麻雀ウォッチ編集長のtarooです。
巷で話題のニュースから麻雀に使えるヒントを得ようという試みの連載第7回!
その名も『tarooが斬ル』!
斬るや斬らざるや。こちらが斬られるまで麻雀界をばっさばっさと斬っていきましょう!
前回の記事では、プロの統一ランキングや、目無し問題について書きました。今回は麻雀の大会システムについて考えてみます。
2勝戦(トップ数を競うシステム)は視聴者が勝利条件をわかりやすい
日本プロ麻雀協会の木原浩一プロが主催する「ブログマガジン杯」は2勝戦(2回トップを取った選手が勝ち上がり)のトーナメントです。今年行われた第8回には麻雀王国として協賛させていただきました。この2勝戦トーナメントは麻雀大会に適したシステムではないかと思っていて、このシステムを採用した大会が続いて欲しい。そしてプロとしての新しい収入源を自ら体現した木原プロを応援したいことから協賛いたしました。
▲天鳳でもワンデー予選が行われているブログマガジン杯。天鳳位やプロも参戦する。
「○回トップを取った選手が勝ち上がり」というシステムは、オーラスの条件確認がいらないので、非常にスムーズに大会が進行できます。視聴者も勝利条件を把握しやすく、また、目無し問題が起こりにくいという利点もあります。
デメリットは、「2勝戦」の場合は最小2回戦、最大5回戦となり、終了時間が読めないということです。さらに3勝戦(最小3戦、最大9戦)や5勝戦(最小5戦、最大17戦)となるとさらに時間が長くなり、一日で決着が着かないこともあります。
「1勝戦」すなわち1回勝負でトップを取った選手のみ、勝ち上がることができるトーナメントといえば、最強戦ファイナル(16人によるトップ条件・全5戦)が代表的ですね。
しかし、それだけでは試合数が少なく、運の要素が強すぎるという意見もあるでしょう。
▲トップを取った選手が勝ち上がる最強戦ファイナルのトーナメント。
1回負けても大丈夫なダブルイリミネーショントーナメント
「ダブルイリミネーショントーナメント」は敗者復活ありの特殊なトーナメントで、ビリヤードやビーチバレー、格闘ゲーム、将棋や囲碁でも一部の大会で採用されています。
まず参加者全員が「勝者サイド」に配置され、勝者は同じ勝者サイドの選手で次の試合を行います。敗者は敗者サイドに配置され、敗者サイド同士で次の試合を行います。敗者サイドで負けた場合は、トーナメントから除外されます。つまり、2回負けるまで敗退とならないシステムとなっています。最終的には勝者サイドと敗者サイドにそれぞれ残った選手が決勝戦を戦います。このとき、勝者サイドは1勝のアドバンテージがあり、1勝すれば優勝、敗者サイドの選手は2勝する必要があります。
麻雀は4人で行うゲームなので組み合わせが難しいですが、準決勝以下は上位2名が勝ち上がるシステムとし、決勝戦は2勝戦で勝者サイドの選手に1勝ずつのアドバンテージがある方式を考えてみました。(下図参照)
8人参加でこの方式を1日で行う場合、準決勝以下で5戦、決勝戦で最小1回、最大3戦となり、合計すると最小6戦、最大8戦。
また、できるだけ同時進行(勝者サイドの1回戦2試合など)することで、準決勝以下を3戦の時間で進行できるので、最小4戦、最大6戦でトーナメントを終了することができます。
1回戦から放送したとして、1日で終了できるスケジュールを組むことができます。
予選のアドバンテージを付けるパラマス式トーナメント
予選順位によるアドバンテージを与えることが可能になるパラマス式トーナメント(ステップラダートーナメント)を採用する手もあります。ディフェンディングチャンピオンやシード権を持っている選手を優遇することも可能になります。さらに2勝戦や敗者復活なども組み合わせると、さらに運の要素を減らすことができるでしょう(試合数は多くなってしまいますが・・・)。こちらは藤井聡太四段が参戦していた竜王戦決勝トーナメントが代表的です。
やっぱり長期リーグ戦は納得感がある!?
現状多くの大会で採用されているリーグ戦は、途中休場者が出たり、途中で成績がほぼ確定し目標が無くなるといった問題があるものの、選手もファンも長期戦の結果としてある程度は納得しているようです。
RTDリーグの人気が高いのも「トッププロによる長期リーグ戦」という側面があるでしょう。
ネット雀士に言わせると「3000~5000戦は打たないと実力はわからない」となりますが、リアル麻雀では現実的ではないです。(それは生涯成績としてランキングを作って評価すべきでありましょう)
3000戦打てないのであれば、1~2戦で決めても同じでは?といって、全てトーナメントで決着するのが良いかというとそうでもないようです。
短期決戦ゆえに運の要素が強すぎたり、敗者復活ありだとすると敗者サイドの選手が優勝することもあるので、参加者やファンから不満が出て、過去に採用したものの不評で廃止になったスポーツもあるようです。
そこで、予選は従来のリーグ戦もしくはポイント方式(4~5回戦)で、決勝はトーナメントという組み合わせはいかがでしょうか。
これであれば、決勝戦が変わるだけで、いままでの大会形式から大きく外れることはありませんし、予選上位者から順にランキングポイントや賞金を与え、決勝トーナメントの最終順位でさらにポイントや賞金を決定することで、予選での消化試合も防ぐことができます。
とにかく、決められた回数のトータルスコアで勝者を決める決勝戦は問題点が多く、一刻も早くやめた方が良いのではないかと思います。
短期決戦のトーナメントは観戦に向いている!
先日、世界最大の格闘ゲーム大会「EVO(エボ)」がアメリカのラスベガスで行われ、日本のときど選手が見事に優勝しました。会場の盛り上がりは是非動画を見ていただきたいと思います。ちなみにEVOではダブルイリミネーショントーナメントが採用されています。
▼参考記事
日本のときど選手、ストリートファイターV世界大会EVOで悲願の優勝 ~世界最強を相手に奇跡の逆転劇 - PC Watch
【EVO 2017】
DAY 3: FINALSダイジェストをお届け。
格闘ゲーマーの皆様へ、また来年1月のEVO Japanでお会いしましょう。#Evo2017 pic.twitter.com/XANFVsOOwS— EVO Japan (@EVOJapanNews) 2017年7月17日
前々回の記事で、”麻雀は将棋・囲碁を真似るよりも、e-sportsのようにもっとエンターテインメントを重視した方が、麻雀のゲーム性や文化に合っている”と書きましたが、麻雀も近年は観戦する文化が定着しており、このEVOのようなステージを麻雀でも実現できないかと考えています。
そのためには、現在の決勝戦のシステムではなく、決勝トーナメント方式が合っています。
これまで何回かに渡ってプロの大会システムについて書いてきましたが、ファンがよりプロの対局を楽しめる環境を整え、様々なビジネスチャンスを無駄にしないためにも、前進して欲しいと思います。