リーチ後のアンカンは一切不可とするルールもあります。プロ団体であれば麻将連合が採用しています。先述のような解釈分かれでトラブルが起こらないことに加え、一発、裏ドラを採用しないのであれば、アガった時点で何点か確定しているのが競技的という見方もできるので、個人的にはルールを統一するのであればリーチ後のアンカンは一切不可が望ましいと思っております。
ところが、このルールが実際に採用されている例はあまり見ません。理由としてはやはり、他家のカンで場が荒れるのを嫌う人はいても、自分がリーチ後にカンをして打点が高くなることを嫌う人はほとんどいないためでしょうか。カンできなかった牌で他家のカンチャン、ペンチャンリーチに放銃となれば、カンできるルールであれば相手のアガリ目を完全に潰せていたのですから、なおのこと「何でカンできないんだ」とルールに腹を立ててしまいそうです。
しかし、リーチ後のアンカンに関する取り決めが、麻雀のルール関連の問題の中でも特に複雑であることは否めません。複雑であるが故に技量が問われるのであれば、競技としてふさわしく、ゲームとして面白いものになるのですが、リーチ後のアンカンはその手の類いのものではありません。
前回こちらのまとめを取り上げましたが、リーチ麻雀が普及してから、リーチ後のアンカンについては、初期は待ちさえ変わらなければ可とされていたようです。送りカンでさえ、待ち牌が変わっていないのだから可とされる場合もあったようですが、それから質問に見られるような様々な疑問が起こり、色々な制限が設けられるようになりました。
現在、送りカン不可、待ちが変わるカン不可については、ルールを覚えた人の中ではほぼ共通認識になっていると思われます。しかし、それ以上の制限について、果たしてどの程度の人が認識できているでしょうか。
私自身、4枚目の牌でカンしても待ちが変わらないにも関わらず、カンできない場合があることを知ったのは、麻雀を覚えてからずっと後のこと。片山先生の麻雀漫画「スーパーヅガン」で、珍しくバカヅキモードの主人公の豊臣君がリーチ後にの形からをアンカンしてツモアガリ。カンドラがもろ乗りして大喜びしているところにカンできないことを指摘されてチョンボに。そこからはいつものようにボロ負けするというエピソードだったのですが、この時カンできない理由として、123三色があったら三色が消えてしまうというように例を挙げて説明されていました。その説明を見て当時の私は、「それはあくまで手役が消えるからであり、この手牌は123三色じゃないのに何故カンできないのか」と腑に落ちませんでした。
実際はここまで説明してきた通り、「単独アンコの場合のみアンカン可」とするのもルールのうえで整合性が取れているものではあるのですが、点数計算ほどゲームに影響するルールでもなく、麻雀を長年打ち慣れている人の間でも共通認識ができていると言い難いルールです。よって、天鳳で採用されているように、「リーチ後に4枚目の牌をツモった場合は、待ちさえ変わらなければアンカン可」とするのが妥当なところではないでしょうか。