赤有りの方がかえって実力差が出やすいと主張してきましたが、運要素の少ない赤無しの方が、やはり実力差も出やすいだろうという考えももっともなことです。
赤無しルールで長期間対戦した記録は見当たりませんでしたが、当コラムでも何度か取り上げました、オカルト否定の麻雀本の先駆けとも言える『リーチ麻雀論改革派』の中に気になる記述がありました。それは、最強クラスの打ち手なら、トップ、2着、3着、ラスが5−2−2−1くらいの成績を出すだろうというものです。
もしこの通りの成績であれば、平均順位1.9。本書も、続編に相当する『マージャンクイズゼミナール』も一貫して赤ドラへの言及が無いので、赤無しルールを想定した成績と思われます。この記述を見た時、いくら何でも大げさだろうと思ったものですが、著者の天野氏は雀荘経営者であり、麻雀を生業として生活してきた経験の持ち主でもあります。そうするとこの成績も単なる出まかせではなく、自身の成績記録に基づいたうえでの記述だとしても不思議ではありません。
しかも、『マージャンクイズゼミナール』で示されている解答は、昨今の麻雀戦術の視点から観れば誤りとしか言い様がないものばかり。このような打ち回しでもそれだけの結果を残せるのであれば、やはり実力差が出るのは赤無しルールではないかという疑念も生まれます。
こちらでは赤有りルールに関する言及は特にありませんが、赤無しルールを長年経験してきた実力者の多くは、実力差が出やすいのは赤無しと考えるでしょうし、そう考えてきたからこそ、競技の場では今でも大半は赤無しで対局されます。私の周りで実力差が出るのは赤有りという考えに同意される方は、そもそも赤有りが当たり前になってから麻雀が強くなった打ち手が大半。単に赤無しをあまり経験していないというだけで、極めれば赤無しの方が差をつけやすいという意見を否定するまでには至りません。
書籍内に取り上げられた成績が事実であるとして、これについてはどう考えるかについては、次回お話することにいたします。どこまで行っても主観の話になりますが、明示的なデータを取るのが極めて難しい問題であるのでご容赦いただければと思います。