オリたいけど安全牌がないとき、前回の「スジ」と同じく、道しるべになるのが「ノーチャンス」と「ワンチャンス」です。
ノーチャンスとは、ある牌が4枚とも自分から見えていることをいいます。
それによって、ある牌がリャンメン待ちで当たらなくなるのです。
いま、が4枚とも見えているとします。「見えている」というのは、具体的には
・自分の手牌の中にある
・河に切られている
・誰かが鳴くかアンカンして、さらされている
・ドラ表示牌で見えている
のいずれかです。文字どおり、自分の目から見える状態ですね。
例えば、を自分が1枚持っていて、河に2枚切られており、下家がでチーしていると、は4枚見えています。
4枚とも所在が明らかになっているので、他家の手の中には、もうはありません。
ということは、他家がリーチをかけた時、やのリャンメンターツで待っている可能性はゼロです。つまり、とはリャンメンで当たることはなく、安全度が上がります。
このことを、「のカベがある」と表現することもあります。カベでシュンツ作りを遮断しているイメージの言葉ですね。
のカベがあると、かで放銃するパターンは、シャンポン待ちかタンキ待ちだけになります。
もし、既にかが3枚見えていたら、その可能性も消せるので、ほぼ絶対的な安全牌になるといえます(唯一、で待つ国士無双には当たりますが)。
ノーチャンスの全パターンは、以下のとおりです。
が4枚見えている → はリャンメン待ちに当たらない
が4枚見えている → はリャンメン待ちには当たらない
が4枚見えている → はリャンメン待ちには当たらない
が4枚見えている → はリャンメン待ちには当たらない
が4枚見えている → はリャンメン待ちには当たらない
が4枚見えている → はリャンメン待ちには当たらない
が4枚見えている → はリャンメン待ちには当たらない
また、この「カベ」が複数あるときは、あわせて考えると、さらに安全度が増す場合があります。
例えばとが両方とも4枚見えているとしましょう。
がリャンメン待ちに当たりませんが、さらに、もリャンメン待ちに当たらなくなります。
がリャンメン待ちに当たるのは、相手がかの形で待っている時ですが、とがすべて見えているので、その可能性はゼロです。
も同じ理屈で、リャンメン待ちに当たる可能性が否定されます。
応用編で、「スジ」と「ノーチャンス」を組みあわせることで、比較的安全な牌が浮き上がることがあります。
いま、リーチ者の河にが切られているとします。のスジの牌はですが、この情報だけでは、は安全とはいえないですね。のリャンメン待ちの可能性は残っているためです。
しかし、同時に、かが4枚見えていたらどうでしょうか。カベがあるので、のリャンメン待ちの可能性は消えます。
A 河にが切られている → のリャンメン待ちでは当たらない
B かが4枚見えている → のリャンメン待ちでは当たらない
2つの情報をあわせて考えると、「がリャンメン待ちに当たることはない」といえます。
麻雀は「自分から見えない情報」が多いゲームですが、「ある種類の牌が4枚とも見えて、もう他家の手にも山にもない」ことは、確実な情報として、攻守ともに頼りにできます。霧の海のなかで、明るく輝く灯台の光のような存在です。
続いて「ワンチャンス」は、ノーチャンスに準じ、ある牌が3枚見えている状態をいいます。
いま、が3枚見えている状態で、他家のリーチを受けました。
かを切ってリャンメン待ちで放銃するのは、残り1枚のをリーチ者が持っていて、かつを含むリャンメンターツが最終形になっているときに限られます。
そのをリーチ者が持っている可能性はあるのですが、やのような完成したメンツの形で持っているのなら、やがリャンメンで当たることはありません。
そう考えると、何のよりどころもない危険牌よりは、やは少しましでしょう、と推測できるのです。自分が行けるかどうか微妙な状態のとき、「全くの危険牌をつかんだらオリるが、ワンチャンスぐらいは切って前に出る」というように、押し引きの判断に使えます。
ワンチャンスも、スジと合わせ技で使うことができます。
A 河にが切られている → のリャンメン待ちでは当たらない
B かが3枚見えている → のリャンメン待ちで当たるのはワンチャンス
となり、の安全度が少し高いと読めるのです。
ただ、当然ながらワンチャンスは、安全牌ではありません。
特に終盤、リーチに対して多くの牌が既に通っており、当たりうる牌の種類が減っている状態だと、ワンチャンスの安全度は下がります。
また、メンタル的な話になりますが、スジやノーチャンス、ワンチャンスで放銃しても、イライラしたり焦るのは禁物です。
あくまでリャンメン待ちには当たらない(当たりにくい)というだけで、当たる恐れはあるからです。
中級者以上だと、スジやノーチャンス、ワンチャンスを利用して、他家からのアガリを狙うケースもあります。例えば、が4枚見えてカベになっている状態で、や待ちのチートイツでリーチをかける、などです。
スジやノーチャンス、ワンチャンスは、多くの人が頼りにするメジャーな情報なので、逆手にとる攻撃も当然あるのですね。
振り込んでしまった時は「安全な牌のはずなのに…。ぐぬぬ」と悔しがるのではなく、貴重な学習例があらわれたと考えて、「このケースでは、スジやノーチャンスでも当たるのだな」と学んで、次に生かしていきましょう。麻雀に限らず、イライラしてその後うまくいくことはありませんので…。
次回は、序盤に切られた牌からわかるヒントをご紹介します。