麻雀から運の要素を取り除くことはできるか?
麻雀は運の要素が大きいため、必ずしも実力通りの結果が出るとは限らない。
実際、麻雀がオリンピック競技化を目指す大きなハードルとなっているのが、この「運」の要素が大きすぎることだ。
しかしもし実力を正確に測る方法があるとすれば、新たな道が開けるかもしれない。
「デュプリケート方式」と呼ばれる麻雀システムを用いて、新しい試みに挑戦するのは、日本式デュプリケート麻雀制定委員会の清藤さんだ。
「デュプリケート方式」とは、できるだけ共通の素材(配牌・ツモ山)を使用した、別卓の同じ席の人との優劣でのみ評価をする麻雀システムのこと。『コントラクトブリッジ』(トランプのゲームの一つ)などで採用され、国際基準となっている。過去に中国では国際ルール(中国麻将ルール)の「デュプリケート麻雀大会」が開催された。(2015年 中国・海南島)
麻雀の概念を変える!デュプリケート麻雀の国際大会が開催!
清藤さんは、国際ルールではなく日本式のルールを整備し、2021年11月に「日本式デュプリケート麻雀」の体験会を開催した。
1半荘の流れ
(1) 運営は東1局から東4局までの山を作っておく。
(2) 参加者は予め決められた卓組 ・ 決められた席に着席し、各卓「東1局」を行う。1チーム4名の16名で行われる。
(3) 終局したら点棒のやり取りを行い、参加者は次の卓へ点箱を持って 「平行移動」する。
(4) 東4局まで終了したら「席を入れ替え」るので座る場所に注意し、南場を行う。
(5) 南4局まで終了したら、合計点数があっているかを全員で確認 し、「最終持ち点」「順位」を全員分記録する
成績評価は個人とチームで
成績は同じ席(同じ配牌とツモ)で打った相手と競うのが特徴だ。
(1) 個人評価
1-1【順位評価】
同席の並びで「一番順位の低い人から数えて順位が上」の分だけ1ポイントずつを加算していく
1-2【点数評価】
同席の並びで「最終持ち点の一番低い人からどれだけプラスか」を加算していく。
「点数評価」を1万点= 0.5P(1000 点単位はすべて切り捨て)とし、「順位評価」のポイントに加える。
これにより、同順位でも優劣が判別を可能とし、1順位差=2万点の価値となり、日本で多く行われている「順位点(ウマ)ありきの麻雀」の側面も取り入れることが出来る。
総合ポイントによりまずは 「個人順位」をつける。より上位の者が「日本式デュプリケート麻雀」において優れた実力(雀力)をもつこととなる。
例でいえば、下記の通りのポイントとなる
A1:3P+0P=3P
B4:1P+0P=3P
C3:3P+0.5P=3.5P
D3:0P+0P=0P
(2)チーム評価
個人の総合ポイントをチーム内で合算する。合算ポイントの多いチームをより上の順位とし、チーム順位を決定する。
従来の麻雀よりも他者と競っている感覚が強い
参加者から感想を聞くと、普通の麻雀よりも他者と競っているという感覚があるという。
確かに、同じ配牌とツモで対戦しているため、他の選手がどのような結果になったかとても気になる。
ここで1局例を挙げてみよう。
東3局 西家 配牌 ドラ
西家でドラのがトイツという絶好の手牌だ。
これが4者で異なる結果となる。
・Aさん 8000(リーチ西ドラ2裏1) 東家からロン
ロン 裏ドラ
・Bさん 3900(西ドラ2) 南家からロン
ロン
・Cさん Aさんと同じ
・Dさん 5200(西ドラ2)東家からロン
ロン
AさんとCさんは全く同じ進行だった。
Bさんは東1局、2局で大きく加点していたため、早々にチーテンを入れて3900点をアガった。
Dさんは慎重にヤミテンでアガった。
このようにまったく同じ配牌、同じ牌山でも、結果は違ってくる。
なお、鳴きによりツモがずれるのが日本式の特徴だ。(国際公式ルールは各自目の前の牌山からツモる)
より運の要素を省くのであれば、ツモも同じにした方がよいかもしれないが、より日本麻雀に寄せたルールにしたようだ。
準備に時間がかかる難点も
「デュプリケート方式」競技性を高めるルールとして魅力があるものの、いまいち普及しない理由として、準備に非常に時間がかかることがある。
牌山の生成はもちろん、それを”間違いなく”人力で積むのは確認も含めて困難な作業だ。
以前にも言及したことがあるが、オンライン麻雀で競技をするか、全自動卓の麻雀牌にチップを埋め込んで好きなように築牌できる仕組みがあれば解決する。
オリンピック競技化に向けて少しずつ改善点を見つけていきたいところだ。
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