第七章 順位点
(1)順位点が存在するので、オーラスに近づけば近づく程、「一打の価値」は高くなります。半荘が始まった段階のミスならその後取り戻すことができますが、オーラスで着順を落とすミスをしてしまうと、ミスがそのまま結果に影響するので、オーラスに近い段階で順位を考慮した打ち回しができることは、麻雀の技術の中でも非常に重要な位置を占めます。
ところが、重要な技術であるにも関わらず、詳しく言及されている戦術書はあまりありませんでした。順位点がルールによって評価方法や大きさが様々であり、ルールによって打ち方が大きく変わるケースが多々あるので一般化が難しいのがその理由の一つとして挙げられるでしょう。この点からもルールの統一化が望まれます。なお、現麻本も特に言及がなければ、「25000点持ち30000返し、ウマ10−30」の収支戦を想定しています。
「強者はどんなルールでも強者である」というのは、多くの場合は真実であると思います。しかし最近は、順位点の影響が少ない段階における手作り、押し引きの戦術については従来に比べてかなり進歩し、多くの打ち手が技術を習得できるようになった一方、順位点関連の技術については未だに言及が少ないこともあってか、普段打っているルールであれば十分実力者と呼べる成績を出しているにもかかわらず、他のルールでは振るわないタイプの打ち手も増えてきているように見受けられます。順位点関連だけは、ルールの違いを意識し、これから自分が打つルールでは判断基準がどうなるか予め確認しておくことをお勧めします。
(2)天鳳本でも申しましたが、お互いにリャンメンテンパイ、脇の二人はベタ降りという条件とすると、自分のアガリはツモとロンの2通りありますが、放銃はロンだけなので、和了率:放銃率=2:1になります。今回はドラで放銃する可能性がある分和了率も落ちますが、リーチ者の待ちが悪形でないケースや脇からの出アガリも有り得ますので、2:1を大きく下回ることはないと思われます。
今回の問題、仮に天鳳鳳凰卓七段(順位点は90−45−0−▲135)として、放銃は必ず3着、降りた場合は必ず2着だとしても、和了率:放銃率=1:1でようやく押しと降りが互角になります。を止めた上であがれる可能性も一応あるとはいえ、よほど極端な順位点や局面を想定しない限り、この局面ではリーチ有利であることがお分かりいただけたでしょうか。
最初に順位点について触れてある以上、できればルールによって判断が変わる問題の方が望ましかったと思いますが、そうなると正しいかどうか微妙な問題も増えるので、順位点関連の問題を戦術書で扱うことの難しさを改めて感じさせられます。今後機会があれば、あくまで私の見解であると断ったうえで、微妙なケースの押し引き問題についても取り上げていきたいと思います。
本記事に関するご紹介
ツキ、流れ、勢いといったあいまいな表現を嫌ってきた著者の明晰な頭脳で、麻雀を論理的に限界まで語りつくされてます。