古くから伝わる格言の一つに、「チーテンにソバテンあり」があります。
「チーテン」は、チーしてテンパイすること。
そして、チーして切られた牌の近くが待ちになりがち、という意味です。
例えば、チーした人がを切ったら、のスジや、のスジに要注意です。
具体的な場面を見てみましょう。
2022年4月19日のMリーグファイナルシリーズ、第2試合東1局で、サクラナイツの堀慎吾選手の手は、次のようになります。
ポン
いわゆる完全イーシャンテンの強い形で、次に を引けばテンパイします。
(完全イーシャンテンは、第29回 完全1シャンテンは完全か? をご覧ください)
その後、堀選手はをチーして、切り。のリャンメン待ちでテンパイしました。
チーして切ったの近くが待ちになっていますね。
まさに「チーテンにソバテンあり」の典型例で、のまわりに気をつけた方がよいですね。
古くからの格言は、現代では通用しないものもありますが、これは今も生きているといえそうです。
ただ、ソバテンが極端に危険かというと、そうとも言い切れません。
上の形で、先にかをチーしたら、切るのはで、待ちはとなり、ソバテンにはならないですね。
また、そもそも上のようなイーシャンテンではない時も多いですし、さらにいえば、チーしてもテンパイしているとは限りません。
そのため、格言は意識しつつも、自分が価値のある手であれば、恐れずにしっかり勝負することが大切です。
また裏返しの格言として、「ポンテンにソバテンなし」があります。
ポンしてテンパイの場合は、切った牌と待ち牌に関係ないことが多い、という意味です。
上記の形
ポン
で、かをポンすると、を切って、待ちのテンパイです。確かにソバテンではないですね。
もっとも、こちらも多くの例外はあります。
上の形を少し変えて
ポン
だとどうでしょう。かをポンしたら、アガリやすいリャンメン待ちにするために、普通はを切りそうですね。
すると、切りで待ちとなり、「ポンテンだけどソバテン」になります。
また、
ポン
のようなイーシャンテンだと、かをポンすると、切りでテンパイですね。
のそばのを切ると、放銃してしまいます。これも「ポンテンだけどソバテン」といえるでしょう。
このように、いろいろなケースがありますが、いずれにせよ大切なのは、鳴いた人が、直後に切った牌を見ておくことです。
リーチされた場合は、リーチ宣言牌を横向きに置くので、見るからに明らかで、覚えておく必要はありません。
一方、鳴いている場合は、何を切ったかをちょっと意識しておかないと、後で分からなくなってしまいます。
また、鳴いている場合は、そもそもどこでテンパイしたか分からないので厄介ですが、鳴いている人が、その後何度か手の中から牌を切ってくれば、手が進んでテンパイしている可能性が高まります。
その際、最後に手出しされた牌のソバテンになっていることも良くあります。
他家が手出し(ツモ牌を手の中に入れ、牌を入れ替えること)か、ツモ切りか、すべて覚えることは大変難しく、上級者になるまでは覚える必要性も高くないと思いますが(それよりは牌効率や構想力、押し引き、撤退する時にきちんとオリることなど、重要なことが多くあります)、鳴いている他家がいる時は、手元を見ておくのがお勧めです。
次回は、他家の打点を下げる「一発消し」「ハイテイずらし」をご紹介します。