第六章 迷彩
(5)前回の(3)の切りに近いですね。こちらも迷彩が効果的に使えるケースの一例と言えます。今回は引きで赤を切ってもホンイツトイトイで高くなるので、を切るロス自体も結構大きいですが、トイトイにならなくても高く、後々の鳴きやすさで結構差がつきそうなので先切りが有効でしょうか。
安くなるという理由だけで面子が出来る受けを嫌うのはただ損なだけですが、先切りすることで高めになる牌が鳴きやすく、出アガリしやすくなるのであれば、実質的に高打点になる受け入れを増やしていることになるので、よりよい手を目指すという手作りの基本理念にも合致します。
逆に言えば、手役やドラ絡みの先切りは実戦でも出現頻度が結構高いもの。他家が受け入れ重視で進めていれば比較的通りやすそうではあるけど、放銃した場合は手役やドラ絡みで高くなることが濃厚で、相手が打点を追った形跡がみられる河になっている場合は、本当にその牌を切るに見合う手になっているかを注意したいところです。
(6)「読み」の項でも触れた「ツモ切り」と「空切り」。基本は他家に与える情報量が少ないツモ切りですが、今回のようにまたぎスジの待ちを他家に読まれにくくするように、情報を与えることで他家のミスリードを誘える場合は空切りが有効になると言えます。他には、リーチの現物待ちで待っている時に、安全牌を空切りすることで降りたように見せかけられる場合も空切りが有効になりますね。
ただし、空切りする牌を自分が既に切っていて、その牌が面子候補の一部であるケースも考えにくい場合は、他家からみて「空切り」と読まれやすく、かえって手牌構成を知らせることにもなるので注意が必要です。
(7)メンゼン手の場合は迷彩の効果は薄いと言いましたが、テンパイ率に特に差がなければアガリ率を上げるために河を作るにこしたことはありません。一見差がつかない面子候補同士の選択も、河の強さにまで目を向ければ何らかの差があるもの。余裕があれば意識しておきたいところです。
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ツキ、流れ、勢いといったあいまいな表現を嫌ってきた著者の明晰な頭脳で、麻雀を論理的に限界まで語りつくされてます。