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第286回 ネマタの麻雀徒然草

第286回 ネマタの麻雀徒然草

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ネマタの麻雀徒然草とは
  • 『ネマタの麻雀徒然草』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる「麻雀に関する話題を徒然なるままに書き連ねていく」コラムです。
  • 第1回はコチラ

リーチ後にアンカンできる条件。およそ現在最も一般的なルールは、「メンツ構成が変わらなければ可能」とされますが、個人的にこの表現はしっくりこないところがあります。コーツがカンツになっているのだから、いずれにせよメンツ構成は変わるという解釈もできなくもありません。

前回は、「待ち構成が変わるカンはできない」と表現しましたが、これも必要条件ではありますが十分条件ではありません。一つは送りカンについて言及がないこと。と持っているところからリーチしてを持ってきた場合、をカンしても待ち構成は変わりませんが、いずれにせよこのカンは不可とするのが一般的。「メンツ構成が変わらない」であれば、このケースはカンできないことが明確です。

また、の形でリーチした場合。待ち構成は変わりませんが、のアンカンはできません。順子×3ともみなせるので、メンツ構成が変わるカンに該当するためです。

この形でアンカンできない理由として、例えばなら、でアガった時に純チャンがつかなくなるためと説明されることがありますが、「この手は高点法の原則から三暗刻としかみなされないのに、どうしてカンできないのか。」という疑問にうまく回答できているとは言えません。(余談ですが、上記の手牌でアガった場合、ハンゲームでは三暗刻ではなく、平和一盃口とみなされて安くなってしまうという問題点がありました。)

メンツ構成が変わるという表現だと、の形でリーチしてをアンカンできるのかという問題についても解釈が分かれます。アンカンの条件に、「手役の増減を問わない」と書かれているのであれば、この形はカンできることになります。(手役が増えるのは、カンすることで三槓子がつく場合)

しかし、一般的にはをアンカンした場合、でアガっても九蓮宝燈は不成立。九蓮宝燈は手役全体をメンツ構成として考えると解釈すれば、いずれにせよアンカンは不可能ともみなせます。

ここまで取り上げたリーチ後のカンの可否について、こちらでもまとめられています。大きく分けて5つ条件があることになりますが、要は、「メンツ構成をテンパイ形とみなす場合に、アンコ以外の解釈が出来なければリーチ後のアンカン可」ということ。こう説明すれば、ここまで取り上げてきた5条件を1つにまとめたうえで、九蓮宝燈のケースはアンカン可能であることも説明できます(アンカン不可のルールにするのであれば、「手役が減るカンも不可」と一言言及すればよい)。「メンツ構成をテンパイ形とみなす場合」としたのは、手組のうえではアンコをトイツ+浮き牌、あるいは浮き牌×3と解釈することも可能ではあるためですが、このあたりはあえて言及する必要性も薄いので、単に、「独立アンコのみ可能」としても問題ないと思います。

しかし、「メンツ構成」という用語が、曖昧ながらもルールレベルで定着しているためか、「独立アンコのみ可能」という表現が使われている例をあまり見ることがありません。ルールを設定するうえで最も重要なのは、ゲームを円滑に進行できること。用語としてよく使われているとはいえ、解釈が分かれがちな表現に関しては、簡潔かつ解釈が分かれにくいものに置き換えるに越したことはないと考えます。

この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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