普及の話になったので、再び別の業界に目を向けてみることにします。
私の名前の由来がMTGから来ていることは以前お話しましたが、私がMTGに興味を持ち始めたのは、こちらの記事で取り上げた大会が行われた頃、2001年の話でした。
その頃は受験を控えていたこともあり、実際に遊んだのは大学に入学してからでしたが、当時は少年誌にMTGを扱った漫画が連載され、コンビニでもカードが売られていました。一般的な知名度だけなら、むしろ今より当時の方が高かったかもしれません。
ゲームを続けるうえで何かとお金がかかることもあり、結局麻雀一本に絞ることにしましたが、ゲーム自体には興味があったのでMTG関連の情報が掲載されていた雑誌は毎月購読していました。(実はこの雑誌、とつげき東北氏、小林剛プロの麻雀戦術記事が連載されていたこともありました。)
しかし年を経るに連れてMTG関連の記事の割合が段々と減り、雑誌自体も休刊になったので、他の情報を得ていなかった私は、ゲーム自体が衰退したものと思い込んでいました。
ところが、グランプリ(アマチュアでも参加できる全国規模の大会)への参加者は、現在では2001年頃と比較して、最も参加者が多かった大会に比べても2倍以上、少なかった大会と比べれば10倍以上にまで増えています。カードの値段も大会への参加費用も大幅に値上がりしているので、敷居自体はかなり上がっているにもかかわらず、コアなファンは大幅に増えました。少年時代は資産の問題でゲームを続けられなかった人が、社会人になってから復帰したというケースが多いと聞きます。
現在の麻雀人口は約500万人とされます。最盛期の人口がどの程度であったかは調べられませんでしたが、麻雀と似たような推移を見せる将棋については1985年時点で約1680万人。最盛期は3000万人とも言われていました。
レジャー白書における人口の定義は、「過去1年以内にそのゲームを遊んだことがある人の数」です。単にルールを知っていて遊んだことがあるというのであれば、1年間に人口が100万人以上増減することは考えられません。麻雀人口の減少の原因は、新規参入者を取り込めていないというよりは、趣味の多様化によって、「麻雀は昔よく遊んでいたけれども、他の趣味があるので最近はやっていない」人が増えたからではないでしょうか。
普及となるとどうしても新規参入層へのはたらきかけばかりが話題になりますが、麻雀と比べて人口がかなり狭いカードゲームにおいても、再参入者を取り込むことでシェアを大きく増やすことに成功しています。元々そのゲームをやったことがある、あるいは初めてであっても、戦略ゲーム自体に興味がある層の方が、よりコアなファンになる可能性も高いものです。麻雀ならなおのこと、そのような層向けのコンテンツに力を入れることが効果的なのではないでしょうか。