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卓上でヨシ!麻雀暗記ノート 第63回 一発に対する考え方と「一発消し」の判断

卓上でヨシ!麻雀暗記ノート 第63回 一発に対する考え方と「一発消し」の判断

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「一発」は、気持ちのよい、華のある役ですね。
役がなくても、テンパイしてリーチ、一発でツモり裏ドラがのれば「リーチ・一発・ツモ・ドラ」で満貫に。
一撃で戦況を変えられる魅力があります。

逆に、他家にやられるとこたえます。「何でよりによって一発で…。ついてる人にはかなわん」と。

私は昨秋、ある重要な対局で、Mリーグの公式解説や「HQ麻雀」の講師として活躍されている河野直也プロに、鮮やかな一発ツモを決められ、「役者が違うな」と感じたことがあります。
もともと、はるか格上の選手に挑戦している時に、こう思ってしまうと、勝機はなくなりますね。その日は実力通り、河野プロが優勝しました。

一発は「偶然役」と呼ばれ、「たまたま」出る印象がありますが、実はわりと頻繁にあります。

Mリーグのデータを分析されている「Mリーグ成績速報(非公式)」さんのツイッターによると、創設以来4年間の全対局812試合(9,868局)で、一発は804回あります。出現頻度は役全体のなかで6番目に多く、ホンイツやチートイツの2倍以上もあります。

また、リーチをかけてアガった回数が4004回で、そのうち804回は一発ということは、リーチが成就した時は、5回に1回は一発だということです。けっこう多いですね。なぜこうなるのでしょうか?

例えばリャンメン待ちでリーチをかけた時、一発でツモる確率を考えます。34種類ある牌のうち2種類が当たりなので、単純計算では 2÷34 で、約5.9%です。カンチャン待ちやペンチャン待ちなら、その半分に過ぎません。

ただ実戦では、リーチをかける人は普通、河を見たり、山読みをしたりして、ある程度ツモれそうだからリーチするわけですよね。つまり、単純計算よりは確率が高くなります。

また、一発はツモだけでなく、ロンでもOKです。追っかけリーチの場合は、先にリーチしている人は危険牌でも一発で切るしかありません。リーチしていなくても、テンパイ者はオリないことが多い。結果として、一発で放銃するケースもそれなりにあり、Mリーグ4年間で、804回もの一発が生じているのです。

この数字から言えるのは、一発はごく普通に起こるので、他家に決められても落ち込む必要はない、ということでしょうか。「ふーん、一発ね、まあ次は自分が一発でアガってやるわ」と動じないのが良さそうです。

それに、一発がそれほど痛くない場面も多くあります。

例えば、子にピンフを一発でツモられ、700・1300点の手が1300・2600点になったとしても、自分が子なら失点の差は600点にすぎません。親でも1300点差です。致命傷ではないですよね。

また、4ハンの手に一発がついて5ハンになったときは、同じ満貫なので、そもそも点数は変わりません(6ハン→7ハンなども同じ)。

Mリーグでも活躍している多井隆晴プロが書かれた著書に、「麻雀 無敗の手筋」(竹書房)という1冊があります。その一節に「早いリーチを受け、一発目でドラを持ってきたときはどうしますか?」「アガリが見えるなら、オリずに戦いましょう」というやりとりがあります(P114から引用)。
自分の手に価値があれば、一発を恐れすぎることはない、それよりアガリを逃すダメージの方が大きい、という趣旨です。

リーチに一発でドラを振り込めば、多くの点棒が出ていってめちゃくちゃ痛い! ので、強い負の印象が残ります。
一方、ほぼアガれていた手を逃す場面は、点棒は減らないため、痛みを伴いにくい。
ただ、これも「機会損失」といって、同じ損失なのです。一発に限らず、「目に見える分かりやすい損失」だけを過剰に恐れると、バランスを失ってしまいます。

「機会損失」は、私たちの日々の生活や、会社の経営などで、常に課題になるテーマなので、関心のある方はぜひ検索してみてください。

少し話がそれましたが、一発は、避けられれば避けたいですよね。

そこで、他家には対抗策があります。一発の成立条件は、他家が鳴かない状態で、リーチ後一巡以内にアガること。
アガリの前に鳴けば、一発はなくせます。俗に「一発消し」といいます。

一発消しをするかは、よく議論になりますが、「自分が損してまでやることはない」という考え方が主流です。
例えば、メンゼンで十分アガリが見込めるのに、一発消しのためだけに鳴けば、自分の打点が下がってしまいます。

また、上家のリーチ宣言牌をチーすると、一発は消せますが、自分のツモを飛ばすことになります。
もし鳴かずにツモっていたら、安全牌を持ってきて、安全度が高まっていたかもしれません。
そのメリットを捨ててまで鳴く価値があるか?と考えるのがいいでしょう。

さらにいうと、自分が一発消しをすると、一番喜ぶのは、リーチ者と自分以外の2人です。ノーリスクで、失点の期待値が下がるからです。内心「よくぞ消してくれた!」と思っていることでしょう。2人を得させてまで自分が犠牲になる必要は薄いといえます。

一方、一発消しをした方がよい時もあります。
例えば、残り数巡の終盤で、自分には安全牌が十分あり、必ずオリられる時。
振り込むリスクがなければ、ツモられた時の被害を少しでも抑えた方が得です。

またオーラスで、ライバルがリーチし、逆転されそうな時も、一発を消す価値が高まります。
「満貫ツモならまくれないが、跳満ツモならまくれる」というような条件のとき、一発や裏ドラに期待してリーチをかけることはよくありますよね。

特に、順位によるポイント差が大きいルールでは、なりふり構わず一発消しをして、ライバルに逆転されることを防ぐのも有効なときが増えます。

なお、「フリーの麻雀店などで、一発消しはマナー違反にならないか?」という心配の声を聞くことがありますが、特にマナー違反ではありません。

もちろん、リーチをかけた方は面白くないかもしれませんが、ルールの中で当然想定されることですし、自分のリーチが一発消しされることもあり、お互い様なのです。真剣勝負なのですから、「この局面は、一発消しをした方が得である」と判断すれば、遠慮せずに行って大丈夫です。
(もちろん、一発を消すときに、あおるような表情やしぐさをするのは、マナー違反ですが)

次回は、同じく偶然役の「ハイテイ」について考えます。

この記事のライター

藤田 明人
最高位戦日本プロ麻雀協会第43期後期(2018年入会)
兵庫県出身。東京大学法学部卒業後、新聞社に入社。
記者を経て、教育事業部門で勤務。
麻雀が、幅広い世代の学びにつながることを研究しています。

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