- 『ネマタの麻雀徒然草』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる「麻雀に関する話題を徒然なるままに書き連ねていく」コラムです。
前回は、現状の麻雀界ではルール変更に関する優れた案があっても、全国的に普及させるのは難しいという話をしました。今回は別の業界に少し目を向けてみることにします。
私の名前の由来にもなっているトレーンディングカードゲーム(TCG)の元祖、「マジック・ザ・ギャザリング(MTG)」は昨年発売から25周年を迎えましたが、25年の間、大きいものから細かいものまで、何度となくルール変更がされました。変更自体には毎回賛否両輪色々ありますが、ルール変更の際は、世界中のプレイヤーが当然のようにそれを受け入れてゲームを続けています。
これが可能なのは、ルールを決定する公式(開発元であるアメリカのウィザーズ・オブ・ザ・コースト社)が存在し、その存在を、日常的にゲームを遊んでいるユーザーであれば誰しもが認知しているからです。
長年世界中で遊ばれているカードゲームと言えば「UNO」があります。一度くらいは遊んだことがあるという方も多いのではないでしょうか。実はこのUNOも公式が存在し、つい最近になってルール変更がされ、新しいカードが追加されたそうです。
更には昨年、UNOをベースにした新しいカードゲーム「DOS」が発売されました。
しかし、UNOというカードゲームは知っていても、ルール変更や新しいゲームが登場したことを知らないという方は(私の認識不足かもしれませんが)、かなり多いのではないでしょうか。「DOS」もルールを見る限りなかなか面白そうなゲームですが、UNOのように多くの人に遊ばれることになるとは考えにくいです。
前回取り上げましたように、現在日本で遊ばれている麻雀ルールが全国的に普及した時代には、ルールを広めた団体が半ば「公式」のような存在だったのかもしれません。しかし、現状の麻雀界はそもそも「公式」に相当する機関が存在しません(ルールを制定した団体がその後どうなったかについては非常に気になりますが、これといった情報が見つかりません。)。
麻雀というゲームを知っていて、日常的に遊んでいるけれども、ルール変更の試みがされていることや、麻雀をベースにした新しいゲームが考案されていることを知っている人は、麻雀人口全体のほんの僅かではないでしょうか。麻雀界の取り巻く現状は、UNO界のそれに近いのかもしれません。