麻雀ウォッチ編集長のtarooです。
巷で話題のニュースから麻雀に使えるヒントを得ようという試みの連載第6回!
その名も『tarooが斬ル』!
斬るや斬らざるや。こちらが斬られるまで麻雀界をばっさばっさと斬っていきましょう!
前回の記事では、プロの統一ランキングや、目無し問題について書きました。今回は麻雀の大会システムについて考えてみます。
若きスターの誕生がブームを作る!?
将棋の藤井聡太四段が6月26日に、新記録となるデビュー以来無敗の29連勝を達成。NHKもその瞬間を放送したり、AbemaTVでは歴代2位の793万視聴、翌日の新聞の一面は藤井四段一色という注目度でした。まだわずか14歳の中学生がやってのけたわけですから、本当に凄いとしか言いようがないですね。(7月2日に連勝が途切れました)
藤井四段の関連グッズは飛ぶように売れ、朝のワイドショーでは棋士が出演して将棋界の仕組みが紹介されるなど、空前の将棋ブームが到来しています。
▼参考記事
将棋:藤井四段29連勝 14歳、新記録樹立 - 毎日新聞
卓球では14歳の張本智和選手が活躍しましたが、若きスターが登場するとその競技は非常に盛り上がりますよね。
麻雀でも若きスターの発掘を目指し、昨年のクリスマスに「高校女子オープン大会」という女子高生による麻雀対局が放送されて注目を集めました。星野信夫チェアマン(近代麻雀編集長)肝いりで実現した企画で、今年も麻雀の日(8月1日)に開催されます。
▼高校女子オープン大会2017・夏 - 学生麻雀連盟
https://www.gakusei-majan.com/event-info/jkmajan2017summer/
そうした若きスターが誕生するためには、現行のリーグ戦のシステムは全く適していないのです。麻雀で評価されるには、大きなタイトルを獲得する必要があり、通常何年もかけてリーグ戦を勝ち上がらなければなりません。麻雀はただでさえ、実力者が必ず勝てるわけではないゲーム性ですから、芽が出ないうちにプロをやめてしまうということもあります。
ゴルフのツアー制度は麻雀に適用できる!?
前回紹介した「麻雀界第7号(2011年)」の馬場裕一さんのコラム「バビィのプロ論」では、麻雀に適した大会システムとしてゴルフのツアー制度を例に挙げています。
よく言われることですし、実感されている方も少なくないでしょうが、麻雀というゲームは必ずしも、「強い人」が勝つわけではありません。場合によっては、タイトルホルダーが初心者に負けることだってある。それが麻雀というゲームの特質であり、また人気の源でもあるのです。
囲碁や将棋のように「強い人」が必ず勝つゲームだったら、麻雀はここまで流行らなかったでしょう。
だったら、この特質を利用したシステムを創ったほうが、より麻雀の魅力やプロの存在をアピールできるのではないか、と僕は考えました。
目をつけたのはゴルフです。
勉強不足で詳しいことは書けないのですが、プロゴルフの世界は毎週試合(タイトル戦)が行われています。
前年度成績の良かった上位選手はシードされることがありますが、基本的にはベテランも新人も横並びでスタートする。3日または4日間のトータル成績で優勝者が決定。翌週は新たな試合(タイトル戦)が始まる。
で、ここからが肝心なのですが、いわゆる「強い」と呼ばれているプレイヤーでも、予選落ちすることがあるんですよね。それこそ、明らかに自分より格下のプレイヤーに負けてしまう。でも「強い」プレイヤーなら、年間に3、4回は優勝をものにするのです。
これを麻雀プロの世界に置き換えてみてください。
タイトル戦を毎週1タイトル戦、年間で40~50試合行ったとします。「強い」プレイヤーは、おそらく、3,4回は優勝するでしょう。もちろん調子が悪ければ、予選落ちもする。
僕は、現状プロゴルフの試合形式が、最も麻雀の特質に適したシステムではないかと思っているのです。
日本のゴルフのプロテストは日本プロゴルフ協会(JPGA)という団体が開催しており、ツアーは日本ゴルフツアー機構(JGTO)という別の団体が主催しています。プロテストに合格したからといってツアーに出場できるとは限りません。ツアーに出場するには、JGTOが主催するクォリファイングトーナメント(QT)というツアーの予選会に出場して上位に入る必要があります。
PGAが認定しているプロゴルファー資格には、「トーナメントプレーヤー(TP)」と「ティーチングプロ(TCP)」の2種類があります。「トーナメントプレーヤー」は、トーナメントに出場するだけの技能及び知識を持っている選手に与えられます。一方、「ティーチングプロ」とは、ゴルフの指導技能に優れ、ゴルフ知識及びPGA指導要領を取得した者に付与され、ゴルフの普及と発展を目的に活動します。ツアーに出場するには、クォリファイングトーナメント(QT)の上位に入れば良くて、必ずしも「トーナメントプレーヤー」の資格は必要ありません。
