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ネマタの戦術本レビュー第36回「スーパーデジタル麻雀 著:小林剛 その36」

ネマタの戦術本レビュー第36回「スーパーデジタル麻雀 著:小林剛 その36」

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第七章 順位点

(3)ダントツが先制リーチを打った場合、うまく追いついて直撃できたとしてもトップを逆転することが難しく、逆に放銃した場合は着順が落ちることが多いので押し辛いというのもあります。このような順位点関連によって起こる現象を、「ついているやつは流れがよい」と表現したのかもしれません。

 天鳳段位戦は素点を評価に含めない完全順位制なので、天鳳から麻雀を始めた打ち手は特に意識しておきたい内容です。逆に、ダントツが出来た場合は通常の局収支通りの手作りや押し引き判断を適応できない領域も増えるので、まだ局数は十分残っているからといって東1の感覚で打たないように注意する必要があります。

 完全順位制と言えば東風荘や麻雀格闘倶楽部もそうです。オンライン麻雀が誕生してから約20年。当初から、ネット麻雀とリアル麻雀のルールや環境の差異については色々言われてきましたが、当初はネット麻雀ユーザーの多くはリアル麻雀も経験しているのが普通であったため、言われていたほどユーザー層には差がなかったものと思われます。

 ユーザー層に差があまり無く、戦術論そのものがあまり洗練されていない時代においては、「強者はどのようなルールでも強者」というより、「どのようなルールでも強者足り得るほど才能のある持ち主しか強者ではなかった」ので、ルールや環境の差異で実力が変わるという意見も、いささか的外れだった感があります。

 しかし、今となっては、リアル麻雀の経験がほとんどない、更に言えば、ごく基本的ではあるが戦績に非常に大きい影響を与える技術については十分に習得しているので、特定のルールにおいては実力者と呼べる成績を残しているが、ルールや環境の差異になかなか適応できないタイプの打ち手も珍しくなくなってきているのかもしれません。前回の繰り返しになりますが、異なるルールで打つ場合は、順位点関連だけは違いを意識し、判断基準がどうなるか予め確認しておくことをお勧めします。

(4)「満貫ツモ圏内を目指す」とは昔からよく言いますが、「統計で勝つ麻雀」によると、満貫ツモの逆転率は8.4%、満貫出アガリの逆転率は14.3%と結構な差になります。満貫ツモでも逆転できないとしても逆転率が0%になるわけではないので、ラス前に満貫出アガリ圏内を目指すと、満貫ツモ圏内を目指した場合に比べてアガリ率が6割に落ちる(リャンメンテンパイをカンチャンテンパイにしてもここまでアガリ率は落ちない)としても満貫出アガリ圏内を目指した方がよくなります。第13回の、「連荘の価値」の項目でも同様のことに触れましたが、0%に近いものがそれなりの確率になることを人は過大評価しがち。実は「満貫出上がり圏内」の方が点差としては重要なのです。

 

本記事に関するご紹介

スーパーデジタル麻雀
麻雀最強戦新鋭プロ戦優勝、将王3度獲得、第1・2期天鳳名人戦連覇など、麻雀プロの中でも、ネット麻雀でもすさまじい勝率を誇る小林剛(こばやしごう)プロの戦術本。
ツキ、流れ、勢いといったあいまいな表現を嫌ってきた著者の明晰な頭脳で、麻雀を論理的に限界まで語りつくされてます。
 
著者名:小林剛
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定価:本体1,300円+税
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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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