるのだろうが、卓につけばそんな気持ちが入る隙間もなく麻雀に没頭してしまうだけなのだろう。
控室には紛れもなく、ちょっとテンション低めのスイーツ男子がいた。
4回戦に入っても、白鳥の劣勢は変わらない。
ダブトンをアンカンした平賀がもポンして、あっさり40オールで先制する。
そして、1本場でも平賀が強烈な個性を見せつける。
小林のこのリーチに対し、平賀がホンイツ含みのイーシャンテンとなった。
すると、ここから打とし、3900を放銃する。
この放銃がすごい。
小林は、手出しでのリーチだった。
このとき平賀は、のパターンが最も濃いと思っていたそうだ。小林の手牌が正にそうだったように、切り直後にを引いた形を想像していたというのだ。
とするならば、もう1つの受けが両面だとすると、が当たる確率は66%*。通るのは、先にを引いたケースしかないのである。
* パターン1:ツモ、打→結果待ち
パターン2:ツモ、打→結果待ち
パターン3:ツモ、打→結果そもそも打にならない
パターン4:ツモ、打→結果待ち
⇒よって、打になる3通りのうち、が通るのは1通りのみ(=33%)
そこまでわかっていて、平賀はなぜを打ったのか。
平賀「メンホンをアガリ逃す方が引きずるから。残りの33%に賭けてを打ったよ」
そうあっさりと答えた。
「6~7割当たると思っているを」、「トップ目が」、「イーシャンテンから」打つなど、平賀にしかできない芸当であり、強烈な個性である。
すると、続いて小林もすさまじい打牌を見せる。
タンピンイーペーコーのイーシャンテンから、なんとのチーテンを取ったのである。
そして、テンパイを取ったからにはドラ切りでかわしにいくのかと思いきや、打でカンに受ける。
結果、流局となるのだが、帰り際、このときの思考をたろう・村上を交えて話していた。
小林「これはハネマンのリャンシャンテンでしょ?」
村上「なら、とりあえずを切っておけばいいんじゃない?1000点も2000点も変わらないじゃん」
小林「うーん、あんな中盤で、ドラ打ってまで1000点アガりたいかというとそこまでではないんだよね。ドラ打つならチンイツぐらいにならないと」
たろう「鳴く前と鳴いた後の手牌で、どっちがハネマンに近いと思う?絶対鳴く前だと思っちゃうんだけど( ̄▽ ̄;)」
小林「そうかもしれないけど、チンイツに替わる前にが出たら2000点はアガっておきたいんだよね。ちなみに、テンパイは崩さないから、以外はツモ切るよ」
たろう・村上「ええっ!?じゃー、ほぼチンイツにならないじゃん!笑」
小林「そうだね、もちろんそんなにチンイツになるとは思ってないよ(゜―゜)」
このにチーテンをかけられる打ち手が小林以外にいるだろうか。
私も、たろうや村上と同じ感覚で、そもそもチーという発想がない。
これは、紛れもなく小林の個性であろう。
そんな強烈な個性がぶつかり合う中、白鳥は冷静に押し引きを続ける。
をカンして、場に安いピンズならとリーチをかけ、ツモって4000オール。
ついに白鳥がトップ目に立った。
しかし、平賀がマンガンツモであっという間に再逆転。
すると、次局には、オヤの小林にドラアンコの強烈なダマテンが8巡目に入る。
ここで不要なを掴んだのは、白鳥。
少しばかり不幸すぎやいないか。
何度も何度も苦しい中を切り抜けても、まだ闇を抜けない。
12000放銃で白鳥が3着まで落ちてしまう。
しかし、次局では白鳥が5巡目にのポンテンを取ると、ドラのをツモって3000・6000。
2着目まで復活。
そして、オーラスにはトップ争いでテンパイの平賀から一発で打ち取り、8000。
白鳥が、遠かったトップをようやく手中に収めた。
様々な構図に見立てられる今回の決勝戦だが、私はこう思うのである。
「強烈な個性を持つ3名vsあえて個性を持とうとしない白鳥」
あえて個性を持たず、全てに対応し切って勝つという腹積もりの白鳥が、強烈な個性たちを飲み込むべく、反撃の狼煙を上げた。
白鳥の反撃により、初日を終えて各人1回ずつのトップ。
混戦のまま、最終日を迎えることとなった。
■次回11/3(祝)17:00から決勝最終日をAbemaTV 麻雀チャンネルにて生放送予定
https://abema.tv/channels/mahjong/slots/8Sy7WoZumTLRxK
藤田晋invitational RTDリーグとは
2014年に麻雀最強位を獲得した藤田晋が、団体の垣根を超え、今最も強いと言われている麻雀プロを招いて開催される長期リーグ戦。
予選ではBLACK DIVISION・WHITE DIVISIONそれぞれ8名ずつの選手が出場し、各ブロック予選全54回戦をすべて放送する。
前代未聞のスケールで開催される今大会は、名実共に最強の雀士を決める戦いと言っても過言ではない。
今期のRTDリーグは、毎週月曜日・木曜日の午後21時から最新対局を放送!!
(日曜日のお昼に、その週の最新対局をまとめて放送)
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