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第36回 ネマタの麻雀徒然草

第36回 ネマタの麻雀徒然草

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ネマタの麻雀徒然草とは
  • 『ネマタの麻雀徒然草』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる「麻雀に関する話題を徒然なるままに書き連ねていく」コラムです。
  • 第1回はコチラ

 

 第34回で、麻雀が好きだけど成長しない人の特徴を挙げましたが、逆に言えば、麻雀で成長する人は、場の情報を把握することが上手く、打牌選択について具体的に考えられる人です。

 

 打牌選択の手順について、「勝つための現代麻雀技術論」で、「認知」「判断」「操作」の3ステップに分かれると書きましたが、実はこれは、自動車学校で最初に習うお話が元になっています。免許習得の際に、これは麻雀でも同じ事が言えると思ってコラムにしたものを本に掲載いたしました。

 

 自動車事故の原因として最も多いのが脇見運転。つまり「認知」を怠ったが故のミスから事故が起きているので、自動車学校では「認知」が最も重要であると教えられます。一方、「判断」が最も重要になるのは、将棋のような完全情報型の頭脳ゲーム。「操作」が最も重要になるのは、運動神経が要求されるスポーツが挙げられます。

 

 将棋の羽生さんがチェスを覚えて、月に1、2度しか練習しなかったにもかかわらず2年後には日本最強になったエピソードや、ハンマー投げの室伏選手が、高校時代に一度もやったことがないやり投げで国体2位になったエピソードからもうかがえるように、「判断」「操作」が最も重要なゲームは、圧倒的な才能がものを言います。

 

 それに比べれば、「認知」が重要な分野に関しては、才能はさほど要求されません。人間である以上、真後ろにある物を、鏡を見ずに認識することはできません。むしろ、「判断」「操作」に長けている人ほど、自分の能力を過信して事故を起こしてしまうことが少なくありません。

 

 麻雀も頭脳ゲームである以上、「判断」は重要ではありますが、不完全情報ゲームである以上将棋ほど深く読みを入れられるものではありません。一方、将棋が2人で40枚の駒を使うのに対して、麻雀は4人で136枚の牌を使うことから、「認知」がより重要になります。運要素だけでなく、「認知」が重要なゲームであるからこそ、才能の差を埋めることができるのです。

 

 もちろん認知能力に関しても個人差があります。私は運転免許の試験を5回も落ちるほどのポンコツなので、「認知」に関しては確実に人一倍苦手です。しかしながら、麻雀に関しては少なくとも「判断」「操作」が要求されるゲームよりは結果が出せています。判断のための知識を身につけることを苦にしていないにもかかわらず伸び悩んでいる方は、麻雀の一局面における情報を把握することに少しだけでも意識を向けることをお勧めします。

この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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