参考:トーナメントプレーヤー資格取得のための「資格認定プロテスト」とは - 日本プロゴルフ協会
▼日本男子プロゴルフツアーのスケジュール(JGTO公式サイトより)。スポンサーが冠の大会が週ごとに開催される。
麻雀で置き換えるならば、各プロ団体がプロテストを行いつつ(理想は合同プロテストやドラフトですが)、ツアーの運営は新たに別の組織を作って行います。(日本麻雀ツアー機構「JMTO」みたいな)
テストに合格したプロは、麻雀教室の先生を目指す「ティーチングプロ」を目指すも良し、ツアーの予選会に参加して「トーナメントプレイヤー」を目指すも良し。
トーナメントプレイヤーは毎週行われるツアー(年間40~50試合)に、プロランキング(前回記事参照)に応じて出場します。
ゴルフは1回の大会に100~150人ほど参加します。麻雀も同じくらいの人数で開催するとなると、現状では複数会場になることがほとんどですね。
ゴルフは4日間(木~日曜)で行われることが多いですが、その場合は月曜日にその大会の事前選考会(マンデートーナメント)があり、火曜日は練習日、水曜日はプロアマトーナメントが行われていることがあります。
プロアマトーナメントは主催者やスポンサーが最も重要視しているといっても良いイベントです。ゴルフの大会は「サイバーエージェントレディースゴルフトーナメント」といったように企業名や商品名が入っていて、宣伝やイメージアップ効果を見込んでいます。スポンサーはプロアマに普段からお世話になっている取引先を招待して、トッププロと一緒にラウンドしてもらうわけですね。招待客にとってはまたとない機会です。主催者はスポンサーに満足してもらって、翌年以降も大会を継続してもらったり、新たにスポンサーを獲得して試合数を増やす目的があります。
麻雀ですと、トッププロ、女流プロがスポンサーと一緒に麻雀を打って、楽しい時間を過ごしていただけるようにするわけですね。プロもアマも一緒に同卓して楽しめるのが麻雀の良いところ。これを活かさない手はありません。ゴルフはまずプロには勝てませんが、麻雀ならお客様が優勝することもあるでしょう。きっとスポンサーにも満足していただけるのではないでしょうか。
プロアマが終われば、いよいよ大会が始まります。本戦は4日間だとすると、1日5半荘ずつ打って合計20半荘で勝敗を決めます。予選は2日間10半荘で、上位が決勝ラウンドに進出。決勝戦は無く、最終的にポイントの一番高い選手が優勝となります。
これが1週間の流れだとして、毎週繰り返して1年間で40~50試合行い、年間の賞金ランキング(ポイントランキング)を競います。
トップリーグまで到達するのに何年もかかるシステムではないので、新人でもワンデー予選(チューズデートーナメント)やQTを勝ち上がれば1年目から優勝も可能。若いスター選手が生まれる可能性も高くなります。
曜日 | ゴルフ | 麻雀(仮) |
---|---|---|
月 | マンデートーナメント | 休養日 |
火 | 練習日 | チューズデートーナメント |
水 | プロアマトーナメント | プロアマトーナメント |
木 | 大会1日目(予選ラウンド) | 大会1日目・5半荘(128名) |
金 | 大会2日目(予選ラウンド) | 大会2日目・5半荘(128名) |
土 | 大会3日目(決勝ラウンド) | 大会3日目・5半荘(64名) |
日 | 大会4日目(決勝ラウンド) | 大会4日目・5半荘(32名) |
▲現実的には平日開催は難しいので、2週間の土日4日間で開催することになる・・・?
この方式で行く場合、最終的に40~50社のスポンサー獲得という大きな課題がありますが、まずは既存のタイトル戦をツアーに組み込むなどして、10~20試合程度にするのが現実的でしょうか。
平日は会社に勤めながら麻雀プロをしているトッププロもいます。仮に仕組みができたとして、すぐに会社を辞めて麻雀プロ1本で、という決断も難しいでしょう。
ツアーを目標としつつ、もう少し選手が参加しやすい仕組みにする必要があります。
最近は、仕事などの都合で対局を欠場したり、団体を移籍したり、プロを辞めざるを得ないという方もいますね。
貴重な人材を失うのはとてももったいないと思うので、平日の夜もうまく使いながら競技を進めて行くのが良いと思っています。
また、リーグ戦形式は長期にわたるので、急な欠場者が出た場合の対応が難しいです。
そこで私が提案するのが、「敗者復活ありトーナメント方式」です。
詳細はまた次回に。