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卓上でヨシ!麻雀暗記ノート 第48回 ノーチャンスとワンチャンス

卓上でヨシ!麻雀暗記ノート 第48回 ノーチャンスとワンチャンス

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オリたいけど安全牌がないとき、前回の「スジ」と同じく、道しるべになるのが「ノーチャンス」と「ワンチャンス」です。

ノーチャンスとは、ある牌が4枚とも自分から見えていることをいいます。
それによって、ある牌がリャンメン待ちで当たらなくなるのです。

いま、[7]が4枚とも見えているとします。「見えている」というのは、具体的には
・自分の手牌の中にある
・河に切られている
・誰かが鳴くかアンカンして、さらされている
・ドラ表示牌で見えている
のいずれかです。文字どおり、自分の目から見える状態ですね。

例えば、[7]を自分が1枚持っていて、河に2枚切られており、下家が[7][8][9]でチーしていると、[7]は4枚見えています。

4枚とも所在が明らかになっているので、他家の手の中には、もう[7]はありません。

ということは、他家がリーチをかけた時、[6][7][7][8]のリャンメンターツで待っている可能性はゼロです。つまり、[8][9]はリャンメンで当たることはなく、安全度が上がります。

このことを、「[7]カベがある」と表現することもあります。カベでシュンツ作りを遮断しているイメージの言葉ですね。

[7]のカベがあると、[8][9]で放銃するパターンは、シャンポン待ちかタンキ待ちだけになります。

もし、既に[8][9]が3枚見えていたら、その可能性も消せるので、ほぼ絶対的な安全牌になるといえます(唯一、[9]で待つ国士無双には当たりますが)。

ノーチャンスの全パターンは、以下のとおりです。

[2]が4枚見えている → [1]はリャンメン待ちに当たらない
[3]が4枚見えている → [1][2]はリャンメン待ちには当たらない
[4]が4枚見えている → [2][3]はリャンメン待ちには当たらない
[5]が4枚見えている → [3][7]はリャンメン待ちには当たらない
[6]が4枚見えている → [7][8]はリャンメン待ちには当たらない
[7]が4枚見えている → [8][9]はリャンメン待ちには当たらない
[8]が4枚見えている → [9]はリャンメン待ちには当たらない

また、この「カベ」が複数あるときは、あわせて考えると、さらに安全度が増す場合があります。

例えば[4][7]が両方とも4枚見えているとしましょう。

[2][3][8][9]がリャンメン待ちに当たりませんが、さらに、[5][6]もリャンメン待ちに当たらなくなります。

[5]がリャンメン待ちに当たるのは、相手が[3][4][6][7]の形で待っている時ですが、[4][7]がすべて見えているので、その可能性はゼロです。

[6]も同じ理屈で、リャンメン待ちに当たる可能性が否定されます。

応用編で、「スジ」と「ノーチャンス」を組みあわせることで、比較的安全な牌が浮き上がることがあります。

いま、リーチ者の河に[②]が切られているとします。[②]のスジの牌は[⑤]ですが、この情報だけでは、[⑤]は安全とはいえないですね。[⑤][⑧]のリャンメン待ちの可能性は残っているためです。

しかし、同時に、[⑥][⑦]が4枚見えていたらどうでしょうか。カベがあるので、[⑤][⑧]のリャンメン待ちの可能性は消えます。

A 河に[②]が切られている → [②][⑤]のリャンメン待ちでは当たらない
B [⑥][⑦]が4枚見えている → [⑤][⑧]のリャンメン待ちでは当たらない

2つの情報をあわせて考えると、「[⑤]がリャンメン待ちに当たることはない」といえます。

麻雀は「自分から見えない情報」が多いゲームですが、「ある種類の牌が4枚とも見えて、もう他家の手にも山にもない」ことは、確実な情報として、攻守ともに頼りにできます。霧の海のなかで、明るく輝く灯台の光のような存在です。

続いて「ワンチャンス」は、ノーチャンスに準じ、ある牌が3枚見えている状態をいいます。

いま、[7]が3枚見えている状態で、他家のリーチを受けました。

[8][9]を切ってリャンメン待ちで放銃するのは、残り1枚の[7]をリーチ者が持っていて、かつ[7]を含むリャンメンターツが最終形になっているときに限られます。

その[7]をリーチ者が持っている可能性はあるのですが、[5][6][7][6][7][8]のような完成したメンツの形で持っているのなら、[8][9]がリャンメンで当たることはありません。

そう考えると、何のよりどころもない危険牌よりは、[8][9]は少しましでしょう、と推測できるのです。自分が行けるかどうか微妙な状態のとき、「全くの危険牌をつかんだらオリるが、ワンチャンスぐらいは切って前に出る」というように、押し引きの判断に使えます。

ワンチャンスも、スジと合わせ技で使うことができます。

A 河に[②]が切られている → [②][⑤]のリャンメン待ちでは当たらない
B [⑥][⑦]が3枚見えている → [⑤][⑧]のリャンメン待ちで当たるのはワンチャンス

となり、[⑤]の安全度が少し高いと読めるのです。

ただ、当然ながらワンチャンスは、安全牌ではありません。
特に終盤、リーチに対して多くの牌が既に通っており、当たりうる牌の種類が減っている状態だと、ワンチャンスの安全度は下がります。

また、メンタル的な話になりますが、スジやノーチャンス、ワンチャンスで放銃しても、イライラしたり焦るのは禁物です。
あくまでリャンメン待ちには当たらない(当たりにくい)というだけで、当たる恐れはあるからです。

中級者以上だと、スジやノーチャンス、ワンチャンスを利用して、他家からのアガリを狙うケースもあります。例えば、[3]が4枚見えてカベになっている状態で、[1][2]待ちのチートイツでリーチをかける、などです。

スジやノーチャンス、ワンチャンスは、多くの人が頼りにするメジャーな情報なので、逆手にとる攻撃も当然あるのですね。

振り込んでしまった時は「安全な牌のはずなのに…。ぐぬぬ」と悔しがるのではなく、貴重な学習例があらわれたと考えて、「このケースでは、スジやノーチャンスでも当たるのだな」と学んで、次に生かしていきましょう。麻雀に限らず、イライラしてその後うまくいくことはありませんので…。

次回は、序盤に切られた牌からわかるヒントをご紹介します。

この記事のライター

藤田 明人
最高位戦日本プロ麻雀協会第43期後期(2018年入会)
兵庫県出身。東京大学法学部卒業後、新聞社に入社。
記者を経て、教育事業部門で勤務。
麻雀が、幅広い世代の学びにつながることを研究しています。

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