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ネマタの戦術本レビュー第23回「スーパーデジタル麻雀 著:小林剛 その23」

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第四章 リーチ

(2)「先制リーチ」の有効性を提唱したのはとつげき東北氏とありますが、正確には東風荘のトッププレイヤーであった氷室氏が提唱し、とつげき東北氏の研究によって証明されました。それまでのとつげき東北氏の麻雀理論は、先制よりも良形でテンパイすることを優先するものでした。

 ただし、先制テンパイ率に大差なければ、良形、あるいは高打点テンパイになりやすいように手作りすること自体は重要です。従来の麻雀理論の問題点は、先制でテンパイすると他家が自由に打てなくなるという、牽制効果を軽視し、手変わりを経由してまで良形テンパイを目指そうとしていたことにあります。

 「もっと勝つための現代麻雀技術論」にて再三申し上げましたが、アガリまでの手数に差がなければ、より良形、高打点になる受け入れ、変化を重視するのが原則です。テンパイ以前の手組についての話があまり語られぬまま、「先制リーチの有効性」ばかりが有名になり、とにかく最速でテンパイを目指すべきという誤解も広まってしまったように見受けられます。

 「先制でも悪形のみ手でリーチを打つのは不利」と言われることがありますが、実はテンパイした段階であれば、「役無し悪形のままダマにして、他家からリーチが入れば降り」という選択肢と比べ、局収支上は不利というわけではありません。

 ただし、アガリ率がかなり低くほぼ降りることになる役無し悪形ダマと比べてもそれほど有利というわけではないのですから、テンパイ以前の段階で、良形、または悪形の中でもそこそこの待ち、あるいは打点が高くなるような受け入れ、変化を残すことがなおさら重要ということになります。ですから、「悪形リーチのみにはしない」というよりは、「悪形リーチのみになりそうな手牌の場合は、良形、高打点になる受け入れ、変化の価値が特に高い」と言う方が正確です。

 ダマでも高打点(ダマ40符3翻以上)の手をリーチするかどうかについては、現麻本でも一応の基準は示しましたが、他家の打ち筋(リーチにどのように立ち回るか)、点数状況、ルールの影響で判断が変わりやすいところです。基本的に先制テンパイであれば、他家には自由に打ってもらったほうがアガリ率で勝るので、リーチしても打点があまり上がらない手であればダマにすることは増えます(手変わりがあればなおさら)。

 「他家を自由に打たせなくする」というのは、「手変わりを逃す」「放銃のリスクが高まる」という、従来言われていたようなデメリットがそれほど大きくないと言う意味でのメリットであり、役有りであれば基本はダマにした方がアガリ率は上です。

 ただし、他家のうち一人がテンパイ濃厚の鳴きを入れていて、こちらの待ちも鳴き手相手に通っていない。残りの他家は鳴き手相手に降り気味に打っている場合ならどうでしょう。これならリーチしてもアガリ率は落ちないですし、もし鳴き手の他家がこちらに通っていない牌を引いてテンパイを崩すのであれば、リーチすることでこちらの放銃率が下がり、アガリ牌をツモる機会が増えてかえってアガリ率が高まるまであります。このような場合はまさに、「他家を自由に打たせなくする」牽制効果を狙ってリーチが有利になります。

 リーチが「先制」であることのメリットは、「他家を自由に打たせなくすること」でありますが、リーチそのものの最大のメリットは、単純に打点が上がることです。このあたりを混同してしまうとリーチ判断の基準がずれてしまいがちです。リーチによる打点上昇のメリットが大きい手は、リーチしないだけの条件がよほど揃わない限りリーチしますが、リーチによる打点上昇のメリットが小さい手は、各種状況によって判断が変わることも多いので、単純に○巡目だからリーチ、ダマというようには決めつけないことをお勧めします。

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この記事のライター

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